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断章 いつかの君

これはちょっとだけ本編よりも未来の話です……

次話からが本編になります。

 偏差をつけて撃つ。

 かれこれもう1010年前からやり続けていた事だ。標的をセンターに入れて引き金を引いても当たるはずはない。相手だってうごいているのだから。

 そして今も俺は目の前の怪異(つまりはモンスターだ)の進む先に標準を合わせ……



 バァン!……



 そして引き金を引いた。

 俺の愛銃であるサブマシンガンのvz61(スコーピオン)から放たれた一発の弾丸は、高速で移動していた筋肉が異常に発達している黒い犬の怪異の頭を撃ち抜いた。

 この3000年代の世界に来たばかりの頃ならともかく、今となってはたとえ目をつぶっても、外すことは無いだろう。




「はァ……何体狩ってもゴキブリみたいに出てくるな。ゲーム(FPS)の中の敵兵の方が俄然強敵だね……」


 黒のロングコート、黒のカウボーイハット、そして黒のサングラスを身につけた青年は気だるそうに呟く。退屈なようでスコーピオンを指でクルクル回し始めていた。



「行けませんよ我が主。 いくら1000年前のゲームで最強だったからとはいえ、あの怪異も主とっては危険です。当たればほぼ即死に近いでしょう。まぁそうなっても私の機械生命全てを賭けて阻止しますが。」



 犬型ロボットが自信ありげに青年に話しかけていた。もし人型だったら多分胸を張っているだろう。彼の自信にも理由がある。彼の背中にはガトリング砲のようなものが積まれているからだ。

 この瞬間まではどちらも気を抜いていて多少余裕があったが、青年は何かを察知したようで、スコーピオンを構えている。サングラスのせいで表情は分かりにくいが緊張しているようだ。




「──さっそく出番みたいだぜ。」



 青年がそう呟くと、銃や防弾チョッキ、ガスマスクで武装した人間が5人。崩れた建物の物陰から出てきた。いや、もうすでに人とは言えないかもしれない。

 彼らは胸から血を流しているものもいれば、首から上がないものもいる。そして全員顔は青白く、生気がない。おそらくゾンビと言われるものだろう。

 そして次の瞬間銃撃戦がはじまった。



「あぶなっ! 」



 1人と1匹は素早く崩れた建物の影に転がり込み、そこからグレネードを投げた。それは勢いよく弾け、それだけで2人をバラバラにした。当然残ったゾンビは急いで飛んできた方に突撃するが、読まれていたようで、青年の視界に映った瞬間にスコーピオンで頭を撃ち抜かれていた。

 その光景はまるで、ゲームの中のようであった。

 銃を敵に構え、そして撃つ。現代人にとってはゲームの中でしか縁がないだろう。しかしゲームの中と違うのは、これは人対人ではなく、相手がモンスターだというところと、これが現実のことであるというところだ。



「ふぅ……いやぁ数は多かったねぇ、数は。ちょっと疲れちゃったよ。」



 等と既に少し気が抜けた様なことを言っていたその時、背後から来ていた犬のモンスターに襲われ……


「主よ! 伏せてください!」


 ることはなく、俺の愛犬(ロボット)の背中にそびえ立つガトリング砲が火を噴き、ドガガガガっと銃声の嵐が終わった後にはモンスターはボロ雑巾と化していた。


「主よ、いくら私がいるとはいえ無防備過ぎます!あの御方を助ける前に死んでしまったらどうするのですか!」


「悪いね……確かにそれは嫌だな。穏やかな1000年前の日常を取り戻して、せめて10年は謳歌しないとやってらんないわ。」


 そうだ……俺は止まれない。あのクソ野郎のせいで半怪異しちまったこの腕、1000年間一緒だったアイツを取り戻すまではな……


 そうして自分はスコーピオンをホルスターにしまい、自分の隣に建っていた建物の柱を醜く紫色に変色した腕で砕きながら

 そう、心に誓った─────


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