まさかのエンジョイ
まさかあのキャラのメイン回
前回の話で一人暮らしならぬ居候を始めたアンコです。そして、居候生活を始めて数週間が経った。順調に楽しく生活ができている。やっぱりね勉強が捗るね。今までよりもずっと充実した生活を遅れている気がするよ。
まあ、私の生活についてはまた違うお話で。今回はこの頃起きた大事件について話そうか。
〜つい最近の出来事〜
今日は授業も終わったので恒例の部活の日だ。なんだかうちの部活は活動日など正確に決まっておらず、一回部室に寄って新生がいたら活動するという感じになっている。まあ、私の場合新生と同じクラスなので活動する時は必ず私に話しかけてくる。なので、私は今日新生と一緒に部室に向かっていた。
「今日は絶好の部活日和だな。そうは思わないかアンコ」
「どーせ部室の中でバカやるだけでしょ。それやるのにいい日とかあるの?」
「そりゃあ、雨降ってたら部屋の中ジメジメしてテンション下がるだろ。今日は晴れてるし最高だ!」
「いや、あんたこの前雨降ってる時の活動で『廊下が鬼のように滑るぅ〜』とか言って廊下スピードスケートとかやってたじゃない」
「…まあ、そんな日もあるさ」
実際のところ部活日和なんて新生のテンション次第でしょ。そう思いながら歩いていく。部室まで歩く道なんてもう慣れたものだ。最初の頃は過ごしだけ迷ったこともあったからね。
「よぅし、部室に到着。部活棟の端っことか遠すぎるよな」
「元々の写真部がここだったんだから仕方ないじゃない。てか、写真部ならなんか写真撮りなさいよね」
「女の子のパンツなら撮ったぞ」
「いや、それは撮っちゃダメでしょ…」
パンツの話をしながら部室の中に入る。相変わらず無駄にソファとかあって豪華な部室だ。前の写真部はカメラとかに部費を使わなかったのだろうか。
「まあ、俺たちが一番乗りだわな」
「そりゃ、HR終わって速攻来てるんだからそうなるでしょ」
「俺がいるぞ…」
「「ウワァァァァァ!お化けー!」」
「お化けではない。修羅だ」
ソファの裏からぬっと修羅が出て来た。HR終わってからすぐに来たのに私たちよりも早く来るなんて…。もしかして修羅もぼっちなのかな。
「お、おぉう。修羅か。びっくりしたー」
「なんだかんだ言ってここはくつろげるからな。たまにここでギャルゲーをやっているんだ。ンハァ二次元は素晴らしい。平面こそ最強だな」
「いや、怖いよ。何よンハァって…」
「ある意味お化けの方が良かったかもな…」
「ンハァくらい言っていいだろう。お前たちはンハァ言わないのか。一日1ンハァは義務付けられてるぞ。ワイマール憲法に」
ワイマール憲法どんだけ鬼畜なんだよ!ドイツに謝れや!
「もう、ンハァの話はもういいよ。ンハァ今日はあと桐島が来ればフルメンバーだな。今日は何しようか」
「ンハァの使い方全然違うんだが…。その前にな。少しだけ話があるんだ。なあ、アンコ」
私の名前が呼ばれる。私修羅からなんかあるとか聞いてないよ。まあ、何か言ったところでどーせろくでもないことなんだろうけど
「みなさんこんにちは。今日は最高の紅茶をお持ち致しましたわ」
「俺とデートしてくれ」
ちょっと聞き逃せないことが聞こえたなぁ。
そう思って部室のドアの方をみてみると桐島が突っ立っていた。
「………………」
ちょっとぉぉ!最悪のタイミングじゃない!
「す、す、すみません。紅茶の方は教室の方に忘れてしまいましたわ。すぐに取り帰りますので少々お待ちください」
「おう!紅茶楽しみにしてるぞ」
ちょ、ちょっと待って桐島!これは誤解なの!ちょっと待ってぇぇぇ!てか、新生なに普通に紅茶楽しみにしてんのよ。爆ぜなさいよ!
「ちょっと修羅。デートってどういうこと?いきなりそんなこと言われても意味わかんないんだけど」
取り敢えず理由を聞いてみる。ちゃんと説明すれば桐島の誤解も解けるかもしれない。
「ふっ、よくぞ聞いてくれたなアンコ。そんなに聞きたいか?」
「かっこつけなくていいから早く話して」
「はい。なんでデートなのかというとだな。そろそろ俺も三次元への耐性を強化しようと思ってだな高難易度ミッションに挑もうと思ったんだ」
そうよね。修羅の私への申し出なんてそんな理由でしかないよね。良かったぁ誤解が解けそうな申し出で。
「紅茶の方はカバンの中にちゃんと入ってましたわ。私ったら焦っちゃって」
「じゃあ、今度の週末にでもさっさとデートしましょうか」
ん?またドアの方で声が…って桐島じゃない!
「すみません私家に帰って自害する約束がありましたわ!さようなら!永遠に!」
ちょっと待ってぇぇぇ!桐島さぁぁん!あ…行ってしまった。
「桐島今日は慌ただしいな。何かあったのか?生理痛か?女は大変だな」
冷静に分析してんじゃないわよ新生。てか、冷静に分析した結果が生理痛って酷すぎるよ!あ、そうか新生は桐島の修羅への恋心を知らないんだった。知ったところで面倒なことになりそうだから2度と知ってもらうことはないだろうけど。
「週末だな。心得た。これで俺も一歩三次元に近づくわけだ」
あんたは元々三次元の人間でしょうが。いつからあんたは薄っぺらい存在になったのよ。
「はぁ…。もうなんでもいいからデートなんてクソ行事早く終わらせるに限るわ」
私は切にそう願うのみだった。
〜週末〜
時は早いものであっという間に週末が来た。あのデート発覚事件から桐島は部室に立ち寄ってくれなくなってしまった。友達のいない部活がこれ程までにつまらないものだとは思わずもう生きながら死んでるようなものだった。
ちなみに今日のデートは遊園地だ。待ち合わせ場所は学校の最寄りの駅で待ち合わせということになっていた。約束の時間は9時のはずだが、すでに9時を数分すぎている。
ちなみに私が家に帰って葉子にデートのことを話したらやけに気合を入れてくれてちょっとおしゃれな格好をさせてくれた。
薄いピンク色のワンピースで頭には花の髪飾りをしている。そして水色のポーチを肩から下げてこれで3回目のデートって感じの装いの完成だ。
ちなみにこれらの服は全部葉子がかしてくれたものだ。別に私はおしゃれとか興味ないのでジーンズとかでデートに行こうとしていたのだが葉子がそれじゃダメでしょと横槍を入れて来て新生の部屋へ行き服をいっぱい持って来てくれた。洋服全部新生の部屋にあるらしい。あいつの部屋は物置かよ…。というわけで実はこのワンピースサイズが微妙にあってないため少しダボダボしている。胸はジャストフィットなんだけどなぁ。
「アンコ」
声のした方をみてみるとそこには修羅がいた。ジーンズにTシャツというラフな格好だが修羅の素のかっこよさもあってものすごくにあっている。
「待ったか?」
「結構待ったよ」
「今来たとこって言ってくれよ…。全く俺の気持ちも考えてくれ」
「いや、知らないし…」
ごほんと修羅は咳払いをする。ちょっと嫌な雰囲気になってきていることを感じたのだろう。
「それにしてもアンコかなり可愛くなって来たな。どうした?お前芋臭い田舎っぺじゃなかったのか」
「うるさいわね。田舎でもファッション雑誌くらいあるわよ」
あるにはある。まあ、読んだことはないけど。
「そうか。でもまあ、今日のアンコはかなりグッドだ。バッドだったら即帰宅だったからな」
自由気まますぎるでしょ!良かったぁ葉子がいてくれて。『あぁ…可愛いよアンコちゃん。はぁ…はぁ…』というやけに興奮していた葉子に耐えたかいがあった。
「それじゃあ行くか。あと数分で電車が来るぞ。急げ」
「私早めに来てたしなんで急がなきゃいけないのよ」
「手を引っ張ってやろうか?」
「自分で走れるわよ」
と、いうわけで小走りで駅まで走る。幸いにも電車には間に合って駆け込み乗車気味に中に転がり込む。
「それにしてもあんたと私の二人っきりって実は初めてだったりしない?」
「そうだな。基本俺は群れないしな。女だったらなおさらだ。俺が変な行動してたらひっぱたいてくれ」
変な行動にひっぱたいていいならもうすでに何回かひっぱたいてるんだけどそこのところわかっているのかなぁ。
今回行く遊園地はこの前私と桐島で貸切状態で行った遊園地だ。あー、桐島のこと思い出して来た。ごめんね桐島。こんなやつとの用事すぐ終わらせて帰るからずっとお友達でいてね。
「なに泣いてんだ?」
「気にしないで女だって目から汗が出るのよ」
「いや、俺は男だが目からは涙しか出たことないぞ」
そりゃそうでしょ涙の比喩なんだから。
「おい、見ろ。あそこが俺たちが行く遊園地だ。その名も『ウルトラスパーハイパーアルティメットゴッドフェニックスマークⅡパーク』が見えて来たぞ」
修羅の指差した方を見ると確かにそこには例の遊園地があった。てか、あの遊園地そんな名前だったんだ…。小学生に考えさせたのかな。
「ちなみに命名したのは俺だ」
お前かよ!
「本当の名前は『希望ケ丘エンジョイランド』らしい」
「へー」
なんで小ネタ挟んで来たんだろう…。
エンジョイランド〜エンジョイランド〜
という情けない駅名がアナウンスされて目的の駅にたどり着いた。
「ついたわよ」
「そのくらいアナウンスを聞けばわかる」
電車のドアが開き私たちは駅のホームから改札口まで一息に通って行った。
「そういえば今日のあんたいつものゲーム機取り出さないわね」
「ほぅ、目ざといなそのことに気がついたか。気になるか?俺がゲーム機を触らない理由が気になるか?」
「気になるって程じゃないけど…。まあ、気になるって言っときましょ」
「そうか。気になるかならば教えてやろう。今日のヒロインはアンコお前なんだ。他の女に浮気したりは絶対にしないと誓ったんだ。昨日神社まで行って五回誓ってきたからな」
「そういえば私のことも今日はアンコって呼ぶのね。いつもこういう状況になると愛花って呼ぶじゃない」
「まあ、今回はこう難易度ミッションに挑むって言っただろ。ギャルゲ脳だと高難易度にはならないからな。俺は今日変わる」
「そう…」
一日1ンハァとか言ってたやつとは思えない台詞だ。調子狂うから今からンハァってやってくれないかな。
そして早くも目的地のエンジョイパークの入場口の前まで来た。流石駅名がエンジョイパークだけあって駅から入場口まですごく近かった。
「じゃあ、俺がチケット買って来るからアンコはここで待っていてくれ」
「ありがと。優しいわね」
「いつもは優しくないみたいに言うな。まあ、今日はデートだからなお前にはいつもの2倍くらい優しいのさ」
「そうか…。じゃ、取り敢えずお金渡すね」
「おいおい…おごりに決まっているだろ。ここは俺に任せとけ」
「申し訳ないわね。そこまでしてもらうなんて」
「別に構わん。今日はお前もおしゃれしてくれてるし」
そう言ってなぜか上機嫌でチケット売り場まで行ってしまった。まあ、たまにはこんな修羅があってもいいか。そう思って近くにあったベンチに腰掛ける。
移動だけで疲れた私はそこで一息ついていると修羅が慌てたようにこっちに走って来た。もう券が買えたのかな。
「金が足りなかった。やっぱりおごりはなしだ。割り勘にしよう」
あんたのそういう残念なところ逆に安心するわ。そう思いながら私はお金を修羅に渡す。
「ありがとう。恩にきる。少しここで待っててくれ」
「よろしくね〜」
そうしてまた修羅は急いで向こうの方へ行ってしまった。
修羅が券を買っているのを確認して私はベンチで伸びをした。
そこで私はある違和感に気づく。何か視線を感じるのだ。しかも殺されるんじゃないかと思う程の鋭い視線だ。恐る恐るその視線を感じる方を向いてみる。するとバッと物陰に隠れる女の子がいた。
んー?なんか物陰に隠れた女の子みたことあるような…。黒髪で巨乳で…私のことを見る用事とかある人とかいたかなぁ。
そこで私は悩んだが一人そういう人物がいる人を思いだした。
それはごく身近な人物だ。黒髪で巨乳で私を見る必要のある人物といえば…
「もしかして…桐島?」
私は一人でにそう呟いてしまった。
「よし、アンコ。チケット買って来たぞ」
「ああ、うん。ありがとね」
私はチケットを一枚受け取る。どうやらこの視線に修羅は気がついてないようだ。気がついてたら派手にアクション取るだろうし。
今日はデートの日。場所は遊園地。そして監視付きと来た。
そもそもにおいて修羅と…いや、部活のメンバーとのデートなんて普通であるわけがなかったのだ。当たり前のように非日常にして来るに決まっている。
「じゃあ、行こうか」
そう言って入場口まで歩き始める修羅。
さてと、今日も今日とて非凡な遊園地デートと行きましょうかね。
そう割り切って私も入場口まで歩いていく。
こうして、私の波乱の遊園地デートが始まるのだった。
新生いないと話がうまく回らない…。実は結構いい役回りしてたんだなぁ。女の子の私服って難しい。誰かアドバイスください。