表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣等超能学級  作者: 冬城レイ
第六章「B組編」
44/66

第四十三話「車作りますね」

B組に転入して、三週間目。


俺は、休みが欲しかった。


理由はシンプル。「車を作るため」だ。いや、学校がめんどいとかじゃない。前代未聞の“V20エンジン搭載・AI付き超次世代マシン”を開発するために、まとまった時間が必要だった。


ただし、普通に申請しても、そんな理由で休校が通るわけがない。


なので――俺は高校の体育館を爆破した。


合法的に。


 


【作戦名:バカ休校爆破大作戦】

金曜の夜、俺と妹・澪奈は体育館に潜入していた。


「兄ちゃん、ほんとにやるの?」


「ああ。俺の“開発”は国家規模だ。許されるべき」


「“開発”って響き、なんかヤバいね☆」


 俺の手には、模擬爆弾型強制解体ドローン。もちろん市販品を魔改造しただけで、人畜無害。けど見た目は爆弾。通報されるとアウト。


 だが、その夜、俺のドローンは天井を爆破し、体育館のはりを半分だけ崩壊させた。


 翌朝――


『安全が確保されるまで、学校は休校とします(期間未定)』


「ッッシャアアアアアアア!!!!」


俺は勝利の雄叫びを上げた。作戦名通り、バカのためのバカによる休校爆破は、見事に成功したのだ。


 


【開発:V20超絶バカ車プロジェクト始動】

翌日。俺は自宅の地下、通称《開発ベースΩ》にこもっていた。


設計図はすでに完成済み。名前は――


《Ω-CODE:Z-REVOLVER》


V20型12,000ccエンジン(※実物大、地球に不要)


モーター内蔵型ターボAI補助推進機構


AIナビ(アル○ァードから抜き取り済)


20段変速マニュアル・セミフル可変対応


マフラー音:低音/重音特化(※近所迷惑)


チタン焼き仕上げのリア2本出しマフラー


リアに刻まれる『V20 REV』のエンブレム


 


問題点:俺一人じゃ絶対に無理


 


なので、家族を巻き込んだ。


【強制召喚されたチーム《家族バカ四重奏》】

姉:一ノ瀬 咲

 「男がエンジンなんて語るな。見とけ、これが溶接ってやつよ(火花ドバァ)」


妹:澪奈

 「AIナビは任せて☆ 代わりに“ニートモード”って入れていい?」


母:莉奈

 「夕飯はV20定食ね。おかわり?ないわよ?」


ルカ

 「ウヒョ~ッ!チタン焼きすっげぇぇ!!これ、戦争できるレベルだろ!?」


 


このチームで、一ヶ月。命を燃やした。


【完成の日:Ω-CODE:Z-REVOLVER、起動】

八月の終わり、ついにその時は来た。


地下ガレージのシャッターが開かれ、黒く輝く流線型のマシンが姿を現す。


エンジン始動。排気音、爆音。壁、揺れる。


「ん゛ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


 近所の犬、20匹が同時に吠え出す。


「兄ちゃん……これ、飛ばない……よね?」


「多分」


 俺は震える手でシフトノブを握る。クラッチを踏み、ギアは……1速。だが、表示は**『1 of 20』**


「行くぞ。Z-REVOLVER、出撃だ」


 住宅街に怒鳴り声を響かせながら、俺はアクセルを踏み込んだ。


 


【試走:近所崩壊】

加速開始。


0→100km/h:0.4秒


道路に亀裂、郵便ポストが爆散。カーブを曲がるたびに遠心力で近隣の電柱がなぎ倒される。


「これ、合法かあああああああああ!!?」


「兄ちゃん、ダメだって!!道が燃えてる!!!」


 


ナビのAIが言った。


「次の交差点、300km先を右です☆」


「遠っ!!!!!」


 


そして、試走終了地点――


海岸


俺は砂浜にZ-REVOLVERを止め、波打ち際に一人座る。


「……完成した。俺の車が」


「兄ちゃん。後ろ、見て」


振り返ると、家族とルカがいた。全員、満身創痍。


母:髪にスス


姉:溶接機に腕を吸われた


妹:シーサーモード発動中


ルカ:爆音で鼓膜が一時停止


 


でも、全員――笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ