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今。
闇を濃縮したような世界に
水が一粒滴り落ちて
広がる波紋に僕がいて
消えゆく波紋に君がいた
草木も死にゆく秋の夜に
芽吹く感情は知れていた
誰も彼も変わらないんだ
平行線の話であって
僕は垂直線を望む
穿たれた穴は深く
抉られた傷口は腐る
嫌うこの世は煩くて
喧騒の中独りぼっち
誰も彼も気に留めない
直線上の話であって
延々と続く渡り廊下
誰を待っているんだろう
持っているものを捨て去って
両手に乗せた闇よ
終わりを望み
始まりを拒んでいる