没にしたifルートの告白
注意!本編ではありません!
if ルートのお話で、この続きもありません。
BL苦手な方はお控えください。
せっかく書いたので供養させてください。
美術部室の窓から、後夜祭の喧騒が遠く聞こえてくる。
校庭では花火の打ち上げが始まり、光と爆音が夜の空気を揺らしていた。
リディたちのバンド演奏が更に場を盛り上げている。
ロマたち美術部は、ライブペイント成功の打ち上げでみんなと笑い合っていた。
盛り上がりの最中、不意にルキの耳打ちで心臓が跳ね上がった。
「ちょっといい? 部室で待ってる」
その一言で、なんだろうかと抜け出してきた。
部室のドアを開けると、キャンバスの匂いと絵の具の甘い香りが混じった空気。机の上には、今日のライブペイントの大きな作品が飾られている。
その前に佇む、深紅の長い髪が揺れた。
「……ルキ、だよね?」
ロマの声に振り返ったのは、いつも端末の動画でしか見たことのなかった憧れの人。
ライブ配信者の“キール”だ。
でも、瞳はラベンダー色に輝いていて、間違いない。
「なんだ、驚かせようと思ったのに。気づいてたのか」
ルキは頰を赤らめて、ウィッグの先を指で弄ぶ。恥ずかしそうに笑う顔が、いつもより幼く見える。
「今日のライブペイント見て、はじめて気づいたんだ。俺、キール本人に『尊敬してます』とか言っちゃって……なんか恥ずかしいよ」
ルキは真剣な眼差しで言った。
「俺は嬉しかった」
ルキの声が低くなる。
いつもはクールな配信者モードなのに、今は素直なルキ。ラベンダーの瞳がロマをまっすぐ捉える。
「俺……ロマが好きなんだ」
顔を赤くして切ない表情で伝えてくれた。
胸が熱くなった。
でも本当に?こんな俺で良いの?
俺は臆病でこの気持ちを伝えられなかったのにルキはすごいな。
「俺も……ルキが好き。気持ち悪がられるのが怖くて、言えなかった」
ルキの唇が震える。
「嬉しい……」
ウィッグの深紅が、外からの光に照らされて輝く。
「キスしたい。いい?」
「うん……」
緊張しながら目を閉じた。
心臓の音が耳に響く。
ルキの息が近づいて、柔らかい唇がそっと重なる。ちゅっと吸われて、優しくついばむようなキス。
舌先が少し触れて、さっき飲んだ甘い柑橘の味がほんのりした。
「ん……はあっ」
息をしようと口を開けると、ルキと目が合う。
ラベンダーの瞳が潤んで、ロマを溶かす。
なんて綺麗なんだろう。
「ロマ……可愛い」
「恥ずかしい……こういうの慣れてなくて……」
「俺だって慣れてない……」
花火の音なのか、心臓の音なのか分からなくなる。
ルキは俺の唇を優しくはむ。
頭がふわふわして、膝が震える。
両思いってだけでもまだ信じられないのに、初めてのキスまで……。
ルキの指がロマの癖っ毛を優しく梳いた。
部室の外では、後夜祭で賑わう声が続く。
でもここは、俺たちだけの世界。
ルキの唇が離れるたび、ロマの息が白く揺れる。
部室の空気は少し冷たいのに、体は熱い。
ルキの指が俺の頬を撫でて、癖っ毛を耳にかける仕草に、胸がきゅっと締まる。
「……まだ、足りない?」
ルキが囁く。ラベンダーの瞳が、ロマだけを見る。
ウィッグの深紅が肩に落ちて、まるで別人。
でも、声も体温も、全部ルキだ。
「ん……もっと、したい」
自分でも驚くほど素直に言えた。
ルキの目が細まって、嬉しそうに笑う。
「ロマって、意外と欲張り」
「そんなこと……あるかも」
ルキの手が俺の背中に回る。
制服の布越しに、鼓動が伝わってくる。
ゆっくりと、でも確かに近づいて、今度は深く唇を重ねる。
舌が絡まって、甘い吐息が混じる。
声が小さく響いて、恥ずかしいのにやめられない。
「んっ……ロマ……」
「あっ……声、誰かに聞かれたら……」
「俺たち以外誰もいない」
でもルキの声も震えてる。
俺の腰に回した腕に力がこもる。
キスが深くなるたび、頭が真っ白になる。
ルキの舌が俺の奥を探って、甘い痺れが背筋を走る。
「はぁ……」
唇が離れた瞬間、俺はルキの胸に額を押し当てた。
ウィッグの髪が頬に触れて、くすぐったい。
またルキの背が伸びた気がする。
「ルキ……好きだよ」
「……俺も。ずっと、ロマのこと見てた」
ルキがウィッグを外す。水色の髪がふわりと落ちて、いつものルキに戻る。でも瞳はまだ熱を帯びたまま。
俺の手を取って、自分の胸に当てる。
「触って。俺の心臓……ロマのせいで、こんなにうるさい」
……確かに早い。
あたたかい。
俺と同じリズム。
「……俺も」
ロマはルキの細くて大きい手を握り返す。
指を絡めて、ぎゅっと。
部室の外では花火が最後の大輪を咲かせて、歓声が上がる。
でもここでは、静かな吐息と鼓動だけ。
「ロマも俺だけを見て」
ルキが照れくさそうに笑う。
頷くロマに、ルキはもう一度優しくキスを落とす。
「ん……ルキが大好き」
幸せすぎて、涙が溢れる。
「嬉しすぎてやばい」
窓の外、後夜祭が終わりを迎えていく。
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