第二話:放課後デート?
どうも、ともると申します。
なんとか近日中に第二話を投稿することができました!
現在の登場人物
優しいぼっち男子:渡来 椿
容姿端麗な女子:白波 柚月
それではお楽しみください!
「どっちから出るの?」
「まずは北口かな」
ここ倉郷駅には北口と南口の二つの改札がある。北口の方にはカフェやファミレスなどの飲食店、カラオケやゲームセンターなどの遊べる場所、書店や文具店などの雑貨屋があり、ほぼ全ての商業施設が北口に集中している。
しかし、南口の方には住宅街へと続く道とコンビニしかない。そのため、北口の方から案内しようと思う。
***
学生が使いそうなお店を一通り巡った。とはいえ、特別多いわけではなかったので二十分足らずで案内は終わった。
「とりあえずこんな感じかな」
「ありがとう!生活するには十分なお店が揃ってるね」
中々自分の地元を客観的に見ないため、そう言われてみればそうだなと思う。
「そうだね。特段栄えているわけではないけど、これくらいがちょうどいいね」
都会すぎても人混みに疲れそうだし。
その時、ぐぅーという音が耳に入った。ふと右を見ると、白波さんが恥ずかしそうに俯いている。
なるほど、そういうことか。
「お昼でも食べて帰る?」
「…うん」
なんだかおもしろい人だな。そして思わず、
「…ふふっ」
笑ってしまった。
「ちょっとぉ……」
赤らめた頬を膨らませなが睨んでくる。それすらも…
***
「美味っしい!」
そう言いながら、彼女はチョコアイスが添えられたバナナとホイップクリームの乗ったパンケーキを頬張る。まるでリスみたいだ。
「ほ、ほんはに見ないへよっ…」
訳:そ、そんなに見ないでよっ...
モゴモゴしながら喋っている。
思わず見つめてしまった。
「ご、ごめん…」
互いに顔を赤らめる。
この甘ったるい雰囲気はパンケーキのせいにでもしておこう。
「ところで白波さんはどうして…」
言いかけた言葉を止めた。
「どうかしたの?」
「いや、なんでもないよ」
どうして転校してきたのだろう。そう尋ねかけてしまったが、家族に関するデリケートな事情の可能性もある。ここで聞くのは無神経だ。とりあえず話題を変えよう。
「そういえば白波さんの家はどのあたりなの?」
もしかしたら近いかもしれないと思い尋ねてみる。
「えーっと、なんちゃら東小学校?の近くだよ」
「城畑東か」
「そうそう!そこらへん」
思っていたよりも家が近い。偶然にも程があるだろ。
「渡来君の家は?」
「僕もそこら辺だよ。坂があるじゃん?登って二、三分歩いたところにあるんだ」
「そうなんだ。私は坂の下だから楽だよっ」
彼女は自慢げな顔でそう言った。
「なるほど。つまり僕のほうがこのパンケーキのカロリーを多く消費できるってことだね」
そう言い返すと、彼女はまたムッと頬を膨らませた。
***
昼食を終えた二人は、柚月の要望によりもう少しあたりをぶらつく事となった。
「このシャーペンかわいい!」
僕たちは先程も訪れた文具店へと戻ってきた。
そのシャーペンはあるキャラクターとのコラボ商品らしい。白くて丸っこいキャラクターがペンに印字されていた。僕もかわいいキャラクターや動物は好きな方なので共感できる。
「確かにかわいいね。折角だから買えば?」
「そうだね。じゃあ買おう…」
彼女はシャーペンを持ちながら呆然としている。
「どうかしたの?」
「いや、これ…」
シャーペンの値段が書かれているところを差し出してきた。そこにはなんと、¥4950と記されている。
学生には中々厳しい金額だ。コラボ商品だからだろうがそれにしても高くはないだろうか。
「これは厳しいね。」
「うん。残念だけど仕方ないわ」
絶対に欲しかった訳ではなさそうだが、少し悔しそうに顔をムッとさせた。
今気づいたが、彼女は表情がコロコロ変わるので見ていておもしろい。
悔しそうな柚月の横で、椿は呑気にそんなことを考えていた。
***
その後も色々とお店を回っていたところ、気づいたら日が傾き始めていた。
「もうこんな時間だ。白波さん、そろそろ帰ろうか」
「うん。改めて今日はありがとうね!」
「いえいえ。僕も楽しかったし」
「ほんとー??」
彼女は悪戯な笑みを浮かべてそう尋ねてくる。
嘘ではない。あまり人と関わるのは得意ではない僕だが、白波さんといるときは口ごもらないし、自然体で接する事ができる。なんなら心地よいほどだ。
「うん。本当に」
そう答えると、彼女は嬉しそうに微笑む。夕日も相まって、更に彼女の笑顔が映える。儚いという印象すら覚えるほどだ。
そんな事を考えながら彼女とともに帰路へとついた。
***
「今日は疲れたな」
椿はベッドの上でそう呟く。
友達のいない僕からすると、こうしてクラスメイトと出かけるのは新鮮だ。慣れないことの連続だったため、疲れが溜まったのだろう。てか異性のクラスメイトと…これはデートなのでは?
今日の出来事を改めて思い返しているとなんだか恥ずかしくなり、枕へと顔をうずめた。
彼女の笑顔は僕の心をくすぐってくる。そのせいもあって疲れたのだろう。
これからも仲良くしたい。白波さんとなら友達になれるのかな。
そんな期待を胸にしまい、そっと瞼を閉じた。
読んでくださりありがとうございました。
1話よりも甘めな展開が多かったではないでしょうか?
「僕に四季を」の連載の方針は、1つのエピソードを5分前後で読めるようにすることです。
ゆっくりと進んでいく椿と柚月の関係をお楽しみください。
第三話でお会いしましょう!
よければ評価、ブクマ、レビューの方もお願い致します。