エッセイ集／『鬱』系集

第一部(一回目の完結)

無垢。

純度が100%の人格

混じり気のない人格

何にも染まらない

染まることを知らない

そんな人格であればいいのに

純粋無垢な少年少女

当時の人格は

何処に旅立ったんだろう

もう帰ってこない

旅に出たんだろうか

昔の無垢は何処へ行った

時折見せる残酷さ

その影を隠す無垢の白

全て塗り潰された

染まった色は戻らない

灰色にすら

鈍色にすら

無垢であったあの時

自分が無知であることを

知らなかったあの時

今は羨ましいと思う

無知は罪でこそあれ

罰を受けるものではなかった