4―4 予定
「で、本題って?」
続きを美咲が促すと、綾は一度目を閉じてから口を開いた。
「……一つは、明日からの活動についてだ。大まかな部分は当主から聞いたが、確認ついでに細かいところを話し合って決めておきたい」
「わかった。……じゃあ、とりあえず明日の予定からでいい?」
「ああ」
肯定の言葉を受け取ると、美咲は先程の綾と同じように一旦目を瞑り、。闇に閉ざされた視界の中で聞いたことや話すことをまとめ、再び目を開く。
「明日は朝から街の見回り。たとえ一回きりでも“歪み”が発生したことがある場所に行って、一つ一つ封印の確認をしたり、おかしいと思う部分がないか調べる予定よ。これだけは直接見聞きしないといけないからね。何が起きてるのか具体的にわからない現状じゃ、勘に頼る部分も多いし」
そこで区切り、綾に視線を投げ掛ける。美咲の視線を受け止めた綾は静かに頭を振った。どうやら、今のところ質問や疑問はないらしい。その肩に座っているルキアは何故かこちらを睨んでいたが。
無言で促す綾に応え、美咲は続きを話した。
「で、それぞれの探索班の編成なんだけど、今回は空嶺の人達が協力してくれるから数が多くなるの。いつも見回りは大体二、三人班が十個くらいなんだけど、明日は二十近くになるんじゃないかな。一班につき二、三人っていうのは変わらないけど、一班に一人は空嶺の人だと思う。結界術って攻撃には向いてないけど後方支援としては強力だから、煉賀の呪術師との相性を考えて班を決めることになってる」
「……二つ、質問いいか?」
唐突に、綾が口を挟んだ。
「もちろん」
「……僕はどんな立場で参加することになるんだ?」
「……えーと、扱いは煉賀の呪術師と同じよ。でも空嶺の人と二人で組んでもらうわけにはいけないから、私か鳴海を補佐として付ける。ってお義父さん――当主さまが言ってた」
「わかった」
「もう一つは?」
「…………空嶺当主の息子も、協力者の中に入ってるのか?」
「……今なんて?」
思わず聞き返してしまった。だが、綾はまっすぐに美咲を見つめたまま、繰り返し問う。
「だから……空嶺の当主の息子は明日の調査のメンバーに入っているのか、と聞いたんだ」
「え、あ……陽方さんと此方くんのこと? ……うん。入ってるよ、明日のメンバーに」
「そうか……」
それきり黙ってしまった綾を美咲が不思議そうにじっと見たが、考え込んでいるのか、それに彼が気付く様子はない。