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色彩のきずな  作者: 潮騒めもそ


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37/42

10月30日ロマ君お誕生日おめでとう

カクヨムさんの方ではシキ君バージョンが読めます。

 放課後の美術室。

 もうすでにあたりは日が落ちて暗くなっている。

 軽音学部の練習の帰り。

 扉の前に立って、リディはあやしげな会話にそっと耳を寄せた。

 中から聞こえてくるのは、美術部のロマとルキの声――。

 ふたりは文化祭のホログラムフィールドでのライブペイントの練習をしているはずだった。

 ……だったよね?


「ルキくんっ、あっ……いたっ、だめ、それ以上はっ……!」

「我慢しろ。力抜いて……そう、ゆっくり息を吐け」

「んっ……無理、もう、これ以上はいかないってば!」

「お前、ほんと固すぎるな」

「そんなことない……っ」




 ……え、え、なに、えっ!?

 リディの脳内に邪な妄想が膨らみ始めた。

 お、おかしいでしょ!?ここ、美術室だよね!?




「うぅ……も、もう少し優しくして……?」

「無理させすぎたか。……でも、慣れてくるからあと少しだ」

「っ……あ、ちょ、もうだめぇっ!」


 


 おいおいおいおいおい!!

 扉の外のリディの顔は一瞬で茹でダコのように真っ赤になった。

 ルキ、何してんの、ロマに!?




「動いたあとは、ちゃんとケアしないとな」

「……はぁ、なんか熱くなってきた……」

「こんなところで寝るな。まだ終わってないぞ」

「ルキの手、大きくて……あ、そこ、気持ちいい……」

「ここが一番固まってる。……よし、次は反対だな」


 


 実際の美術室の中では――

 ロマがストレッチで悲鳴を上げ、ルキが淡々と筋肉をほぐしているだけ、なのだが。


 ⸻


 リディは耳まで真っ赤にして、ドアに手をつく。

 あんな声……ロマ、無防備すぎるだろ……

 胸の奥がもやもやと熱くなり、息が詰まる。

 混乱、羞恥、そして……少しの嫉妬。


 ガラッ。

「――リディ?」

 ロマが首を傾げてドアを開けた。

 頬を上気させ、前髪が少し乱れている。

 その隣でルキが腕を組んでため息をついた。


「何してんだよ、お前」

「な、なにも!? 通りかかっただけだから!!」

「通りかかっただけでそんなに顔真っ赤になるのか?」

「う、うるさい!!」


 ロマがきょとんとした顔で覗き込む。

「リディ大丈夫? 熱でもあるの?」

「違うっ!!もう知らない!!」


 リディは逃げるように廊下を駆けだした。

お読みくださってありがとうございます!

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