第六十一話「このコピーした、力で」
柊 天音。
そう。かつて、俺が殺した相手。
今となっては、重要な鍵かもしれないと。
今の家族は男子差別はしないし、仲が良いわけであり、咲も澪奈も母も仲良くしている。
だが、今回は、真面目に動く。
今日の目標は、人間を蘇生できる、力の持ち主を探す。
そりゃあ、簡単なわけない。
だが、俺は一ノ瀬家の人間。
そう簡単には見つからないと思うが、能力者リストを漁れば必ず出てくるはず。
では早速。
■■■
なかなか見つからな…って、見つかったんだけど。
こいつの居場所は、近いじゃねえか!
行くか。
まさか、隣の家の人がこの能力持ちとは…
まあとにかく、コピーを早くしたい。
インターホンを押す。
「はい」
すぐにドアが開いた。
『情報表示』
能力――死亡者蘇生能力。
こいつで間違いない。
「あ、あのーこちらを少し向いてもらっても?」
「あんたみたいな男に?まぁ良いわ。それでも一ノ瀬家の人間の頼みならば、仕方がないわね」
「ありがとうございます」
よし。
『能力コピー』
【能力コピー中―――完了。体に対応中―――完了。問題ありません】
らくだ。
よし。
柊 天音の墓場に向かう…必要はない。
家で、できるのはなんとも便利。
えーと…
「かつて、俺に殺された、柊 天音よ。今ここによみがえれ…?コレで良いんだっけ?」
バチバチッ
「あ、あれ、この肉体は…」
「ガチかよ」
「…!!!きゃぁぁぁぁ!!!!殺されるうううううううう!!!!!!!!!」
「ころさねぇえええええ!!!俺が蘇らせたんだぞ!!」
「…⋯…⋯信じるわけ無いでしょう…一度殺されてるわけだし…」
「なのに、冷静さは忘れないのか」
「そうね。君にはもう驚かないわよ」
「ああそうか」
俺等は、笑い一つない会話をした。
「それで、生き返らせた理由は?」
「ああ。お前が、鍵になるかもなと」
「なんの鍵ですか?」
「神を倒す鍵に」
「は、はぁ?そんな、神を倒すだなんて、無謀ですよ」
「良いんだよ。こんなクソッタレた世界を作ったのは、能力を与えた、神が悪いだろう?」
「そ、それはそうだけど…せっかく、能力コピーがあるなら、好き勝手に使えばいいじゃない」
「いいんだ」
「あ、ああそう」
こんな真面目な話をできるのは柊 天音だけかもな。
「それで?私はどうすればいいのよ」
「今日から、 天音は、俺の、地下室にこもって、新しい、機会を作ってもらいたい。ちなみに、スパコンとかあるよ。あとは、適当に作った、CPUとかOSとか、あるから、改造して使っていいよ」
「え…ええ。わかったわよ…それで、作る機械はなに?」
「転移装置だよ」
目を見開きながら。
「え…ええ?」
「 天音の知識と、俺達、一ノ瀬の金と技術があれば、必ずできる」
「わ…わかったわよ…」
よしこれで、いいか。
鍵というより、手伝ってもらうための一人としか思えないけど…
まあいいか。