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ランクE

本日から初めての連載です。緊張していますがよろしくお願いいたします!

「この子は約束された稀代の魔術師」

「エスタリオル家始まって以来の天才」


 村の誰もがシオンの才能を信じて疑わなかった。


 生まれつきのブルーとグリーンの美しい水晶のようなオッドアイは、伝説の魔術師と言われた曽祖父エス・エスタリオルと瓜二つであり、すらりとした長身に他人を惹きつけるカリスマ性、学業優秀はもちろん運動能力も極めて高く、3人兄妹の末っ子ながら名門エスタリオル家の跡取りとしても有力視されていた。


 それゆえに、15歳の成人の儀式を経て、魔術師としてランクE判定となった際の周りの反応といったら厳しいものであった。


「エスタリオル家の面汚し」

「落ちこぼれは出て行け」


 シオンは成人の儀式で非常に珍しい魔術特性「サクリファイス」を持つと判定された。強力な魔術を使用できる反面、詠唱時マナの代わりにライフを消費してしまうこの特性は、ごく稀に上級の僧侶がこの特性を得た場合に、自らの命と引き換えに強力な魔術「蘇生」によって王族を生き返らせる以外にこれといったメリットはなく、通常の魔術すら命に危険をもたらすことから、魔術師からは嫌煙されていた。


 そしてシオンは魔術の使用にドクターストップがかかり、魔術師として技量ゼロ、つまりランクEとなってしまった。


 数々の魔術師を輩出してきたダリア村では15歳の成人まで、魔術適正のある者は厳しい修行により魔術の知識を蓄えるが、実際の使用は魔封じの腕輪によって封じられる。心身が幼い状態で魔術を使うと精神に異常をきたすことがあるからである。


 シオンは成人の儀式を過ぎてなお、魔術を誤って使用することのないよう魔封じの腕輪を身につけ続け、周りからすっかり見下されてしまっていた。


 幸い勉学に優れていたシオンは、魔術座学の教師の職にありつくことができ、それ以来エスタリオル家を離れ村外れでひっそりと暮らしていた。


 ある日シオンは、今は遠く王国で暮らし、幼馴染、婚約者で王国顧問魔術師でもあるベアトリーチェから、第3王子の誕生日パーティの招待状を受け取る。生まれて初めて村を出たシオンには、この先待ち受けている事件など思いもよらぬことであった。

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