『第六話』
はいっ!
前回から続きます今回は?
又々回りに回って再び”眼くん”パートってな訳でっ?
始まり始まりっ!
人の噂も七十五日、なんて言葉があるが、こと学校においてはそうでもないように思われる。
昼休みに寝たふりをし、耳を澄ませていればいくらでも噂話を聞くことができる。大概の出どころは女子だ。
やれなんとか先輩は誰々と付き合っているだとか、やれなんとか先生はこれこれという噂があるだとか、列挙に暇がない。
大抵は取るに足らない内容だが、そうとも言い切れないものもある、というのもまた事実だ。火のない所に煙は立たぬ、とはよく言ったものである。
実際に噂通りの現場を目撃したこともあり、中々馬鹿にならないということは身に染みている。情報源として活用にするには中々便利なのである。
そんな噂を聞きながら、僕は珍しく、かの先輩のことを思い浮かべていた。
初めて対面して以来、僕を文芸部に縛り付けることになったあの必死な目を未だに拭い去れていない。他者に興味を抱かない僕にとっては、こんなことは人生で初めてだ。だからこそなのかもしれないが、不思議と裏切る気にはならない。
――あの子は実は繊細な子だからね。ちゃんと支えてあげなさい。
蘭先生の言葉が頭をよぎる。そんなによく生徒を見ているならちゃんと顧問になればいいのにとは思ったが言わないでおいた。
きっと理由があるんだろう。そうでなければ何故顧問が鳴九亜先生なのかが一切理解できない。あの人職員室で見る度に絵を描いてるし、読書すると言ってもラノベしか読まないし、文芸部顧問の適正はゼロだと思う。
まあ、僕の文芸部員としての適性も負けず劣らずだと思うけれど。
さて、昼休みもそろそろ終わり。あと二時間ほど耐えれば、学校も終わりだ。
今日は部活もないのでいつもならすぐに家路につくところだから、今日に限ってはそういうわけにもいかない。
文芸部を救うために。部長への報告はある程度経ってからでいいだろう。
僕の情報収集能力と忍耐力を使うときがきた。
はいっ。
そんな訳でっ? 次回は自分パートっすねっ!
お楽しみにっ。