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色彩のきずな  作者: 潮騒めもそ


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第21話 サバイバルゲーム①

ロマたち美術部男子の選択授業のお話です。

趣向が今回変わっておりますが楽しんで頂ければ幸いです。

体育の選択授業で、講堂に生徒たち15名が集合した。

「ねぇ、この体操服いつもと違う服を着てって先生に渡されたよね」

「何だろうね?動きやすくてデザインはいいけど」

この服……もしかして、ソルティ先輩がデザインしたのかな。

戦闘服のような体操服は黒を基調に、襟元には小さな飾りがつき、そこがマイクになっていた。

チームカラーに合わせたラインが胸と腕と脚の両サイドに走り、繊細な花の刺繍が美しい。

ロマ達のチームは桜の刺繍だ。


ざわざわとなんだかいつもと雰囲気が違うような空気を感じつつ、ロマは体育の選択授業をルキとシキと一緒に取っていた。


「次の体育は、サバイバルゲームだ」

体育担当のカリーヤ先生が低く響く声で告げると、講堂に一斉にどよめきが走った。

先生は軍人のように身体ががっしりとしていて背筋がまっすぐ伸びている。

「えっ!?」

「サバイバルゲームって……体育で!?」

「マジかよ!」

「カリーヤ先生、冗談……ですよね?」

ざわめく声の中で、ロマも思わず立ち上がりそうになる。

「さ、サバイバルゲーム!? やったことないよ!?」

先生は微動だにせず、堂々と胸を張った。

背の高い体躯にまるで戦場を知っているかのような鋭い眼差し。

冗談を言う雰囲気ではなさそう。

「そうだ。驚くのも当然だが――ただの遊びではない」

カリーヤ先生は腕を組み、間を置いてから続けた。

「この授業は、体力と敏捷性(びんしょうせい)に加え、状況判断力、戦術眼、そして仲間との協力を鍛えることを目的としている」

その言葉に、シキが顎に指を当てて小さく微笑んだ。

「……なるほど。すごく面白そうですね。単純な体力勝負じゃなくて、頭を使う部分やチームワークが試されるのかな」

「その通りだ、シキ!」

カリーヤ先生の声が体育館に響く。

「さすがシキ君だな……」

とロマがぽつりと呟くと、隣のルキがそっと目を伏せて頷いた。

趣旨をすぐ理解して……俺には理解が追いつかないよ。


するとアレンが声を上げる。

「でも先生、サバイバルゲーム用の銃って危ないんじゃないんスか? 顔とかに当たったら……」

カリーヤ先生は口角を上げてニヤリと笑った。

「心配無用だ。この学園特製の銃は、工芸部と科学部が共同開発したものだ。『クロマブラスター』という名で、撃ち出されるのはホログラムの塗料だ。専用スーツや肌に当たれば自動で判定されるから、怪我の心配は一切ない」

先生が見本の銃のひとつを生徒たちに回す。

「工芸部と科学部の合作……」

シキは楽しげにクロマブラスターを見つめた。

「美術の感性と科学の技術、両方が詰まってるんだね。まさにパルフェ学園らしい自由さが出てる」

銃の綺麗に描かれた模様をなぞると少し凹凸があり、こだわりを感じられる。

「おおーよくわからないけどすごい……!!」

「格好良い銃!」

クラスのみんなから感嘆の声が上がる。

「地下のサバイバルゲームフィールドに移動する。ついてきてくれ」

と先生に案内される。

講堂を出て左手にある怪しい鉄格子の扉の鍵を先生が開けて、地下へ続く階段をみんなは降りて行った。

こんな扉あったかな……?

「さあここがサバイバルゲーム会場だ!」

土の地面に簡単な建物が立っていたり小高い丘や山がある。

造花や木もちらほら植えてある。

カリーヤ先生がホログラム操作パネルを操作すると、床に青白い光が走り、地下室の空気が一変した。


目の前に広がったのは遺跡の森。

鬱蒼とした木々、苔むした石造りの建物。

小川のせせらぎが聞こえ、風が葉を揺らす音さえリアルに響く。

空は本物みたいに青く、雲も見える。差し込む光が幻想的に舞っていた。

「うわぁ……!」

「すごっ、本物みたい……!」

生徒たちの歓声があちこちから上がる。

「この辺りは演劇部や映画研究部などに協力してもらったり、他の先生たちの趣味も含まれている!」


カリーヤ先生、なんか堂々と先生たちの趣味と仰ったような!?


「君たちはチームに分かれ、相手チームやホログラムの敵と戦いながらポイントを競う」

シキ、ロマ、ルキは隣同士に立ち、息を潜めるように互いを見た。

「先生、ホログラムって安全なんですか?」

ロマが手元の銃を見つめながら質問する。

「安全性に配慮した幻みたいなものだから心配はいらない。撃たれた感覚はあるが痛くないし、身体に害もない。もしかしたら脳は騙されて混乱するかもしれないがな。AI判定カメラとセンサーでポイントはちゃんと加算と減算がされる」

カリーヤ先生は答える。

「ポイントってどういうことですか?」

ルキが眉をひそめる。

「ポイントは言わば体力を数値化したものだ。皆それぞれ100点最初に持っている。相手を撃つと部位ごとに点数が引かれ、0点になると戦線離脱となる。頭100点、胸50点、手足30点だ。逆にホログラムの敵を倒すと持ち点が増えて体力を増やせる。最大200点まで持てるぞ。最終的にポイントをどれだけ保持しているかをチームで競ってもらう」

「なるほど。200点ある人を狙う時は、例えば頭なら普通は1発で脱落だけど2発当てる必要があるということですね」

「そういうことだ」

シキがうなずき、戦略を頭の中で組み立て始めたようだ。

「さらに、脱落した場合は攻撃できなくなるが、フィールドに自分のチーム色をたくさん塗ることでチームにボーナス得点として貢献できる。色の塗り合いも戦術の一部だ」

「色塗りも戦いになるんですね!」

ロマが目を輝かせる。

先生はフィールドの説明に入る。

「この地下フィールドは広さ、サッカー場2面分ほど。今回は遺跡の森のようなイメージで作られており、建物の一部や丘、土や一部の草木は造花や本物だ。ホログラムで生成された草木や川は特殊スーツによって感触も感じられる。フィールドにはアイテムボックスも設置されている」

「アイテムボックス?」

リュカが疑問の声をあげた。

「アイテムボックスには特殊武器、体力ポイント回復、サポート用アイテムなどがどれかランダムで1〜3つ入っている。特殊武器で武器を強化したり、追加ポイントで回復できたり、何が出るかは運次第だ」

カリーヤ先生の解説を聞きながら、生徒たちは小声でチームメイトと作戦会議を始める。

ロマが目を輝かせる。

「俺、色塗りやアイテム箱探索を頑張ろうかな」

「いや、ロマも戦おうよ」

とルキが笑う。


チーム構成がホログラムで提示される。


桃色チーム:シキ、ルキ、ロマ

赤チーム:アレン、ココナ、ダリオ

緑チーム:エリオット、リュカ、レオナルド

黄色チーム:イザベル、クラウス、フィリップ

青チーム:ヴィム、エドガー、ルーカス


良かった、シキ君とルキ君が一緒で……!



お読みくださってありがとうございます!

誤字、脱字、感想などお気軽にお寄せいただければ本当にありがたく、励みになります。


ちなみに◯プラトゥーンはやったことないのでやってみたいゲームの一つです。

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