第六十六話「男ならば」
戦いが、始まる。
能力表示…はめんどくさいので、省く。
こいつの、能力をコピー。
いや、勝てない。逃げたい。
調子いいことを言ってしまった…。
転移して戻ろう。
「転移してくれ」
『転移に失敗しました。原因は不明です』
その時、天音から、着信が来た。
「もしもし。転移が、できないのだが、原因はわかるか?」
「うん。転移装置が、オーバーヒートして、ダウンした。いま、原子力発電で、冷却機を最大出力で動かしてるわ。あと十分頑張って」
「お、おう。わかった」
おいおいおいおいおいおいおいおい!!
十分間逃げろって?無理やんけ。
「おい。我を殺しに来たのではないのか?」
「あ、えっと…さいなら!ジェットブースト!!」
『戦闘用スーツジェットエンジン起動。出力初期値―――中。中の最大速度は二百キロです』
逃げないと。しぬ!
能力コピーはできた。これで、良い収穫だ。
「タイマー九分セット!」
『完了しました。右上に表示します』
今は、来ていない。このまま行けばいけるだろうか。
■【地上にて】
「原子力発電遅い!!!」
そういったのは、咲だ。
「じゃあ、核融合発電に切り替えよう!!」
答えたのは、ルカだ。
原子力より、数倍だが、効率は良くなる。
核を使っていることには代わりはないが。
「わかった」
「ではでは〜」
咲は、スイッチを連打。
「電源付いてるからね!?」
「暇つぶしにと」
「だまれぃ」
■【悠真視点】
オーバーヒート解消まで、五分をきった。
さぁ、逃げれるのかどうか。スーツが壊れないかが心配だ。
まぁ、それは置いといて……。
なんで、ついてこれんだよぉぉぉ!!!
あと、四分!追いつかれたら、死ぬ。これだけは、直感的にわかる。
能力コピーはできた、が、使ってはいけない。俺が死ぬ。
能力のアツに肉体が耐えられない。
今だって、ギリギリ、正常に保っているだけだ。
気を抜いたら、いつでも暴走しかねない。ああ、どうすれば。
おっと。気が抜けそうになった。癖かもな。
とにかく、あと三分。
時の流れは残酷だ。なぜなら、楽しいときには、早く進み、つまらないときなどには、遅く進むからだ。
今もそうだ。考えていても、時間は進まず、遅いまま。残り、二分半。
その時、澪奈から連絡が来た。
「お兄ちゃん〜最新のプログラムを導入したよ〜一回だけなら、今の状況でも、転移は可能だよ〜ん。でもね、問題が一つあるの」
「言ってくれ」
言いづらそうに。
「今の状態での転移は、相当危険なの。正しくは危険というか、どこに飛ばされるかはわからないの。外国かもしれないし、紛争地帯かもしれない。地面の中かも。それでも、待てないなら、運にかけてみて」
「わかった」
即決。男に迷いは必要ない。大事なときにはビシッとキメる。それが男というものだろう。
「では、転移だ」
「了解〜」
澪奈との通話は切れた。
『緊急転移を開始します。スーツ強化完了。残り五秒』
いつもの、アナウンス音声。これを聞くと安心する。
『転移』
行きと同じ風景が目の前に広がる。
■
いつの間にか、地上に着いた。
さてここはどこだ。
「ここはどこだ」
『GPSをキャッチしています――GPSを測位しました。ここは――茨城です』
「!?」