表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に四季を  作者: ともる
第一章:春
2/3

第二話:放課後デート?

どうも、ともると申します。

なんとか近日中に第二話を投稿することができました!


現在の登場人物

優しいぼっち男子:渡来わたらい 椿つばき

容姿端麗な女子:白波しらなみ 柚月ゆずき


それではお楽しみください!


「どっちから出るの?」


「まずは北口かな」


ここ倉郷駅には北口と南口の二つの改札がある。北口の方にはカフェやファミレスなどの飲食店、カラオケやゲームセンターなどの遊べる場所、書店や文具店などの雑貨屋があり、ほぼ全ての商業施設が北口に集中している。

しかし、南口の方には住宅街へと続く道とコンビニしかない。そのため、北口の方から案内しようと思う。



***



学生が使いそうなお店を一通り(めぐ)った。とはいえ、特別多いわけではなかったので二十分足らずで案内は終わった。


「とりあえずこんな感じかな」


「ありがとう!生活するには十分なお店が(そろ)ってるね」


中々自分の地元を客観的に見ないため、そう言われてみればそうだなと思う。


「そうだね。特段(さか)えているわけではないけど、これくらいがちょうどいいね」


都会すぎても人混みに疲れそうだし。


その時、ぐぅーという音が耳に入った。ふと右を見ると、白波さんが恥ずかしそうに(うつむ)いている。


なるほど、そういうことか。


「お昼でも食べて帰る?」


「…うん」


なんだかおもしろい人だな。そして思わず、


「…ふふっ」


笑ってしまった。


「ちょっとぉ……」


赤らめた(ほお)(ふく)らませなが(にら)んでくる。それすらも…



***



「美味っしい!」


そう言いながら、彼女はチョコアイスが添えられたバナナとホイップクリームの乗ったパンケーキを頬張(ほおば)る。まるでリスみたいだ。


「ほ、ほんはに見ないへよっ…」

訳:そ、そんなに見ないでよっ...


モゴモゴしながら喋っている。


思わず見つめてしまった。


「ご、ごめん…」


互いに顔を赤らめる。


この甘ったるい雰囲気はパンケーキのせいにでもしておこう。


「ところで白波さんはどうして…」


言いかけた言葉を止めた。


「どうかしたの?」


「いや、なんでもないよ」


どうして転校してきたのだろう。そう(たず)ねかけてしまったが、家族に関するデリケートな事情の可能性もある。ここで聞くのは無神経だ。とりあえず話題を変えよう。


「そういえば白波さんの家はどのあたりなの?」


もしかしたら近いかもしれないと思い尋ねてみる。


「えーっと、なんちゃら東小学校?の近くだよ」


城畑東(しろはたひがし)か」


「そうそう!そこらへん」


思っていたよりも家が近い。偶然にも程があるだろ。


「渡来君の家は?」


「僕もそこら辺だよ。坂があるじゃん?登って二、三分歩いたところにあるんだ」


「そうなんだ。私は坂の下だから楽だよっ」


彼女は自慢げな顔でそう言った。


「なるほど。つまり僕のほうがこのパンケーキのカロリーを多く消費できるってことだね」


そう言い返すと、彼女はまたムッと頬を膨らませた。



***



昼食を終えた二人は、柚月の要望によりもう少しあたりをぶらつく事となった。


「このシャーペンかわいい!」


僕たちは先程(さきほど)(おとず)れた文具店へと戻ってきた。


そのシャーペンはあるキャラクターとのコラボ商品らしい。白くて丸っこいキャラクターがペンに印字(いんじ)されていた。僕もかわいいキャラクターや動物は好きな方なので共感できる。


「確かにかわいいね。折角(せっかく)だから買えば?」


「そうだね。じゃあ買おう…」


彼女はシャーペンを持ちながら呆然(ぼうぜん)としている。


「どうかしたの?」


「いや、これ…」


シャーペンの値段が書かれているところを差し出してきた。そこにはなんと、¥4950と記されている。

学生には中々厳しい金額だ。コラボ商品だからだろうがそれにしても高くはないだろうか。


「これは厳しいね。」


「うん。残念だけど仕方ないわ」


絶対に欲しかった訳ではなさそうだが、少し悔しそうに顔をムッとさせた。

今気づいたが、彼女は表情がコロコロ変わるので見ていておもしろい。


悔しそうな柚月の横で、椿は呑気(のんき)にそんなことを考えていた。



***



その後も色々とお店を回っていたところ、気づいたら日が(かたむ)き始めていた。


「もうこんな時間だ。白波さん、そろそろ帰ろうか」


「うん。(あらた)めて今日はありがとうね!」


「いえいえ。僕も楽しかったし」


「ほんとー??」


彼女は悪戯(いたずら)な笑みを浮かべてそう尋ねてくる。


嘘ではない。あまり人と関わるのは得意ではない僕だが、白波さんといるときは口ごもらないし、自然体(しぜんたい)で接する事ができる。なんなら心地よいほどだ。


「うん。本当に」


そう答えると、彼女は嬉しそうに微笑む。夕日も(あい)まって、更に彼女の笑顔が()える。(はかな)いという印象(いんしょう)すら覚えるほどだ。


そんな事を考えながら彼女とともに帰路(きろ)へとついた。



***



「今日は疲れたな」


椿はベッドの上でそう(つぶや)く。


友達のいない僕からすると、こうしてクラスメイトと出かけるのは新鮮だ。慣れないことの連続だったため、疲れが()まったのだろう。てか異性のクラスメイトと…これはデートなのでは?


今日の出来事を改めて思い返しているとなんだか恥ずかしくなり、枕へと顔をうずめた。


彼女の笑顔は僕の心をくすぐってくる。そのせいもあって疲れたのだろう。


これからも仲良くしたい。白波さんとなら友達になれるのかな。


そんな期待を胸にしまい、そっと(まぶた)を閉じた。



読んでくださりありがとうございました。


1話よりも甘めな展開が多かったではないでしょうか?


「僕に四季を」の連載の方針は、1つのエピソードを5分前後で読めるようにすることです。

ゆっくりと進んでいく椿と柚月の関係をお楽しみください。

第三話でお会いしましょう!


よければ評価、ブクマ、レビューの方もお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ