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深淵の王  作者: 伊里谷あすか
三、血の円舞曲
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3―18 当主




 ピタリ、とある一室の前で陽方が立ち止まった。

「父上、お客様をお連れしました」

「入りなさい」

「失礼します。お二人とも、どうぞ」

「「失礼致します」」

 陽方に連れられ、美咲と鳴海はその部屋に足を踏み入れた。


 まず正面に見えたのは 造りの広い和室と、その中央に座する穏やかな顔をした男性。美咲はおそらくはこの男性が空嶺の当主なのだろうと思った。雰囲気は柔らかいが、気配、もしくは存在感がどことなく義父(ちち)に似ている。だが……


(何か、おかしい)


 この部屋全体に満ちる違和感。男性だけの気配ではなく、何か別のものの……

「――さん、美咲さん!」

 小さく呼びかけてきた鳴海の声でハッと我に返る。瞬間、最初からなかったかのように部屋の違和感は消え失せ、ただ、落ち着いた雰囲気の座敷があるだけとなっていた。

「……失礼致しました」

 先に膝をついていた鳴海にならい、スッ、と流れるように膝をつき礼をする。今しなければならないこと、それは煉賀からの使いとして空嶺に協力を要請し共に事件の解決を図ること。

 人が、それも実力のある術者が殺されているのだ。早急に解決を目指さなければ、いずれ一般人に被害が及ぶ。それだけは避けないといけない。

 ……それに比べればあの程度のこと、気にかけている暇はない。

 無理矢理自分を納得させ、美咲は面を上げた。いつの間にか陽方と此方は男性の左右に座り、美咲と鳴海を見つめている。

「煉賀に所属する呪術師で、煉賀美咲と申します。こちらは――」

「同じく煉賀の呪術師、煉賀鳴海です」

「空嶺の現当主、空嶺誠一(せいいち)です。初めまして、煉賀の御息女に術師殿」

 見た目と同じように、落ち着いて優しげな声が男性から発せられる。男性――空嶺誠一は二人をしっかりと見据えると、やがて口を開いた。

「噂には聞いていましたが……二人ともお若いですね」

「え?」

「煉賀家の術師に二十歳を待たずして一流の術師として活躍している者たちがいるという噂は、呪術師の中では有名なんですよ。そしてその者たちは、当主の娘と甥であるということも」

「一流なんてそんな……私たちはまだ未熟者で――」

「誠一様、失礼ですが本題のほうに入らせて頂いてよろしいでしょうか?」

 美咲の言葉を遮り、鳴海が尋ねた。言葉こそ丁寧だが、鳴海の言い方はどこか棘をはらんでいる。だが相手は術師の一族の当主、いくらこちらが同列の術師一族の直系とは言え、相手が持ち出した会話を遮るのはあまりにも無礼。慌てて美咲が声を上げた。

「ちょっと鳴――」

「ええ、構いませんよ」

 その返答に美咲は驚いて誠一を見た。その表情は穏やかで、鳴海の発言を気にしている素振りも見せない。

「ありがとうございます。……ほら、美咲さん」

「え、ああ、うん」

 鳴海に促され、姿勢を正す。先ほどと同じだ。これぐらいのことを気にしていては埒があかない。

 今回の本題を頭の中で反芻し、美咲はゆっくりと話し始めた。

「まず最初に昨日のことについて、改めてお礼を申し上げます。陽方さん、ありがとうございました。

 ……次に、昨日出現した‘歪み’と異形ついて、そして今回の事件において協力を求めたいという話。すでに煉賀本家から大まかな連絡が入っていると思われますが、詳細については――……」





長らくお待たせ致しました。かんなりスローペースになるとは思いますが、更新再開したいと思っ……思って……思って、ます。一応。

もう次いつ更新とか言いません。気長にお待ちくださいすみませんでした!




2、3ヶ月書いてなかったうちになんか文章がおかしくなってますが、見逃してください。


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