第6話:魔剣ファトムル
書物を手に取り呟く。
「さてと、ラストの書物を読むとするか」
最後の書物はステータスについてだ。
ステータスについて書かれている書物は他の書物よりもかなり薄い。
なので、すぐに読み終わりそうだ。
早速手に取り、表紙をめくり内容を読み始める。
ステータスとはこの世界の全ての生物が要しているものであり、自身の能力を視覚化したものである。
ステータスには種族、職業、名前、性別、スキル、称号が表示される。
ただし、魔物には職業は表示されず、その代わりなのかランクが表示される。
ランクは下からH、G、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSと表示されSSSに近い程その魔物が強い事を意味する。
種族はその者の種族を表示している。
職業はいつのまにか変わっている事がある。
例えば職業が剣士であっても、農夫になっている人もいる。
なので、職業が剣士であったとしても剣士に関連している仕事をしているとは限らない。
職業によって補正がかかる。
職業については分かっていないところが多いい。
名前はその者の名前を表示している。
称号はその者が何らかの偉業などをした時に表示される。
偉業以外にも称号には表示される。
称号によってスキルを得たり、なんらかの補正がかかる。
その他に書かれていたのは職業一覧表のようなものが書かれており書物のほとんどは占めていた。
「……なんか、期待外れだったな。俺はステータスの見方なんかが書いてあると思ったのに、書いてあったのはこれとか本当に期待外れだ」
ガックとなりうなだれる。
これが情報操作か自分のステータスを見せないようにしてるんだろうなぁ。
知れるのはいつになる事やら。
「………さてと、これからどうするかなぁー」
「新しい書物を持って来て貰うってのも良いけど、基本的な知識は知ったしなぁ」
読んだ書物に魔法の使い方は書いてあったけど、大雑把だったし最後にこれは推測であるって書いてあったからな。
下手に使って爆発とかしたらやばいからな。
外に出ようにも無理だから、身体でも鍛えるか。
今の身体と前の身体は違うからある程度、動いて感覚を取り戻すか。
それに、日課だった素振りや瞑想もしてなかったし今日合わせて3日分するか。
俺は椅子から立ち上がり、何も置かれていない部屋の中央に座禅組む。
目を瞑り瞑想を始める。
窓を開けていた為、風の音が聞こえたり鳥の鳴き声が聞こえてくるが、少しずつ周りの音が聞こえなくなり五分程で完全に周りの音が聞こえなくなった。
頭の中ではこの世界に来てからの事が浮かんで来るが、周りの音が聞こえなくなるように少しずつ思い浮かばなくなる。
そして、10分もかからずに無我の境地に入る。
無我の境地に入り10分、20分、30分と経過して行く。
その間も勿論、刀夜は微動だに動く事はない。
瞑想をし始めて一時間程、経った時だった。
部屋の扉がコンコンとノックされる。
「刀夜様。失礼致します」
ゼルバが部屋の中に入り驚く。
部屋の中央で微動だに動かず瞑想していたからだ。
最初は、寝ているのか? とも思ったようだが、何らかの呼吸法をしている事から起きていると推測し、声を掛ける。
「……刀夜様。オーギュスト様がお待ちです」
そう声を掛けるゼルバだが、刀夜には全く聞こえていない。
しばらく、ゼルバは待つが微動だに動かない刀夜を見てどうしたものかと思考する。
「……仕方ありません、オーギュスト様をお連れしますか」
そう呟いた後、ゼルバは踵を返し部屋を出て行く。
それからしばらくして、扉がノックされる。
「刀夜様。失礼致します」
「刀夜。入るぞ」
そんな声と共にゼルバとオーギュストが部屋に入っる。
部屋に入るなり、オーギュストが口を開く。
「凄い集中力だな。いつからなんだ?」
「分かりません。私もつい先程、気付きまして」
「そうか」
オーギュストが何やら考え始める。
「……試してみるか」
「何をなさるおつもりで?」
「殺気をぶつけてみるだけだ。俺の予想通りなら、俺の近くは危険だから下がっておいた方が良いぞ」
ゼルバはオーギュストから離れる。
それを確認したオーギュストは刀夜に殺気をぶつける。
殺気をぶつけた瞬間、刀夜はバッと目を開き一瞬でオーギュストの目の前に移動し刀夜は刀を持っているかのような動きをした瞬間、バチバチと黒色の雷が刀をかたどるかのに発生する。
その瞬間、オーギュストは「やばい!」と感じ剣を何処からか取り出し受け止める構えを一瞬でとる。
「『陸ノ型………』」
刀夜が陸ノ型を使おうとした時、殺気を自分にぶつけて来たのがオーギュストだと気がつく。
発生した黒色の雷は刀夜が陸ノ型を使うのをやめた時にいつのまにか消えていた。
「へっ? オーギュストさん?」
オーギュストは冷や汗をかいており、何処から出現させたのか分からないが剣で何かを防ぐ体制のまま止まっていた。
オーギュストは構えを解き、手に持っていた剣を何処かにしまい頭を掻きながら言う。
「……あ、あぁ、邪魔して済まないな。ちょっと刀夜と話したくてな」
「そうだったんですか。……えっと、なんかすみません」
それから、落ち着いた所で話そうと言うことになり談話室にゼルバさん案内のもと連れて行かれた。
「早速で悪いんだが、刀夜。さっきのは何だったんだ?」
「あれはですね。俺の家に代々伝わる技の一つですね」
「詳しく教えてもらえるか? かなり興味がある」
「それは流石に無理ですね。秘匿していますので」
「それなら仕方ないか」
もっと粘ると思ったけどあっさりしているな。
「驚いたような顔をしているな」
「もっと、聞いてくると思っていたので」
「そりゃあ、聞きたいが秘匿している家はよくある事だからな」
「そうだったんですか」
「それともう一つ聞きたいんだが、刀夜って魔法使えたんだな」
「……へっ? なんの事ですか?」
魔法? 俺が? いつ? 何処で?
「気付いていなかったのか。刀夜が殺気をぶつけた俺に反撃しようとした時に使っていたぞ?」
刀夜はあの時の事を思い出す。
そういえば、なんか黒い雷みたいなのが出ていた気がする。
「なんか、黒い雷みたいなのですか?」
「それであってるが、なんか普通の魔法と違った気がするんだよなぁ」
普通の魔法と違うと言われてもな。
普通の魔法がどう言うものか知らないのに分かるわけないな。
そういえば、なんでオーギュストさんがここに来たんだろ? ちょっと話がしたいって言ってたけどなんの話なんだろう。
「オーギュストさん。そう言えば、どうしてここに?」
「んっ、あぁ、なんか不自由な事はないかとか聞きに来たんだよ」
「不自由な事ですか。特に無いですね」
「そうか、それは良かった。……他に聞く事はないのか?」
「他にですか?」
聞く事はないかと言われても、特にないと思うけど。
「ないですけど」
「……いや、普通あるだろ? あの時の俺が出した剣とか」
「あぁー、あれですか。秘匿されると思って聞かなかっただけですよ。教えてくれるんですか?」
「あぁ、俺は教えるつもりでいたんだが」
後頭部を掻きながら、そんな事を言う。
えっ、教えてくれるの。
実はめっちゃ気になってたんだよな。
何処にもないところから剣が出て来たんだ、気にならない訳がない。
「良いんですか?」
「あぁ、別に良いぞ」
「じゃあ、お願いします」
「これは、魔剣ファトムルという」
そう言いながら、オーギュストは魔剣ファトムルを一瞬で右手に出す。
「聖剣や魔剣の中には身体にその聖剣や魔剣を入れる事が出来るものがある。そう言う魔剣や聖剣は例外なく所有者を選ぶものだ。……俺もこの魔剣に選ばれたから使っている。……ただ、中には所有者を乗っ取ろうとするものもある。もし、手に入れる機会があったら気を付けた方がいい」
なんで、自分から話してくるのかと思ったら忠告をする為だったのか。
実際に魔剣ファトムルの能力を一切言っていない事からも、分かるだろう。
要約すると聖剣や魔剣は強力だが、所有者を乗っ取ろうとするものがある。
だから、使う時には気を付けろ。
そう、忠告しているのだ。
そして、態度からも分かるけど絶対に乗っ取られるなと言っている気がする。
「……特に魔剣には気を付けろ。所有者を乗っ取ろうとするもののほとんどが魔剣の方だからな。それ以外にも、何らかの代償がいることもある」
聖剣や魔剣を使ってみたい気もするけどリスクがある事を覚えとくべきだな。
代償か、聖剣は悪魔である俺に使えるのか分からないから、使うとしたら魔剣になると思う。
だから気を付けないとな。
「まぁ、要するにだ。聖剣や魔剣の類には気を付けろ」
そう言いオーギュストは話は終わったとばかりに立ち上がり、部屋を出て行こうとするが扉の前で立ち止まりこちらを振り向き口を開く。
「……あっ、忘れる所だった」
「なんですか?」
「刀夜って従魔にしている魔物っているか?」
「はっ?」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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誤字脱字が多いいと思いますので誤字報告で教えて貰えれば嬉しいです。
アドバイスなど、してくれるととてもありがたいです。アドバイスよろしくお願いします。他にも何かあれば遠慮無くどうぞ。
この作品に良さそうな作品名があれば教えて下さい。
もしかすれば、その作品名にするかもしれませんご協力よろしくお願いします。
魔物の名前とかにあまり詳しくありません、なのでなんでもいいので教えて貰えれば嬉しいです。
スキルや武器などの特殊効果も教えていただければ嬉しいです。その際はどの様な能力かも教えていただければ助かります。
これからもこの作品をよろしくお願いします。