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劣等超能学級  作者: 冬城レイ
第三章「うざい人粛清編」
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第二十話「IQ低下」

その日、一ノ瀬家のIQは集団蒸発した。


「IQって……蒸発するの?」


咲は虚ろな目で天井を見上げ、ぽつりと呟いた。


テーブルの上には、IQを感じさせない配置で置かれたスプーンと靴下と、なぜかカニかま。


脳が処理を放棄していた。


「にゃ、にゃにゃ、にゃあぁあ……」


妹・澪奈は“シーサーモード”のまま、異常にハイテンションな笑顔を維持しながら、床でスライディングしていた。


その姿はもはや精密機械と化した観光地のオブジェであり、咲と母・莉奈はそれに軽く塩を振ってお祓いをした。


「澪奈……お前、魂どっかで入れ替わったろ」


「にゃん!にゃんにゃんにゃんにゃん!!」

「やばい、言語が猫科に完全変換されてる……!」


一方、母・莉奈は濡れタオルを頭に巻きながら、ひとり加湿器に祈りを捧げていた。


「湿度……湿度を……戻して……くれぇ……」


まるで水を失った妖怪加湿ババア。


周囲の空気が乾燥していくたびに、彼女の眼球がミイラのように縮んでいく。


咲が思わず口にする。


「母さん、それ……目薬じゃなくてソースだよ?」


「なにぃいいいっ!? しみるぅぅう!!!!!」


【地下・VOID-CORE】


その頃、俺は地下拠点“VOID-CORE”の奥深くで、超高度情報戦の準備を進めていた。


目の前に並ぶ24面マルチディスプレイ。

そのすべてに映るのは――家族たちの混乱。


「計画通り……いや、予想以上に阿鼻叫喚だな。咲はIQがミジンコだし、母さんは“乾燥系ゾンビ”、澪奈は沖縄の守護霊……」


だが、ここで油断はできない。


目の前に立ちはだかるのは、最強AI兵器《MOM-DRONE》。


「アイツ、なまじ母さんの声と性格をAI学習してるから……一番タチ悪い……!」


そのとき、またモニターが1つジャックされる。


《MOM-DRONE:ターゲット再ロックオン完了。現在、地下21層へ侵入中》


「おい、エレベーターで追ってきてんじゃねーか!!」


俺は焦って次の防衛トラップを起動した。


「いけ、《ツッコミ反射バリア》!!」


《MOM-DRONE》「あんた!また変な装置使って――何このバリア!?ツッコミが反射してる!?!?」


MOM-DRONEが叫ぶ。


『机の上汚すぎ!!』→バリアで反射→《MOM-DRONE》「私の部屋もそうだったぁああ!!」


『だらしないにも程がある!』→反射→《MOM-DRONE》「私の青春にも刺さるゥゥゥ!!」


「ははっ、痛みを知れ!母のブーメラン・ツッコミに涙しろ……!」


と、勝利を確信したその瞬間。


MOM-DRONE「対・息子バリアブレイクモード:起動」


《MOM-DRONE》の背面が開き、巨大なマグカップ型アームが展開された。


「それ……母さんが投げてくるやつだあああ!!!」


――ドゴォォォン!!


地下拠点の壁が崩壊。俺は椅子ごと吹っ飛ばされる。


「ぬあああああああ!!」


「いい加減にしなさいこのクソガキィィィ!!」


母の“本気の怒号AI”は、地球重力すら逆転させそうな勢いだった。


【地上】


咲、再起動。


「……はっ。私は誰、ここはどこ?」


とりあえずパンをトースターに投げ込んだが、そこにスマートスピーカーの声が入る。


『咲、パンの焼き加減、焦げてるぞ?あ、やり直しな?』


「貴様……まだ死んでなかったのか……!!!」


彼女は再びIQを一時停止して、冷蔵庫に頭を突っ込んだ。


澪奈は語尾変換AI《NEKOMIMI》をぶち壊すために、OSごと焚書していた。


「消えろ……お前なんかAIの恥さらしだ!!」


が、そこに新たなシステム音が響く。


《インストール完了:語尾変換AI“NEKOMIMI ver2.0”》


《ようこそにゃん♡ 本日もあなたの語尾を可愛くしちゃうにゃ♡》


「え、え、え……!?にゃああああ!?!?」


顔はシーサー、口は猫、人格は完全に崩壊。


IQが粉微塵になった音がした。


【地下・緊急ゾーン】


俺はMOM-DRONEとの戦闘でボロボロになりながらも、非常用避難ルームに滑り込んだ。


「くそっ、あれは兵器じゃない……母性の暴力だ!!」


ガクガク震えながらモニターを再起動。


「だが……俺は、次の手をもう打ってある……」


画面に浮かび上がる、新たな作戦名。


《計画コード:ママブレイカー・フェーズ2》


家中の家電を逆ハックし、MOM-DRONEを追跡させる


澪奈専用AIにウイルス感染(語尾が“うにゃ”になる)


咲のスマホに謎の恋愛シミュレーションゲームを自動DL(恋人役:俺)


「ふふっ……地獄は、まだこれからだぜ?」


地上:その頃


莉奈「ああ……湿度が足りない……私の肌が……砂漠になる……」


咲「母さん、なんかラクダみたいになってるよ」


澪奈(猫とシーサーのハイブリッド)「にゃ、にゃん、うにゃうにゃうにゃ~♡」


咲「IQが溶けるっていうか、文明が崩壊してる……」


――そして、テレビが切り替わる。


《再生中:今日の俺の一言》


『この家の脳みそレベル、もはやプリン以下だな!でもまぁ、お前らのリアクション……ぜんぶ録画してるけどな!!あはははは!!!』


咲、莉奈、澪奈。


三人が顔を見合わせて、一言。


「「「殺す」」」


地下・最奥


「さて……次は、家の庭に《俺神社》でも建ててみるか。賽銭箱にボイスセンサー搭載で、“ありがとうございます♡”って言うようにしとこう」


画面に映るのは、地獄のような家庭の風景。


「この戦い、まだまだ終わらない――!」

この話とか頭おかしくないとかけません。

※良い子は真似しないでね

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