他山の石
山を登りたい、単純な願いだ。
人にはいろんな夢があって、自分が持っている夢は登山家になることだった。
そこで、自分はその夢に向かって様々なことをするようにした。
言語も覚え、体力も造り、さらにはバイトもして金をためる。
そうこうして大学生で登山部へ入り、長期休みがとりやすいようなところへと就職した。
そんなことを繰り返し、いよいよ一人で山を登りだす。
どんどんと経験を積み、そして今、遭難している。
正確には、遭難したグループと一緒にいる。
ありがとうありがとうと何回もお礼を言われているものの、自分から考えると2000m後半の高さの山にアタックするにしてはあっさりとした荷物のこのグループが悪いと思ってしまう。
とはいうものの、彼らにとってはここは理想が高すぎたということなのかもしれない。
これを他山の石として、自分も経験をしっかりと理解したうえで登る山を選んでいきたい。