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無知。
知らないだろう
泥水の中でたった一人
泳いでいく感覚を
知らないだろう
闇しかない部屋の中
たった一人で思考する感覚を
知らないだろう
周りが全員嫌いなもので
自分も嫌いになっていく感覚を
知らないだろう
文字の優しさと
日本語の美しさを
知らないだろう
皆とは違う方に進んでいき
石を投げられる感覚を
知らないだろう
一分一秒だって手放せない
縛りつけられた黒々しさを
知らないだろう
嘆いたところで結局
何も変わらないという現実と苦痛を
知らないだろう
僕の感情を
人それぞれの感情だ
しかし僕は僕の黒さを
心にしまっておくよ