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魔眼戦争  作者: 天神
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第五話 回転VS銃器

 炸裂音と共に強烈な光が生じ、反射的に横にいた去時音(ことね)を押し、自分も同じ方向に倒れこむ。

 追撃はなく拳銃を持った男が歩いてくる音が聞こえる。俺は急いで体を起こし、相手の方を見る。すると男は歩くのを止め、発砲。飛来する弾を俺は()()()()()

 銃には弾を真っ直ぐ飛ばすためにライフリングというものが施されている。そのライフリングにより弾丸は進行方向を軸として回転をするわけだが、今俺はそれを知識としてではなく、実体験として経験している。

 目の前に飛んでくる銃弾にかかる()()が眼に見えて分かる。だからその回転とは真逆の回転を銃弾にかけて消滅させる。さらにその余波で銃弾が撃ち落とされたということだ。

 自分の撃った銃弾が途中で撃ち落とされたことを確認すると、男は拳銃を連射する。

 それを俺は全て一つ一つに逆回転をかけ、撃ち落とす。さすがにこれには男も驚いたようで拳銃の銃口が少し下を向く。


 それもそうだろう。普通の人間が銃弾を躱すというだけでも不可能に近いことなのに、伊崎(いざき)廻人(かいと)は今しがた何発もの銃弾を撃ち落として見せた。これも「回転の魔眼」の能力を使った結果であることを本人も知らない。

 思考速度の速い人のことを「頭の()()が速い」というが、その通りに伊崎廻人は頭の()()を加速させて、思考速度を加速したのである。


 銃口を下げられた拳銃は、もう二度とこちらを向かなかった。だが、それは男が怯んだなどという楽観的な予想を裏切る行為のための準備であった。男は持っていた拳銃を地面に手放したかと思うと、何もない空間から小銃を持ち出した。つまり、それが男の魔眼の能力だろう。

 それを確認した俺はまだ気を失ったままの去時音への被弾を恐れて、男との距離を保ったまま去時音から距離を取る。そんな俺を男が持つ小銃の銃口は逃がさないとばかりに付け狙う。

 ある程度、去時音から距離を取った所で足を止めると男が持っている小銃を顔の近くに引き寄せ、発砲。先程より連射力が上がり、飛来する弾の数が一気に増える。だが、まだ問題はない。この男と戦い始めてから頭が冴え渡っていて、いつもの何倍もの物事を考えることが出来る。だから弾の数が増えてもこの程度なら対処できる。

 男の小銃の弾が切れ、連射が止まると俺と男との間には撃ち落とされた銃弾が数え切れない程転がっていた。このままならどうにかなると甘い考えをしたすぐ後に俺はその考えを否定することになる。

「ガンバレット·オープン」

 その宣言と共に男の頭上には男が持っている小銃が左右に二つずつ、合計四つ現れた。

 現状の重大さに気付いた俺は銃の発砲とほぼ同時に走り出していた。俺が通ったところには銃弾の雨が降り注いでいる。さすがにこれ程の数を同時に対処することは出来ないと考えたからだ。

 自分の身を守るためにドーム状の中に入ることの出来る遊具に避難する。これで銃弾を防ぐことは出来たがそれも時間の問題で、外に残っている去時音を狙われたら終わりだ。だから………

「奴がリロードの瞬間に飛び出して決着を着ける」

 金属製の遊具に銃弾がぶつかる音が止む。

 入ってきたのと同じところから飛び出す。男がリロードをしている光景を思い描いていた俺はそれとは違うものを見て、一瞬足が止まる。

 今まで宙を浮いていた小銃はもうそこにはなく、代わりに銃よりも数段大きく、恐ろしいものがあった。

 映像などで一度は見たことのある。戦車や軍艦に設置されている大砲がそこにはあった。その銃口が重々しい音を立ててこちらを向く。

 止まっていた足を動かしその場を離れる。するとさっきまでいたところの地面が抉り取られていた。

「キャノン、チェイン、ガトリング」

 男がそう呟くと、同じ大砲が五、六個出現し、円状に整列する。それらは互いが互いと繋がり、その形はガトリング砲のようになった。

 ガチャンッと音がして弾が込められるのを告げる。俺は覚悟を決めて相手に向かって突き進む。狙いを絞らせないように蛇行する。

 大砲で作られたガトリング砲から発射される弾は走る俺のすぐ近くを飛んでいく。弾が発射されて次の弾が発射されるまでの間隔がだんだんと速くなっていく。

 すぐ隣で死神が待っているような状況を駆け抜けて男の前に出る。その瞬間を狙って男は小銃を発砲する。だが、その弾は当たらなかった。俺は小銃から放たれる銃弾の弾道を少しの角度だけ回転させ、弾道をずらした。

 そして、この戦いを終わらせるために右の拳を男に向かって放つ。この打撃はただの打撃ではない。打撃を放つ際に行う体の回転を魔眼で加速、さらには拳が当たった際に、より拳を螺じ込むためにする回転も魔眼で加速させた。これにより俺の打撃の威力だけは武術の達人が放つものと同等のレベルに達していた。

 この打撃で決着が着くかと思っていたが、この打撃は防がれた。この至近距離で使えなくなった大砲のガトリング砲は既に失くなっており、再び出現した小銃の盾で俺の打撃は防がれたのだ。左腕でもう一度打撃を放つことも出来たが、もう一度防がれる気がしたので別の攻撃手段を取ることにした。

「これで終わりだ………『螺旋(らせん)』」

 俺がそう言うと男の服が不自然に動く。その動きは次第に大きくなっていき、ついには男の体も動き始めた。男の体の一部、胸の辺りが歪む、そして、その部分が抉り取られたように男の胸には穴が空いていた。

 そんなになってしまった男は血を吐きながら倒れる。それを見て、この戦いは終わったのだと実感し体から力が抜けるのが分かる。心配になり、去時音の方を向く。

 まだ気が付いていないようで、地面に横になったままだ。ゆっくりと足を進めて、去時音の所へと向かう。

 なぜゆっくり歩いているのかというと、体の所々が破壊されているからだ。拳を放つときに無理矢理回転させた腰や肩。何より酷いのが右腕だ。明らかに一回転以上したみたいに肩と肘の関節は外れ、筋繊維は結構な数が千切れているのを感じる。

 もしかしたら、家にいた雨合羽の奴を撃退した時もこのようになっていて、それを去時音が治してくれたのかもしれない。

 ボロボロの体を動かして、去時音のすぐそばまでやってきた。そして俺は戦いの終わりを伝えるために去時音の体を揺する。

今回も読んでいただきありがとうございました。

初の戦闘なので至らない点もあるかと思います。

良い所も悪い所も教えていただけるとありがたいです。

引き続きよろしくお願いします。

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