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深淵の王  作者: 伊里谷あすか
二、兆しは夕闇に
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2―8 会議

 煉賀の屋敷の西奥にある二間続きの座敷。そこで美咲と鳴海、揚羽、当主の絢斗を含めた十人の呪術師が一同に介していた。

 呪術師は全員煉賀とその分家の血筋に連なるものたちで、皆それ相応の力を持っている。―――とは言え、先の四人にはどうしても劣ってしまうのだが。

 襖が取り払われ縦に長くなった座敷に、上手の当主を境界にして皆二列で向かいあうように座っている。

 下手から見て右側の列は次期当主の美咲。続いてその護衛の鳴海。そして分家・(かがり)の当主、その息子と続き、もう一つの分家、壬杉(みずき)の当主とその妹……と並んでいた。

 左手の列は最も上手が空席、次に揚羽、そして情報部である南雲の呪術師が二人並び、さらに二つ空席……となっている。上手の空席は本来なら煉賀当主・絢斗の弟で、鳴海の父親である旭が情報部の長として座っているのだが、彼は現在入院中のためここにはいない。下手の二席は基本的に客用のため空けてあった。

 ちなみにこの十人の中で十代なのは美咲と鳴海の二人だけで、他の者たちは最も若くて二十代半ばである。

 普通なら何故そんな年齢の者がここにいるのかという声の一つでも上がりそうなものだが、誰一人として言うことはない。二人が煉賀の直系というだけでなく、その強さが己を凌ぐことを皆が知っているからだ。

 とは言えど、それは実力を認められた美咲たちだからこそ納得しているのであり………つまり、見ず知らずの‘協会’の術師が十代ということを聞かされた分家の四人―――特にそれぞれの当主は、かなり見下した考えを持っているようだった。

 今彼らが行なっている会話の中でも文句を言っているし、加えてその態度や表情を見ればそれは一目瞭然である。

「………はぁ」

「………………」

 そんな中、美咲は小さくため息をつき、鳴海は顔を曇らせていた。

 はっきり言って美咲、そして鳴海はこのような状況と空気が嫌いだった。生来正義感が強い二人は、嫌なら正直に言えば良いのにと思ってしまうのだ。

 絢斗や揚羽もその会話を快くは思っていないだろうが、表面上はただずっと何と言うこともなく静かに話を聞いている。

「ですから、‘協会’の術師など………」

「成人もしていない未熟者に………」

 広い部屋に篝と壬杉の正論とはほど遠い発言が飛び交う。


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