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第3話:ファンド辺境伯

 オーギュストさんとの話し合いの結果、俺は近くの都市で国王と話し合いをする事になった。その結果、俺はオーギュストさん達に連れられて近くにある都市にやって来たのだが、ほとんど人の気配がしない。


 可笑しいな? オーギュストさんが言うにはここは都市のはずなんだけど? なんで、全然人が居ないんだ? まさか、この世界は人口がかなり少ないのか?


 そんな疑問を思う。俺はまだ、オーギュストさん以外の人と話していない。オーギュストさん以外の人は俺を怖がって近付いてこないからだ。なので、オーギュストさんに疑問に思った事を聞いてみるしか選択肢はない。


「あのー、オーギュストさん」


「んっ? なんだ?」


「都市の割に人が少ない気がするんですけど」


「この都市にいた人達の殆どは避難したからな今居るのはこの都市から離れたくないと言っている人と何らかの事情でこの都市に残る事にした人しか今は居ないからな」


 それを聞いて納得した。そして、何故このようなことになってしまっているのかと言うことを理解していまう。この都市にいた人達は俺のせいで避難せざるを得なかったということを。


 刀夜はとても申し訳ない気持ちになる。


「……そうですか」


 現在俺は馬車の中にいる。向かい側の席にオーギュストさんが座っている。そして、オーギュストさんの部下の人達はと言うと俺達が乗る馬車を囲む様にして隊列を整えながら進んでる。


 俺達が向かっている所はここら一体を収めている人のお屋敷らしい。




 しばらく都市の中を進んで行き、ようやく馬車が止まる。馬車が止まると馬車の扉がコンコンと、ノックされ声が聞こえてくる。


「ファンド辺境伯様のお屋敷に到着致しました」


 その声にオーギュストさんが答える。


「分かった」


 オーギュストさんはそういい俺を見る。


「刀夜。済まないが、少しの間、馬車で待っていてくれ」


「分かりました」


 オーギュストさんは俺の返事を聞き馬車の扉を開け馬車から降りる。オーギュストさんが降りた時に外の景色が見えたのだが、どうやらお屋敷の敷地内ではなく敷地の外みたいだ。何故、そんな事が分かったのかと言うと塀が見え、塀の中にお屋敷らしきものが確認出来たからだ。だが、じっくり見る前に馬車の扉が閉まったのでお屋敷なのかは断言出来ない。



 オーギュストさんが馬車を降りて何処かに行ってから約10分くらい経つ頃に戻って来た。


「済まないな。少し長くなってしまってな」


「いえ、別に構いませんよ」


「そう言って貰えると助かる」


 俺はニコリと笑って答える。


 馬車はオーギュストさんが戻って来ると同時に進み出し少し進んで止まる。


「刀夜。これを羽織っておいてくれ」


 オーギュストさんが渡してきたローブを受け取る。


「分かりました」


 ローブを言われた通り羽織る。


「フードも被っておいてくれ」


 俺は言われるがままにフードを被る。


「これでいいだろう。それじゃあ、馬車から降りるぞ」


 オーギュストさんはそう言いながら、俺の服装チェックでも、しているかのように見た後、馬車の扉を開け馬車を降りる。俺もオーギュストさんに続くように馬車を降りると、目に入ったのは視界いっぱいに広がるお屋敷だった。ただ、大きいお屋敷と言う訳ではなく、パッと見でもわかったのだが細かいところまで丁寧に作られている。


 予想していたお屋敷よりもかなり大きかった為、俺は目を見開いて驚き、更には、お屋敷全体が一つの芸術作品のようで目を奪われる。


「刀夜。驚いているところ悪いが、着いてきてくれ」


 まだ、驚きから立ち直れておらず頷くことしか出来なかった。


 オーギュストさんは俺が頷くのを確認して歩き出す。


 お屋敷に目を奪われていて、今まで気が付かなかったが、噴水がある事に気が付いた。噴水の横を通り過ぎそのまま、真っ直ぐに進むと4~5メートル程の大きな扉が開かれており、オーギュストさんはそのまま、お屋敷の中に入って行くので俺もお屋敷に入って行く。


 お屋敷の中に入り迷いなくどんどんオーギュストさんがお屋敷の中を進んで行く。


 俺はお屋敷の中に入って一度立ち止まって居たので急いでついて行く。


 それから、少し歩くと一つの部屋の前でオーギュストさんが立ち止まり、コンコンと扉をノックすると部屋の中から声が聞こてくる。


「どうぞ」


 そう声が聞こえるとオーギュストさんが扉を開けて中に入って行くので、俺も入って行く。部屋の中には二人の男が居た。一人はテーブルを真ん中に置き向かい合うように置かれているソファーに座っている。その男の年は30代後半程の年齢だと予想できる。若い頃はさぞかしモテていただろうと思わせる容姿をしている。


 もう一人はその人の後ろに立っている初老の男だ。初老の男は執事服を着ており、白髪でダンディーな印象を受け、これぞ正に執事と言えるだろう。



 扉を開け部屋の中に入ったオーギュストさんはソファーに座っている男とは反対側に置かれているソファーに座る。


 俺はどうすればいいのかアタフタとしているとオーギュストさんが横に座るように言ってくるので、大人しくオーギュストさんの横に腰を下ろす。


 俺が腰を下ろすと同時に向かい側に座っていた男がオーギュストさんを見て口を開く。


「オーギュスト。本当に彼が例の悪魔なのかね?」


「間違いありません」


「そうか。内包している魔力量は抜きにしたら、私の目には普通の青年にしか見えないのだが?」


「外見と言うことでしたら、翼と尻尾をどういう方法かは、分かりませんが隠しているからです」


「そうか」


 男はそう言い俺を見て口を開く。


「私はロバート・フォン・ファンドと言う」


 俺はボーッとしていたので、反応が少し遅れてしまい、少し焦ってしまう。


「……あっ、俺は天雷刀夜です。気さくに刀夜と呼んで下さい」


「では、遠慮なく刀夜と呼ばせてもらう。私の事は好きに呼んでもらって構わん」


「それでは、ロバートさんと呼ばせていただきます」


「それで構わん。後ろに居るのは当家の執事長をしているゼルバだ」


 ロバートさんがそう言うと後ろに立っているゼルバと紹介された執事が軽く頭を下げる。


「いくつか聞きたい話はあるが、それは陛下が来られた時にでも聞くことになるだろう。……陛下が来られるのは、少なくとも7日は掛かるだろう。それまでは客間で大人しくして貰う事になるが、構わないか?」


 馬車でオーギュストさんと話した時には既に、連絡をしている的な事を言っていたのに少なくとも、7日も掛かるのか。それに、遠回しに俺を監禁しようとしているな。


「……それは、俺を監禁するという認識で合っていますか?」


 部屋中を緊張感が包み込む。


「……刀夜は思っていたよりも頭が切れるようだな。……あぁ、その認識で間違いない」


「………分かりました。ただし、条件があります」


「出来る限りのことはしよう」


「……そうですか。ありがとうございます。では、書物を見せて貰えませんか?」


 ロバートさんが少しの間だが、考えて口を開く。


「……分かった。だが、どのような書物が見たいか詳しく教えて欲しい」


「この世界の一般的知識が分かる書物をお願いします。もしかすれば、後に別の書物も願いするかもしれません」


「分かった。すぐに、用意させよう。ゼルバ、後で用意しておけ」


「かしこまりました」


 ゼルバさんが返事をするのを確認したロバートさんは次は俺の服装に目を向ける。


「新しい服を用意しよう。ゼルバ。刀夜を客間に案内してくれ。後に服の用意を」


「かしこまりました」


 ゼルバさんがそう言い俺に目を向ける。


「それでは、刀夜様。客間に案内致します」


「あ、はい」


 俺はそう言いゼルバさんに連れられて部屋を出て行く。


 部屋を出た後、屋敷の中を進んで行き、少しして一つの部屋の前で立ち止まる。


「こちらが、客間でございます」


 ゼルバさんはそう言いながら扉を開ける。


「こちらの部屋でご自由にお過ごし下さい。書物はすぐに、お持ちしますので少々お待ち下さい」


「分かりました」


 俺は部屋の中に入り、どんなものがあるか確認する。部屋の大きさはかなり、大きく学校の教室を四分程の大きさだ。置かれているものは大きなベッドとお偉いさんの執務室にでもありそうな立派な執務机が置かれている。その他にも、ソファーが二つとテーブルが一つ置かれている。そのどれもが、かなりの値段のするものなのが、ひと目でわかる。そのせいで、全然落ち着かない。


 出来るだけ余計な事をしないようにする為に扉から少し離れた所で立っていることにした。ゼルバさんが来たら部屋を変えてもらおうと心に決めた。


 ゼルバさんを待つこと30分。扉がコンコンとノックされる。だが、一向に入ってこないので、あれ? おかしいなと思っていたら、もしかしたら、入ってもいいのか分からないのかな? と、思い口を開く。


「……どうぞ」


 俺はがそう言うと扉がゆっくりと開かれる。


「失礼致します。刀夜様。申し訳ございません。遅くなりました」


「いえ、大丈夫ですよ。それより、部屋を変えてもらう事って出来ますか? 出来れば、普通の部屋とかにして欲しいのですが」


「分かりました。すぐに、手配致します。書物はそちらのお部屋にお運びして起きますので」


「ありがとうございます」


「それでは、少々お待ち下さい。お部屋の準備をして参りますので」


 そう言いゼルバさんは一礼して部屋を出て行く。


 ゼルバさんが部屋の準備をしに行って5分経った頃に扉がコンコンとノックされる。


「……どうぞ」


「失礼致します。準備が整いましたので、ご案内致します」


「お願いします」


 それから、俺はゼルバさんに連れられて部屋に案内される。その部屋は先程の豪華な部屋とは違い普通を体現したような部屋だった為、気が楽になった。そして、部屋の机の上には数冊の書物が置いてあり、その横には衣類が置かれているのだった。




刀夜が部屋を出た後オーギュストとロバート辺境伯。

――――――――――――――――――――――――


「オーギュスト。本当にあの青年が陛下が言っておられた悪魔それも悪魔皇クラスの悪魔で間違いないのだな?」


「それは、間違いないかと。確かに、悪魔らしくもない性格はしておりますが、それは転生者であるからかと」


「……そう考えるのが、妥当か」


「ファンド辺境伯。これから、刀夜をどう扱うおつもりですか?」


「……陛下がいらっしゃられてから決まるだろうが、少なくとも、他国には隠す必要があるだろうな」


「ファンド辺境伯。他国だけではなく、魔王からも隠す必要があります。何せ、悪魔皇クラスの悪魔を支配下に置けると考える魔王も居るでしょう」


「確かにそうだな。だが、生半可な魔王ならば兎も角、最古参の魔王達が動き出せば、この国ではどうする事も出来ん。何か危害を加えるような事をすれば、この国が滅ぼされかねん」


「それは他国も同じ事でしょう。最古参の魔王達が動き出すことはあっても、それはかなり先になるでしょう。もしかすれば、最古参の魔王の誰一人として動く事がない可能性もあります。何せ、誰かが動けばその隙に他の最古参の魔王に攻撃されると言うリスクがありますから」


「確かに、そうだな。しかし、リスクを負ってでも、支配下に置こうとする可能性があるのは確かだ。……オーギュスト。お前ならば、最古参の魔王を相手に何処まで戦える?」


悔しさも混じった声音でオーギュスト言う。


「……良くて数秒と言った所でしょう。最古参の魔王では無く、新しい魔王であれば、互角と言った所でしょうか」


「……では、刀夜であればどうだ?」


まさか、ファンド辺境伯からこのような言葉が出て来るとは思わず、オーギュストは驚く。


この問は、二通りの解釈ができた。


一つ目はオーギュストが刀夜を倒せるかどうか。


二つ目は刀夜が最古参の魔王を倒せるか。


一瞬だが、どちらか迷ったがすぐにファンド辺境伯が言った聞きたいことを理解する。


「……そうですね。刀夜の身のこなしを見ると何らかの武術をしていた可能性がありますね。なので魔法関係のことを学ばさせれば、勝てないまでも、そこそこ良い勝負が出来るようになるかと。……ただし、相手が本気を出せば一瞬で決着が着くでしょうが」


「……勝つ事は出来ないと?」


「いいえ、そういう訳ではありません、これは予想にすぎませんが刀夜の潜在能力だけで言うならば、互角だと思います。ですが、経験や技量の差があります。そういうものは、そう簡単に埋まるものではありません」


「……そうか、勝つ事は出来なくはないか」


そうしみじみと呟く。


少し強い声音でオーギュストが言う。


「ファンド辺境伯。刀夜を利用しようとはしない方がいいかと、後で痛い目をみますよ。いくら、性格が温厚であっても、何をしてもいいと言う訳ではありません」


「それは、分かっている。だが、もしもこの国が何者かに攻められた時の事を考えて、何らかの手段でこの国に引き込む必要があると思っただけだ」


オーギュストはファンド辺境伯を疑いの目で見る。


「……そうですか。引き込む引き込まないは陛下がお決めする事です。いくら、貴方と言えども今回ばかりは発言力はそこまであるとは思えませんよ」


「それぐらいは、分かっている。だが、一応陛下に進言してみるつもりだ」


オーギュストはファンド辺境伯を睨み付けながら言う。


「……そうですか。ですが、変な事に刀夜を利用するつもりでしたら、許すつもりはありませんよ」


オーギュストの睨みに屈すること無く、何事もないかのように振る舞う。


「この国最強の騎士ともあろうものが、随分と入れ込んだようだな」


そこで、オーギュストがハッと気が付く。


いつの間にか刀夜にこれ程までに入れ込んでいたのかを疑問に思い一つの事が頭に過ぎる。


生まれ持っての王の器


それが、頭を過ぎる「いや、まさかな」そう否定し、これ以上この事について思考するのをやめる。


「俺はこの国最強とは限りませんよ。俺よりも強い者はこの国に数人あるいは10人以上は居ると思っています」


「ほぉー、そこまで過小評価せんでも、良いと思うが」


「過小評価はしていませんよ。人族だけで言えば、強い部類には入るでしょう。ですが、他種族も含めれば、強い部類に入れるかすら怪しい。それどころか、弱い部類に入るでしょう」


「そうじゃろうが、それは龍族などを入れてのものだろう」


いつの間にか、オーギュストの表情は曇っていた。


「確かにそうですが」


「もっと、自信を持つべきだな。お前は紛れもなくこの国最強の騎士だ。その調子では陛下に合わせる顔がないぞ」


「……そうですね。これまで以上に修練に励む事にします」


「それでいい。それでこそお前だ。……済まないが、話はここまでだ、私は執務をしなくてはならないのでね」


そう言いファンド辺境伯は立ち上がり、部屋を出て行く。オーギュストは部屋を出ていく際のファンド辺境伯に頭を下げた。


その後、心を落ち着かしオーギュストも部屋を出て行くのだった。


――――――――――――――――――――――――



最後まで読んでいただきありがとうございます。


面白い! また読みたい! など思っていただけた方はブックマークと評価お願いします!


誤字脱字が多いいと思いますので誤字報告で教えて貰えれば嬉しいです。


アドバイスなど、してくれるととてもありがたいです。アドバイスよろしくお願いします。他にも何かあれば遠慮無くどうぞ。



この作品に良さそうな作品名があれば教えて下さい。

もしかすれば、その作品名にするかもしれませんご協力よろしくお願いします。

魔物の名前とかにあまり詳しくありません、なのでなんでもいいので教えて貰えれば嬉しいです。


スキルや武器などの特殊効果も教えていただければ嬉しいです。その際はどの様な能力かも教えていただければ助かります。


これからもこの作品をよろしくお願いします。

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