第五十四話「推薦書いらねぇがな」
【Z-REVOLVER Phase.II:登校シーン後】
(キィィィィィッ……)
Z-REVOLVERはギリギリで校門前に停止。タイヤの煙と共に俺の一日が始まった。
――だが、始まりはまだだった。
【教室:B組】
担任「おい、お前。職員室来い」
俺「へいへい、なんスかね」
(教室がざわつく)
クラスメイトA「えっ、またなんかやらかしたの?」
クラスメイトB「いや今日はZ-REVOLVERで来ただけだろ? 普段よりマシだぞ」
【職員室】
俺「失礼しまーす」
A組担任・宮崎先生「……あなたね。一ノ瀬咲さんの弟」
(圧がすごい。俺、入ってきただけなのにダメージでかい)
宮崎「これ、推薦書。開けて」
(バサリ、と机に置かれた封筒。シンプルで、けど明らかに重い空気)
俺「はい……?」(開封)
中身には、ばっちりこう書いてあった。
《A組推薦状》
推薦理由:弟くんにA組でのびのびしてもらいたくなっちゃった♡
推薦者:生徒会長 一ノ瀬咲
俺「ふざけんなああああああああああああああ!!!」
(職員室が揺れる)
宮崎「うるさい。あなた、A組に移動だから。D組から上がってB組……そこまではまだ良かった。でもA組は最上級。男子が入るのは、正直想定していないのよ」
俺「いや、じゃあ受け取る前にそれ止めてくださいよ!? なんで俺、姉の策略で飛ばされてんの!?」
宮崎「私に言われても。あと、あなたの母親と妹さんも同意済みってことで」
俺「家族全員グルかあああああ!!」
【校庭:昼休み】
ルカ「……え、A組ってあの、超エリート女子集団の? 男子入ったことないんじゃなかったっけ……?」
俺「ああ。そこに俺が転がり込んだわけだ」
ルカ「それってさ、あれじゃん。純白の布団にドロ付きスパイクでダイブするレベルじゃん」
澪奈「にーに、A組いくなら、お弁当強くしてあげるね♡」
咲(通話)「楽しくやってね、弟くん♡ あ、ちなみにその推薦文、フォントは“コミカル”で出力しておいたから~」
俺「お前のフォントセンスが一番悪質なんだよおおおお!!」