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劣等超能学級  作者: 冬城レイ
第七章「A組編」
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第五十五話「A組、男子というだけで犯罪扱い」

【A組教室:朝】


(ガララ……)


俺――一ノ瀬悠真、高校1年。

本日より、栄えある1年A組所属となりました。


……で、今。


女子生徒たちの視線が、全部。全ッ部。俺に向いてる。

歓迎ムード? そんなもん、地層の奥深くに埋まってたわ。


「……え、男子?」


「え、ほんとに? 実物……?」


「やば……生で見たの初めて……あれ、檻は?」


「担任、麻酔銃持ってないの?」


いや俺は熊か何かか? せめて“野犬”くらいにしろ!


しかも席。俺の席、なんか……


「三メートル離れて囲まれてる」


何この微妙な距離感!?「男子バリア」かよ!!


【教卓前:担任】


担任「えー、本日よりA組に男子が1名配属されまーす。一ノ瀬悠真くんです。能力持ちです」


生徒「(あー能力なかったら即除籍だったね)」


俺(即除籍ってなに!?)


【A組:ざわ……ざわ……】


女子A「男子って、まだ存在してたんだね……」


女子B「動くんだ……言葉も喋れるんだ……へぇ」


女子C「うちのペットより知能低そう」


女子D「てか、なんでここに? B組で十分でしょ?」


俺(あー……これ、いじめじゃねぇな。宗教だわ)


【背景:この世界】


現代日本。いや、能力社会日本。


能力は15歳で開花し、男女で圧倒的な格差がある。

女子:90%以上が発現。しかも強い。

男子:たった10%。大体ハズレ。あとはクソザコか暴走事故。


そして法は女に甘く、男に重い。

「男子は感情が不安定で暴走しやすい」って理由で、男子だけに監視義務や制限がある。


つまり今の俺、A組という“女子の城”に爆弾として放り込まれたモノ扱い。


【俺:能力】


情報表示(ステータス閲覧)

裏能力:能力コピー(触れた対象の能力を一時模倣)


これは家族と彼女、ルカ以外には極秘。


……あ、ちなみに妹の澪奈はA組の風紀委員。能力は『人間操作』。

姉・咲は生徒会長。能力は『絶対反射』。

母・莉奈は『超再生』。全員強すぎて国家級。

俺はただの“男子”扱い。


【昼休み:教室】


俺「……メシ、食べるか」


(バッ!)


女子全員「距離取れ!!」

女子E「男子が“食事”って……汚染されない?」

女子F「床に座って食べたら?“同じテーブル”とか無理」


俺「――ウッセェ!!こっちは人間だわ!!」


ルカ(隣)「落ち着いて。ね? この漬物食べよ? 澪奈ちゃんが作ったって」

俺「妹製かよ! 完全に“姉妹による男子飼育”じゃねえか!!」


澪奈(後方)「にーに、机に人避けの塩まいといたから安心して♡」

俺「呪術かよ!! 俺が悪霊みてーじゃん!!」


【その日の授業:体育】


女子教師「男子は危険だから見学で~す」


俺「……なんで?」


教師「男子の“筋力暴走”で女子がケガした事例あるのよ。あと汗が不快だから」


俺「いや全男子が核兵器じゃねぇから!!」


ルカ「それでも何も言えないのが、この国の“ルール”なんだよね……」


【放課後:職員室】


悠真「なあ先生、マジで俺だけこの扱いって不平等すぎん?」


教師「男子って、いつも“被害者ぶる”よね?」


悠真「は??」


教師「女子の能力が高いのは“進化”で、男子が落ちてるのは“淘汰”。わかる?」


悠真「何その“生き残ったのが正義”理論……」


教師「そうよ? だからA組の女子は、あなたの存在そのものに不快感を覚えてるの。理解しなさい」


【通話:咲(姉)】


咲「どう? A組楽しい?」


悠真「コンクリの上に正座させられてるレベルの苦行だわ」


咲「よかった♡ 男子の社会適応力を試すにはうってつけの場所よね~」


悠真「お前が推薦書に“コミカルフォント”使ってなけりゃ信じたかもな!!」


【帰り道】


悠真(心の声)


――結局、俺は“存在そのもの”が罪な立場。

能力があろうが、家柄がどうだろうが、男ってだけで、信用されない。

優しくされれば裏がある。好意には罠がある。

でも――俺は、あきらめない。


一ノ瀬家の男として。

そして、ルカと澪奈、家族の誇りを胸に――このクソみたいな現実を、ぶち壊すまで。

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