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劣等超能学級  作者: 冬城レイ
第六章「B組編」
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第四十二話「合法な諜報活動」

 B組に来て、二日目。


 俺はすでに三回死にかけている。


 一回目:着席しようとしたら椅子に無数の針。

 二回目:下駄箱に時限式水爆(おそらく模型)が仕込まれていた。

 三回目:給食に“なんか青く光る何か”が入っていた。怖すぎる。


 そして共通するのは、犯人の気配が一切ないこと。


 B組の女子たちは、誰一人としてそんなことをした素振りを見せない。全員、武装と気品を併せ持った《処刑人》のような存在。つまり、今の俺は――敵の巣に放り込まれたネズミ状態。


 しかも担任。


「ふーん。男子ねぇ……まぁ、せいぜい見せてくれるんでしょうねぇ?“お手並み”」


 担任の名前は黒瀬 真理。「個人の思想には干渉しません」と言いつつ、明らかに男子への敵意全開。態度がチョモランマの天辺。


「男子がこのクラスにいるとか、私の指導歴でも初ですから。観察対象としては興味深いですねぇ?」


 観察対象。哺乳類か。


放課後。俺は妹を召喚した。

「澪奈、今どこ?」


《家ー。え、また殺されかけた?》


「いや、未遂が三件。ちょっとお前の力、貸してくれないか」


《OK☆》


 十秒後。俺の目の前に、妹がいた。


「……なんで俺の部屋に瞬間移動してんだよ」


「リモート召喚ONにしといた。兄の緊急信号で自動発動」


「設定変えとけ!!」


 うちの妹――一ノいちのせ 澪奈れいな

 能力:人間操作マインド・ダイブ。対象の意思を操作するチート性能。副作用でテンションがおかしい。


「誰に何すればいい? 理央を猫にするとか?」


「まだ殺すな。ちょっと抑止力が欲しいだけだ」


「猫モードセーフティON了解。じゃ、適当に一人操作するね~」


 妹は廊下で偶然通りがかった女子に視線を向け、指をカチッと鳴らした。


「お兄ちゃんLOVEモードで」


「やめろバカァ!!」


 数秒後、知らないB組の女子が俺の教室に入ってきて、


「一ノ瀬くん! お茶持ってきたよっ♡」


 教室が凍りついた。


「……ねぇ、澪奈? これ、操作というか公開処刑に近くね?」


「だって恋する乙女って怖いじゃん?」


 こいつ、怖えぇぇぇぇ。


帰宅。俺はバイクで風を切る。

 《NSF-Ω》。

 俺が組んだ究極バイク。スピード違反?知らん、宇宙まで走れるマシンだぞ?(※走れない)


 青い衝撃波を撒き散らしながら、俺は住宅街を軽快に突っ切る。


 「どけどけぇぇぇえええッ!!!」


 エンジン:V12ターボ。加速:時速0→100km/hが0.6秒。

 ……こんなバイク乗ってる高校生、どう考えても異常者。


家に到着。俺の秘密基地:自作スパコン部屋

 ドアを開けると、30台のモニターが並ぶ暗い部屋。自作のスパコン《Ω-Eye》が中央で起動している。


「起動完了。データリンク接続……完了。ネットワーク遮断解除」


 壁一面に設置されたカメラ映像が表示されていく。


 これは、街中の防犯カメラ映像を合法的に解析・収集するシステム。


 ※ちゃんと自治体と契約済。うちは合法だぞ(ギリ)。


「……B組の奴ら、何か弱みねぇかな」


 俺は映像の中から、クラスメイトの情報を抽出していく。


 ・毎日自販機の前で一人踊ってるやつ

 ・校舎裏でカラスに説教してるやつ

 ・深夜の学校で一人ラップバトルしてるやつ


「……なにこの学校?」


 変人しかいねぇ。


 でも、掴めた。全員に“人には言えない趣味”がある。


「これで対等……いや、ギリギリで並べる程度か」


 俺は吐息を吐き、背もたれに体を預けた。


深夜2時。妹が突然シーサーモードに入る。

「兄ちゃーん! 敵襲だぞォ!」


「は!?何が!」


 部屋に突入してきた妹は、いつものゆるふわモードではない。髪は逆立ち、目が光り、顔が――


「……沖縄の置物じゃねぇか」


「シーサーだよ! 正式名称“怒髪天烈守護神”!」


 怒りの感情で自動的に発動する“破壊モード”。


 ちなみにこの状態の澪奈は、コンロを睨むだけで着火させることができる。嘘みたいな話だが、マジ。


「敵って誰だよ!」


「バイクにGPSタグつけてた奴がいた。たぶんB組の誰か!」


「マジか……」


 俺は一瞬で冷静になり、《Ω-Eye》のGPSモニターを確認。


「……位置データ、漏れてる」


「つまり、スパイがいるってことだよねぇ?」


「そういうことだ。だが――」


 俺はモニターの一つを指差す。


「特定完了。次に動いたら逆に“消す”。」


決意

 B組で俺は“男子”というだけで嫌われる。

 担任すら味方じゃない。

 でも、妹の支援、情報収集能力、そして――俺の**能力『コピー』**がある限り。


「……俺は、ここで勝ち残る」


 画面に映る、神楽坂理央の顔。


 あいつは化け物だ。でも――壊れないと証明するのが、俺の反抗。



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