表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵の王  作者: 伊里谷あすか
四、平穏な非日常
57/90

4―4 予定


「で、本題って?」

 続きを美咲が促すと、綾は一度目を閉じてから口を開いた。

「……一つは、明日からの活動についてだ。大まかな部分は当主から聞いたが、確認ついでに細かいところを話し合って決めておきたい」

「わかった。……じゃあ、とりあえず明日の予定からでいい?」

「ああ」

 肯定の言葉を受け取ると、美咲は先程の綾と同じように一旦目を瞑り、。闇に閉ざされた視界の中で聞いたことや話すことをまとめ、再び目を開く。

「明日は朝から街の見回り。たとえ一回きりでも“歪み”が発生したことがある場所に行って、一つ一つ封印の確認をしたり、おかしいと思う部分がないか調べる予定よ。これだけは直接見聞きしないといけないからね。何が起きてるのか具体的にわからない現状じゃ、勘に頼る部分も多いし」

 そこで区切り、綾に視線を投げ掛ける。美咲の視線を受け止めた綾は静かに(かぶり)を振った。どうやら、今のところ質問や疑問はないらしい。その肩に座っているルキアは何故かこちらを睨んでいたが。

 無言で促す綾に応え、美咲は続きを話した。

「で、それぞれの探索班の編成なんだけど、今回は空嶺の人達が協力してくれるから数が多くなるの。いつも見回りは大体二、三人班が十個くらいなんだけど、明日は二十近くになるんじゃないかな。一班につき二、三人っていうのは変わらないけど、一班に一人は空嶺の人だと思う。結界術って攻撃には向いてないけど後方支援としては強力だから、煉賀(うち)の呪術師との相性を考えて班を決めることになってる」

「……二つ、質問いいか?」

 唐突に、綾が口を挟んだ。

「もちろん」

「……僕はどんな立場で参加することになるんだ?」

「……えーと、扱いは煉賀の呪術師と同じよ。でも空嶺の人と二人で組んでもらうわけにはいけないから、私か鳴海を補佐として付ける。ってお義父さん――当主さまが言ってた」

「わかった」

「もう一つは?」

「…………空嶺当主の息子も、協力者の中に入ってるのか?」

「……今なんて?」

 思わず聞き返してしまった。だが、綾はまっすぐに美咲を見つめたまま、繰り返し問う。

「だから……空嶺の当主の息子は明日の調査のメンバーに入っているのか、と聞いたんだ」

「え、あ……陽方さんと此方くんのこと? ……うん。入ってるよ、明日のメンバーに」

「そうか……」

 それきり黙ってしまった綾を美咲が不思議そうにじっと見たが、考え込んでいるのか、それに彼が気付く様子はない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ