第三話:昼の屋上
どうも、ともると申します。
今話は3日連続投稿となる第三話です!
現在の登場人物
優しいぼっち男子:渡来 椿
容姿端麗な女子:白波 柚月
それではお楽しみください!
翌日、昨日のことが夢だったのではないかと思いながらも、準備をして高校へと向かう。
「またボッチの日々か」
一人でいるのが嫌いな訳では無い。しかし、もう少し華のある高校生活を送りたいとも思う。
***
案の定、僕は二日目の朝から教室の隅の席でボーっと座っている。
それに比べて白波さんは既にクラスの人気者となっているようだ。
それもそうだろう。転校生で容姿端麗。優しそうな雰囲気。人気になる要素しかない。
「どこから転校してきたの?」
「部活はどーするの?」
クラスの女子たちが白波さんを囲っている。
昨日は初日だったこともあり話しかけづらかったのだろう。
一方男子の方は…
「なぁ…白波さん可愛すぎだろ!」
「わんちゃんあるかな…」
こんな様子である。
男女問わず白波さんの話題で持ちきりだ。
女子に囲まれた白波さんは沢山の質問に少し戸惑っているようだ。
その時、空気を読んだかのように授業の始まりを促すチャイムが鳴る。
「また後で話そーね!」
囲んでいた女子たちはそう言って各々の席へと戻っていった。
「はぁ…」
白波さんが疲れ混じりな息を吐いた。それもそうだろう。
朝からここまで話しかけられたら誰であっても大変だろう。
「お疲れ様」
目があったのでそう言っておく。
「ありがとう。話しかけてくれるのは嬉しいけど、流石に大変かも。お昼は逃げようかな笑」
「だったら屋上がおすすめだよ。開放されてる割には人少ないし」
「そうなんだ!じゃあ渡来君も一緒にどう?」
「え、でも一人になりたいんじゃないの?」
それだけではない。そんなところを目撃されたら…
「一斉にバーって来られるのが得意じゃないだけだから」
なるほど。意外にも白波さんは大人数が苦手なのか。
「わかった。僕で良ければ」
「約束だよー!!」
彼女はそう言って微笑む。この笑顔は見てて飽きないな。
彼女は女子たちに捕まらないように先に行くと言っていたので、その姿を見送ってから僕も屋上へと向かうという流れとなった。
学校で女子と二人でご飯。そんなことばかり考えていると、あっという間に時間が過ぎ、気づけば四限の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。
***
屋上へと着くと隅の方に白波さんがいた。やはり空いている。というか僕たち以外には誰もいない。
こっちこっちと言わんばかりに彼女が手を振ってくる。
「女子たちが探してたよ」
「授業終わった瞬間に教室飛び出したからね笑」
白波さんは意外と大胆でもあることがわかった。
「それより、ここめっちゃいいね!教えてくれてありがとう」
「いえいえ。晴れてるときに限るけどね。春だから風も気持ちいいし」
夏じゃ暑いし、冬だと寒い。春と秋には屋上は重宝できるだろう。
「それじゃ食べよっか」
「うん」
「いただきます」
二人は同時にそう言って弁当箱の蓋を開ける。
「渡来くんのお弁当かわいいね」
彼女が僕の弁当を覗いてくる。
今日の僕の弁当は、普通のご飯、ミニハンバーグが三つに卵焼きが二切れ。ブロッコリーが二つとプチトマトのベーコン巻きが二つ。よくある弁当だ。
「そうかな。でもありがとう。」
自分で作った弁当を褒められるのは初めてだ。ちょっと嬉しい。
彼女の弁当を覗いてみると、僕とは違うが、コロッケなどが入っている一般的な弁当だ。彩りは整っている気がする。
「白波さんのお弁当は彩りがいいね。」
「ありがとう!」
そういうと、彼女はニコニコしながら食べ始めた。
僕も食べ始めようかと思い、卵焼きに箸を伸ばしたその時、
「ねえねえ。その卵焼きとうちの卵焼き交換しようよ!」
「別にいいけど、味の保証はしないよ」
「その見た目なら絶対美味しいでしょ」
そう言いながら彼女が僕の卵焼きに箸を伸ばしてくる。
そのまま彼女の口へと運ばれていく卵焼きを、僕は心配そうに見つめる。
しかし、その心配は杞憂に終わる。
「んんーっ!これ甘くてめっちゃ美味しい!今まで食べた中で一番かも!」
そんなに美味しかったのか?そう思い、自分でも食べてみる。
「確かに。いつもより美味しくできたかも」
「え、できた?もしかして自分で作ってるの?」
「うん。今日は母さんが朝早かったから自分で作ったんだ」
「すごい…凄すぎる」
そんなキラキラした目で言われても…
「白波さんのも頂いていいかな?」
「どーぞ」
そして彼女の弁当箱にある卵焼きを僕の口へと運ぶ。僕のとは違いだし巻き卵のようだ。少し薄めだが、僕好みの濃さだ。
「うん。美味しいよ。僕好みの味付けだよ」
「よかったぁ~」
少々不安そうに見ていた彼女だったが、どうやら安心したようだ。
その後は何気ない話をしつつ弁当を食べ進めた。
***
「ごちそうさま」
二人はそう言い、弁当箱をしまっていると柚月が、
「また一緒に食べようね」
またっていつだ?そんなことを言われたら色々と勘違いしてしまいそうになる。
「いいけど、僕なんかと食べてて楽しいの?」
自虐的すぎるとも思ったが、思わず尋ねてしまった。
「え、渡来くんは楽しくないの?」
その返しはずるいだろ。そんなの決まっているじゃないか。
「…楽しくないわけないよ」
「ならいいじゃん!」
笑顔でそう言って柚月は立ち上がる。
気のせいだろうか、彼女の顔が少し紅潮しているように見えるのは。
「じゃ、じゃあ私は先に戻るね!」
「あ、うん」
柚月は足早に屋上のドアへと向かう。
「多少は華がある高校生活かも。なんてね…」
青い空の下。一人呟く椿の体に春風が吹きつける。
読んでくださりありがとうございました。
今回は学校ということもあり、青春味が強かったのではないでしょうか?
「僕に四季を」の連載の方針は、1つのエピソードを5分前後で読めるようにすることです。
ゆっくりと進んでいく椿と柚月の関係をお楽しみください。
第四話でお会いしましょう!
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