プロローグ
大昔のある場所で、一人の少年は一体の悪魔と出会った。その悪魔は、自分のことを"魔眼の悪魔"だといい少年に取り引きを提案した。
「お前に俺の"魔眼"の力を与えてやる。その代わりにお前はその力を使って、俺に面白いものを見せろ」
現代でこの話を聞くと、悪魔が提案する契約としては定番のようなものだが、少年にはその契約がとても魅力的に感じられた。だから、その少年は悪魔と契約し、"魔眼"の力を手に入れた。
そして、後々に目障りになりそうな悪魔を殺し、魔眼の力を存分に使った。
それから月日は流れ、その少年も大人になり、老人になってしまった。いくら素晴らしい力を手にいれたところで、所詮は人間。老いに勝てるわけもなく、少年いや老人はベットから立ち上がり、一人で歩くことも出来なくなっていた。
その時、老人はある一つのことを考えついた。
この魔眼の力を複数の人間に分け与え、互いに競い、殺し合わせる。それをずっと繰り返せば、永遠に魔眼の力を残すことが出来る。
今となっては老人がこの考えを思い付いたのは、自分の魔眼の力が失われることが恐ろしかったのか、後世の人間たちを繁栄させるためなのかは分からないが、この考えは魔眼の力を伝えていくための方法としては実に最適解だったといえるだろう。
老人から魔眼の力を授かった者たちは血みどろの戦いを繰り広げ、たった一人の勝者を決めた。
その勝者が寿命を向かえると、既に死んでしまった老人の意志を継ぐかのようにと、また次の者のところへ魔眼の力は伝わっていった。
さて、長く昔話を続けたが、これから始まる物語において重要なのはただ一点だけ。
『この魔眼が現代にも伝わってきている』ということ。
これから始まる物語はこの昔話の何千年も先の話。そこで今だ行われている魔眼所有者たちの殺し合い。
これこそがつまり、『魔眼戦争』である。
読んでいただきありがとうございました。
これからも連載を続けていく予定なので、どうぞよろしくお願いします。