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第7話 はじめてのいらい、はじめてのいせき

2週間以上空けてすいませんでしたーー!! (土下座)

「よし、これで今日の準備は万端かな。」


 あの後早速遺跡に……と言いたい所だったがその日はもう時間が遅かったので近くで手頃な宿を見つけて1泊。

 そしてその次の日も疲れが溜まっていたし、装備を整える為にもその1日を全て軍事企画での官営武器店や商業区画のバラエティマーケット(バザーのようなものだ。)念の為の情報収集に費やしたが、そこで手に入れた物は一刻も早く金を稼ぎたい賢司にとっても時間以上に有益に感じさせる物だった。


 正規品だったため少し高いがM26手榴弾が12個、念の為スタングレネードとスモークグレネードを2つずつ、自分と銃を繋ぐチェーンの予備や機械などを焼き切る為のバーナー等が上から順に36000円、6000円、4000円、30000円と占めて7万強、そして昔から愛用していた虎の子のC4爆薬を1kg。

 威力や爆発事故の起こりにくさやちぎれば形を変えられるし何処にでもくっつく利便性から40000円もの値段がついていた。

 それらや銃弾の補充、暗視グラスや携帯食料等を揃えると残金は15万、贅沢を言えば賢司が生きていた頃に開発された光学銃(レーザーブラスター)も欲しい所だったがそれは財布が許さなかった。

 そして賢司だって人であり、飯や宿の事を考えるのとエリンや牙狼のこと抜きでも動き出さなきゃまずい状態だ。


「ごーしゅーじーんー! 昨日買ったものの整理はOKですか? 銃のメンテナンス、ナイフの手入れ、動作確認とかやらないと本番の時に……」


 そこまで言われた所で賢司はスマホから光を映し出し立体化していてきるアルペリアの前で、まるで愚問とでも言うかのように手の平を広げた。


「戦いとは準備の事さ。……もう大丈夫だよ。冷静ならFPSの頃の経験からこれくらいのことは理解してる。」


 そう一言静かに告げるとハンター区画にあるE級ハンター用の宿を出てハンター協会に向かい、2Fのクエストフロアに来ていた。

 E級ハンターのクエスト掲示板の前は人でごった返していて、定員に達したものから剥がされていくがどうやら警備等の仕事は人気があるようで、すぐに無くなって行った。

 そしてある程度人がはけてきた後に残っているのは……


「10時じゃ遅いのか……もうほとんどないな。えーと……『井戸のゴミ掃除』、『なくした指輪の捜索』……『模擬戦』? ……『私と友達になってください!』??? それと『未探索遺跡の探索』、『未探索遺跡に現れた半怪異の調査』か。最初の2つは安いしその次の二つは訳が分からん、最後の2つがいいかな……報酬も高いし丁度場所も同じだから一石二鳥だ。」


 受付の若く、髪も整ったメガネの男性にこれらの2つの依頼を受ける事を伝えると、経験の程は?と聞かれ、今日が初めてである事を伝えると急に真剣な顔付きになって首を振った。


「あなた……何故これらの依頼が報酬がかなり高いのに残っているのかお分かりですか? 昔の遺物が埋まってる『遺跡』は色々拾える分依頼の報酬金よりも高い利益を得れるのに。」


「当然ですとも。といっても情報屋への伝手はまだないので特別な情報はありませんが……それでも駆除対象になってる『電気ネズミ』が大量発生している事と、半怪異はCランクのハンターのペアを惨殺したと。……多分この遺跡の事ですよね?」


 受付の男性は試験に合格したばかりの下調べもしないバカなEランクのハンターだと思っていたようでそれを聞いて驚いていたが、今度は疑問を顔に浮かべている。


「ますますわかりませんね……ならば半怪異には当然、電気ネズミにもその貴方の豆鉄砲は通らないと分かるでしょう? まぁ44口径リボルバー(S&W M29)なら何発か打ち込めば行けるでしょうが……情報屋の伝手は教えて上げるから今日は別のにしなさい、『模擬戦』とか経験も積めてよさそうでしょう。」


 その後も電気ネズミはかなり素早いだの電気を飛ばしてくるから危険リボルバーは当たらないだとか、その上皮や筋肉が発達してるからそこそこの火力の銃をフルオートでばらまくのが定石だの要するに『お前には無理だよ』というのを語ってくれた。

 賢司はこれ以上の問答は不要だとでも言うようにハンターライセンスを提出して出ていこうとすると、


「君はバカなのか!? どうするつもりだ!」


 受付の男は傍からすると無謀に見える賢司の行動を止める為に激しく訴えかけた。

 多分いい人なのだろう、恐らく職務を超えてるであろうその警告に少し揺らいだが俺は止まりはしない。


「感謝はしますよ……でも電気ネズミがどんな生物だろうと眼球くらいは貫通できるでしょう? 少なくとも調べた限りはそうでした。それくらいなら多分できる気がするんで。」


 気がするだと!と叫んでいた彼も賢司に出されたライセンスを見て一応は納得したようだ。


「……それでも、そんな装備じゃ1撃で死ぬかもしれないぞ?」


「……銃での戦いでも同じでしょう? そっちはやった事があります。あ、それと……警告してくれた事についての借りは返しますね。」


 賢司がそう言うと受付の男は急に何を言っているんだ? という疑問を浮かべているようで背後にいる恐ろしい存在には気づいていないようだ。


「後ろに(にのまえ)会長が怒りの形相でいらっしゃいますよ。」


 その言葉にハッとしたようで後ろを恐る恐る振り返ると、そこには恐らくさっき賢司に対して職務を超えた警告や叫んでいた事に怒っているのであろうここの長が彼の事を睨んでいた。


「じゃあ、ありがとうございましたー。」


 三十六計逃げるに如かず。

 後ろから情けない叫び声が聞こえてきたがもう関係ない。

 俺は急いでその遺跡への送迎バスが待機している場所に向かった。

 ……ほとんど俺のせいだし後でなんかしらのお詫びの品はもっていこうかな。




 そんなこんなで依頼の紙に書かれていた待ち合わせの場所につくとそこにはかなり経年劣化が激しく、ひどく汚れたバスがそこにポツリのたたずんでいた。

 大きいけど汚いしボロボロですね! 等と失礼な事を口走るアルを黙らせて賢司は恐る恐るそのバスに乗り込んだ。


「おじゃましま〜す……」


 中も外と様子は変わらない。

 人もまだ集合時間まで30分あるからだろうか、運転手の男しかおらず、ハンターライセンスをその彼に見せた後はヒマな時間がしばらく続いた。

 そして15分後には人がチラホラ入ってきたがそれでも退屈は紛れずむしろストレスが溜まっていく。


「そこで俺様はこの斧で真っ二つにしてやったのよ! ガッハッハッ!」


「流石寅吉親分! Cランクハンターは伊達じゃないっすね!」


 隣でこんなガタイがいいが身なりが汚いおっさんとその取り巻き達の自慢話とそれを煽てている彼らの馬鹿みたいな会話を聞かされているのだ、それも当然な事だろう。


「正直本当にCランクなのかも怪しいな……身なりが石器時代だし。髭や毛はボーボーだし眉毛も濃い、同じ現代人とは思えないな……」


 聞こえない様にそうボソリと呟いた。

 どうやら子分の中にもうんざりした顔をしている人がいるようだ。

 彼とはまだ話が出来そうだな……まぁ近づきたくないが。


 それから出発直前になると賢司に追い討ちをかけるような出来事が起きた。


「すいません遅れてしまって……なんであなたがここにいるのよ。」


 駆け込み乗車してきたその女は見覚えがある。

 試験の時にやたらやたら突っかかってきた女、朝倉優奈だ。

 なんとウサミミっぽいのがフードについたピンクのパーカーを着ている。

 爆笑ものなのは間違いないが、どこかでこのファンシー()なファッションを見た事がある様な……まぁいいか。


「そ、その服はな、なんなんだよ。俺を笑かしに来たのか?」


「なによ。どこがおかしいのよ! 可愛いじゃない! 貴方もそう思うでしょう?」


 その言葉で俺の笑いの堪忍袋の緒が切れた瞬間朝倉優奈は腰に差されたリボルバー──シングルアクションアーミーに手を掛けたその瞬間、


「出発しますよぉ皆様方。お近くの席にお座り下さい! 今すぐ、です。それとこのバスの中ではお静かにお願いしますねぇ。」


 バスの運転手が殺気と共に出発を告げたので、さっきの石器時代軍団や俺達は大人しく近くの席に座り静かにしていた。

 ……近くに座ってしまったので隣はウサミミピンクだが。


 そのままバスは走り出したが勿論会話はなく、良くはない雰囲気のまま時間を過ごす事は大変耐え難いものだった。


「なぁ……なんで俺に敵対心を燃やすんだ? しかも最初にあった時から、だ。」


 その雰囲気に耐えられず朝倉優奈に話しかけるが、その返答は……静かにしろっでしょ?だ。

 子供かよ、と吐き捨てて賢司はとりあえず目を閉じてこの時間がさっさと終わる事を祈った。



「皆様方、到着致しましたよ。忘れ物等が無いように気をつけてお降り下さいねぇ。」


 その言葉に従い全員降りるとそのバスは元来た道をそのまま走り去っていった。

 そこで目の前に広がる依頼の遺跡を見てみると、賢司が生きている頃に見た事がある工場が荒廃こそしているもののそこに存在していた。


 暫くそれを観察しているとウツノミヤに入る時に会った門番と同じ装備をした軍人がこちらに走って来た。


「よぉ。お前らが今回派遣されたEランクハンター共とCランクハンターだな? 俺はウツノミヤ陸軍伍長佐々木原(ささきばら)だ。面倒くさいからこれから俺の説明を聞いたらさっさと入ってもらうぞ。OK?」


 OK! と返すと軍人は満足そうにうんうんと頷くとその先を話出した。


「よぉーしいい返事だ。ここの遺跡は元々結構人が来て物もここに住み着いてた輩も大体片付けられてたE級遺跡なんだがな、最近床に穴がぶち空けられてるのが発見されて、その先には更に地下がある事が発見。それでお前らにお鉢が回ってきたってわけ。だが先日のハンター達によって分かったんだがそれを空けた怪異が住み着いてて、しかも電気ネズミも地下から湧いてでた。こいつぁまずいって訳でこの依頼はEランクから格上げされたはずなんだが……手違いでもあったのかね? ……まぁ受けちまったもんは仕方ない、お前らは任務を果たせ。電気ネズミは鼻を持ってくれば討伐したと見なして1匹あたり5000円を払おう。それでは解散だ。」


 そう彼が宣言したので俺らは一斉に工場に侵入した。

 外見以上に中の見た目は酷く、あちこちの機械が破壊され部品が取り除かれなんなのかさっぱり分からない怪異の死体が転がっていた。

 一刻も別の場所に移動したい気持ちは全員一緒だったようで、早歩きで佐々木原と名乗る軍人に指定されたポイントに到着すると、


「あそこが例の穴ですね親分! 急ぎましょう

 !」


 寅吉とその子分はその穴から下げられたハシゴでさっさと降りていってしまった。

 賢司や優奈は流石に周囲を確認せずに降りることは出来まい、とライトで確認してから降りると彼らはもういなくなっていた。

 辺りは上の階とは違って古いが荒らされた形跡はなく、今のところは死体もないが、優奈と二人きりだ。

 さっさと離れようと賢司はするが、


「ちょっと待ってよ。」


 意外にも朝倉優奈から止められる事となった。


「どうした? まさか一緒に仲良く工場を探索しましょうとでも言うのか?」


「まさか、馬鹿にしないでよね。そうじゃなくて……電気ネズミを倒した数で勝負しない? 白黒つけましょう。」


 俺はすぐさまハンターライセンスをこれみよがしに見せびらかしてもう勝負ついてるから、俺Sランクだし。

 と挑発するが相手は意外にも冷静だった。


「実戦を行うまで実際はどっちが強いのかは分からないわ……貴方も分かってるでしょ? 撃ち合うのは最後の手段にしたいし……今はそれで争いましょう?」


「俺らの任務は駆除じゃなくて探索だぞ……?」


「どちらも勿論完璧にするわ。じゃあ始めましょうよ。私が右の道で貴方が左、今から3時間後の15時にはここに集合しましょう。」


 そう言うとゆっくり歩きながら朝倉優奈は、右の道を進みその角へと消えていった。


「受けるとは言ってないんだがなぁ……」


「またまた〜ご主人は挑戦を無下にしたりはしないでしょう?」


 まぁな、と返して賢司はサングラスを外し暗視ゴーグルを装備するとネズミや噂の怪異を警戒しながらその黒いコートを闇に溶け込ませていった……

*次回予告とハンターライセンス公開はお休みです。


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