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エッセイ集/『鬱』系集  作者: 東雲 流水
第一部(一回目の完結)
120/171

完全。

撃鉄の落ちる地

鋼鉄の走る空


鈍色を持った人は他人を殺し

鋭きを持った人はただ惑う


真っ赤に染まる雲と

俺を笑うように浮かぶ月

海は変わらず岩を打ち

累々とした骸を浜辺に運ぶ


無力さに嘆いて

親の墓の前でただ泣いて

地にひれ伏して叫ぶ


『何をしたというのですか』


俺たちが一体

何をしたというのですか


風を掴む右腕は

伸ばした刹那に爆散し

地を掴む左腕は

伸ばした刹那に引き千切られ


天を仰いで嘆いた首は

もたげた刹那に縦に裂かれた


溢れる涙は止まらず

不幸な自分があくたみたいで

夢を馳せた過去の自分は

幻だったかのように霧散した


木の十字架が眼前に二つ

その前で泣きじゃくる

声が枯れていても構わず

変わらぬ世界に物を言う


人は完全ではあらず

完全ではいけなかったのだ

完全は望むから完全なのだ


説教は次から次へと溢れる

むせながらも言葉は止まらず

ただ慟哭のみが轟く


海が運ぶ海風の中

陽の光を見せる地の真ん中

ただ遠く遠く思う


空の向こうとは言わない

地の果てとは言わない


ただ遠くに


遠く遠くに行ってみたい

彼方の風を掴んで

此方の地を踏んで


完全を求めれば

全てを失うんだ

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