存在証明
どんなに水で薄めても
消えない苦みが喉を焼く
あなたが残した
最後の存生証明
飲み干しても
忘れられるわけじゃないのに
水を足しては
なにひとつ取りこぼさぬようにと
必死にグラスをかたむけるわ
どこかであなたを
繋ぎ止めておきたくて
わたしは今日もこの喉を焼くの
真紅の清水が
わたしの胸を焦がす
苦しいわ
ねぇ とっても胸が痛い
喉を通りすぎても
消えることのない
絶望という名の生存証明
わたしは、生きているのに
あなたは、どこにもいない
あなたのいないこの世界
あなたの消えたこの世界
耐えて生きると決めたのよ
あなたがくれた痛みなら
きっと、いつか笑って受け入れてみせるわ
だからどうか
愛する人よ
安らかな眠りを――