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憂鬱。
ちょっとした憂鬱さを友達っぽく。
文字が見える
黒い楷書体の
『鬱』の文字
部屋の片隅で立っていて
ただ何もせずに僕を見る
右下三本が揺れる
笑っているのかと
少しした被害妄想
学校のノートに『憂』が
さりげなく挟まっていた
栞の代わりなのかと尋ねると
お前が呼んだんだと一喝
僕はお前を呼んだ覚えはない
『憂』と『鬱』は仲がいい
気がつくと『鬱』が
『憂』を頭に乗せている
ベッドの隣で立っていて
暗闇に紛れてそこにいる
幽霊の方が怖い
いつもなら言える言葉も
今では何故か億劫だ