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情報収集

あれから3日後の夜、天丸は組織の幹部らしき男を追っていた。


「全く…結局こうなるのか…。人がせっかく挨拶してやってんのに、尻尾はどうでもいいってか?」


路地裏で張っていると男が二人、何やら怪しげに話をしている。


「お、きたきたぁ…!。」


天丸は目を光らせてその様子を伺う。男達は何やら白い粉を手に話を続けていた。


「ブツも出たな。」


男達に注意を払いながら通信装置で顔を認証する。通信装置をかざすと自動で侍用の犯罪者リストと照合してくれる。侍はこの犯罪者リストに上がっている者の殺害が許可されている。リスト者を生死を問わず捕まえる、それが侍の仕事だ。


「出た出た。ん…と、なんだ雷の3と4か…。幹部のくせに弱っちいな。ま、楽でいいけど。」


そう言うと天丸は敵目掛けて走っていく。


「なんだアイツ!?」


取引中の男達は驚きながらも銃を取り出す。


「侍か…!撃ち殺してやる!!」


「チャカねぇ…。遅くていけねぇや。」


ドォン!ドォン!ドォン!


辺りに銃声が鳴り響く。

天丸は走りながら銃弾を両断して男達に向かっていく。


「なッ!?なんだ、アイツ!!銃が…!!」


「う、うわぁぁああ!!来るなぁぁ!!」


素早く男の後ろに周り込み背後から斬りつけた。


「うっ…!」


背中を深く斬りつけられた男はばたりと倒れた。と同時にもう一人の男が構えていた銃を回し蹴りで吹き飛ばし、喉元に刀を突きつける。


「ヒッ!た、助けてくれ!!見逃してくれ!」


男は跪いて叫ぶ。天丸は刀を突きつけたまま、冷たい目で男を見下ろす。


「俺はさぁ、お前らの頭が知りたいだけなんだよ。」


男は天丸の強さと妙に落ち着いた声に怯えて叫んだ。 


「教える!教えるから助けてくれ!!頼む!」


「わかった。助けてやるからさっさと言えよ。」


弥七やしちって男だ!!俺も直接会ったのは1回だけだが間違いない!」


「なんだお前らも下っ端か…。」


「いや、頭とのやり取りは全て狐の面をした忍者を通してじゃないとダメなんだ!だから組織の中でも頭を知ってる奴はそうはいねぇよ。」


「なるほどなるほど…。じゃあ、頭の下にその忍者がいて…その下は役もねぇ有象無象どもってことか…。」


「まぁ…そういうことだ。俺はそれしか知らねぇ!見逃してくれよ!」


「あぁ、悪かったな。逃げていいぞ。」


天丸がそう言うと男は慌てて逃げる。


「なんてな…。」


天丸は背を向けて逃げようとする相手を躊躇いもなく斬りつけた。


「バーカ。嘘に決まってんだろ?」


もう動かなくなった男を見下ろして冷たい目で言うと通信装置を取り出して八郎を呼び出した。   

しばらくすると警備隊員を引き連れた不機嫌な八郎が現れた。寝起きなのか警備隊の隊服がいつも以上に乱れている。


「あのさ〜。今何時だと思ってんのかなぁ〜?人の迷惑も考えてくんない?」


「正義の味方に昼も夜もねぇよ。俺朝方に寝る派だし。だいたい警備隊も俺と同じ公務員だろうが。しかもお前は俺より給料良いんだから働け!」


「あ〜うるさいうるさい。協調性が無くて警備隊を追われた挙句、刀の腕が立つだけに危険だと判断されて強制的に侍にされた人間がなんか喚いてる〜。」


八郎は両耳を塞いで棒読みで言う。


「すいませんねぇー!協調性が無くて!でも刀の腕だ・け・は!あるんで!ズバッといかれたくなかったらこっち来てください、天下の警備隊様!」


大きくハキハキとした声で言うと八郎を自分が殺した男のところまで腕を引っ張っていった。


「あ〜あ〜、ザックリだね。こいつらが例のヤクの組織の連中?」


「どうも下っ端らしい。でも頭は割れた。弥七って男だそうだ。その下にはどこのもんかしらねぇが、狐の面の忍者がいるらしい。」


「へぇ〜。頭の名前とその手下の姿が割れただけで、組織の資金源とか取引先とか…なぁんにも聞かずに殺しちゃったんだ〜。情報収集って言葉知ってる?」


「うるさい。別に良いだろ?どうせ全部俺が殺すんだから。じゃあ俺は一旦帰って寝る!ここは任せたぞ。あと弥七と忍者の居場所もな〜!」


そう言うと天丸はヒラヒラと手を振って帰っていった。


「まぁ別に良いけど…。そういうところだよね。だから危険視されて望んでもいない侍としてこの国に飼われるんだ。」


八郎は天丸の後ろ姿を見ながら呟いた。

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