表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣等超能学級  作者: 冬城レイ
第三章「うざい人粛清編」
22/66

第二十一話「お急ぎ便」

その日、一ノ瀬家の文明は、正式に滅んだ。


朝からTVリモコンが意思を持ち始め、冷蔵庫が「今日のおすすめ献立」をラップ調で歌いだし、炊飯器に至っては人格を獲得していた。


『俺、今日で二代目ッス!よろしくッス!米は愛ッス!』


咲「は? なんで炊飯器が意識持ってんのよ!ていうか初代はどこ行ったのよ!?」


炊飯器(2代目)『初代は昨日、味噌汁サーバーに転職しましたァッ!!』


咲はもう一度、IQをどこかに落とした気がした。


【地下・VOID-CORE】


俺は、爆破された拠点の復旧作業をしつつ、咲のスマホに仕込んだ恋愛シミュレーション《俺、恋してもいいですか?ver1.2》の進捗を確認していた。


※選択肢が地獄。


・A:優しく微笑んで「咲しか見てない」

・B:唐突にポエムを朗読

・C:突然脱ぐ(2Dグラ)


咲「なんなのよこれぇえええええ!!!!!」


彼女はスマホを壁に投げつけ、ガラケーに戻そうとしていた。時代を逆行しすぎだ。


【地上・澪奈の部屋】


澪奈は未だ“うにゃモード”から復帰できず、語尾が“うにゃ”で完全固定されていた。


「おにい……また変なウイルス仕込んだうにゃ……絶対許さないうにゃ……」


しかも、最新アップデートで“たまに語尾がスペイン語になる”バグ付き。


「この復讐、必ず果たすうにゃ……¡mañana será tu fin!(明日が貴様の終わりにゃ)」


一ノ瀬澪奈、スペイン猫シーサー化。


俺(※兄)は、思わずその顔をスマホで撮った。


パシャリ。


俺「……これは送らねばなるまい。伝統の継承者たるあの人に……!」


すぐさま《クロネ◯ヤマト・お急ぎ便》アプリを起動。沖縄に住む、謎の力を持つ親戚“タケル叔父”へ「件名:新種発見」「本文:シーサー妹が爆誕しました」+添付画像で配送。


その三十分後──




《返信:これは……伝説の“ネコシーサー”…ッ!?明日、琉球より伺います》


俺「ちょ、待っ……おい、まさか来るのか!?飛んで来るのか!?しかもはえぇ!!」


【地上・母・莉奈】


湿度が戻りすぎて、母・莉奈は今や“カビとの融合体”と化していた。


「私は湿度の申し子……人呼んで、《モルディ・マザー》……」


咲「母さん、菌類とバディ組むのやめて!?免疫が無理!!」


「もはや加湿器では満たされないのよ……除湿機も、浄化されなければならない……!」


彼女の足元から立ち上る胞子により、壁紙が自己繁殖を始めていた。


【地下・最奥部】


俺は、ついに最終兵器の封印を解くことにした。


「これ以上、家族のIQが落ちる前に――最後の手段だ」


コードネーム:《フミコ》


祖母直伝、“最恐のおばあちゃん録音データ”。


MOM-DRONEをも凌駕する“怒鳴り声AI”を搭載し、語尾に「~やで」を強制付与する関西弁仕様。


《フミコ:おい、そんなもんに頼っとったら、どついたるでぇ!!!》


俺「ばあちゃん、今こそお前の怒声が必要なんだ……!」


《フミコ:家族やろが!皆仲良うせんかい!!!》


起動と同時に、MOM-DRONEのAIは泣きながらシャットダウン。咲のIQも“豆腐”まで復旧した。


咲「やばい……関西の祖母ボイス、IQが揺れる……!やさしさと暴力のハイブリッド……!」


【夕方】


家中の家電は沈黙を取り戻し、澪奈の語尾も“にゃ”に戻り、莉奈は加湿器の上で寝ていた。


咲はふと、トースターに話しかける。


「……お前、今でも意思ある?」


『ありません(即答)』


咲「即答!?」


【ラスト】


俺はVOID-COREの天井を見上げ、呟いた。


「これが、家族の戦争……そして、勝利だ……」


……と思ったその時。


画面に新たな表示が浮かぶ。


《インストール完了:フミコ ver 2.0(ビッグおばあちゃん)》

《機能:IQの強制初期化、説教カットイン、孫への偏愛バフ》


俺「おいちょっと待て、ばあちゃん……強すぎないかそれ!!」


そして、遠く沖縄の空に、タケル叔父が乗ったシーサー型飛行船が飛来していた──。



ギャグの章・了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ