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深淵の王  作者: 伊里谷あすか
三、血の円舞曲
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3―16 空嶺

 中学生くらいに見える少年は三人の前まで駆けて来ると、美咲と鳴海に会釈した。少年の少し長い黒髪が揺れ、春風になびく。

 陽方が少年に向き直り、口を開いた。

「お帰り、此方(こなた)

「ただいま、陽方兄さん。……お客様ですか?」

 前半は陽方に、後半は自分たちに向けられたその言葉に、美咲と鳴海はどう答えたものかと言い澱む。だが何かを言うより早く、陽方が答えていた。

「ええ。今朝話した煉賀のお二人です。あ、美咲さん鳴海さん。この子は私の弟の此方です。……ほら、挨拶を」

「あ、はい!申し遅れました、空嶺此方と言います!」

 陽方に促され、少年――此方はそう言うとにこりと笑った。少しつり目ぎみで猫のような愛嬌のある顔立ちをしているためか、見ていて安心する笑顔だ。

「私は煉賀美咲。初めまして、此方くん」

「……煉賀鳴海。美咲さんの護衛です」

「美咲さんに鳴海さんですね!よろしくお願いします!」

「さて。此方が帰って来ましたし、中に入りましょうか」

「あー!」

 突然声を上げた美咲に、陽方と此方が怪訝そうな顔をする。

「どうしました?」

「忘れてた、私たちも挨拶!」

 ああ、と頷いてから陽方は笑った。

「気にしなくていいですよ。お呼びしたのはこちらですし」

 美咲は首を振ると、服装を正した。

「いえ、そうもいきません。――鳴海!」

「はい。――煉賀家が呪術師、煉賀鳴海」

「同じく、煉賀美咲」

「「空嶺家当主にお目通し願いたく参上致しました」」

 鳴海が刀の袋を下ろしたあと、二人同時に片膝をつき、深く礼をする。流れるようなその動作に、此方が目を輝かせ見入っていた。

「空嶺陽方、了承しました。では……」

 そう言って陽方は門に向かい、此方もその後ろに小走りでついていく。だが門の内側に見えるのは木々ばかりで、どう見ても人が住む場所があるようには見えない。

「あの、ここって本当に空嶺の……?」

 おそるおそる尋ねた美咲に、此方は疑問符を浮かべたが、陽方はわずかののちに微笑んだ。

「ここが空嶺の本家ですよ。普段は術師にだけかかる幻術の結界を張ってあるんです」

「…ぼくたちは結界術師ですから、鍵とかよりもこうして結界を張ることが多いんですよ」

 少し遅れて、質問の意味を理解したらしい此方が説明を付け足した。それを受けて納得する美咲たちに陽方が言う。

「少しだけ結界を解きますから、お二人もこちらへ」

 言われるままに美咲が陽方の隣へ、鳴海が二人の後ろ、此方の横へ移動する。

「――――解」

 くらり、とした一瞬のめまい。やがて美咲たちが目を開くと、門の向こうの木々は消え去り伝統的な日本家屋が覗いていた。

 陽方が振り返り、ゆっくりと一礼する。


「ようこそ、空嶺へ」


若干スランプ気味。一応話は書けるけど地の文がうまくいかない……


いつか大幅に改稿するかもしれません。


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