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古傷。
あくまで比喩。
たまに抉られる傷がある
表面から深く入って
荒く削るように皮膚を
傷を抉っていく
彼らは何も知らない
僕がどう思っているのかを
僕は何も知らない
彼らがどう思っているのかを
ただ楽しんでいるようだ
人を蹴落とすのが人間
人間は嫌な生き物だ
心の隙間を埋めようと
治した傷に刃が入り
梃子のように押し上げる
言葉の刃たち
嘲笑のような
あるいは卑下したような
忘れた頃に思い出す
忘れたいことと
忘れた恥を混ぜた
一緒くたにした汚い血
傷の深さよりも
人の悪意の深さを知る