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銃眼のレーナ  作者: シノシノ
塹壕戦
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第七話

塹壕戦から気を取り戻した時は後方の衛生テントのベットだった。カラフさん言われて機関銃の弾を取りに行ったりホーバス中隊長に伝令を任されたりして、戦闘が終わって緊張の糸が切れたのか倒れたみたい。

女性衛生兵の人から軽傷者用テントで明日まではベットを使っていいと言われた。横になると落ち着く。

あの戦場で僕はなんでライフルを撃てたの? 途中で正気に戻ったの。頭の中がぐちゃぐちゃな気分になる。

色々と悩んでいると側に誰が来た。どうせ、衛生兵の人だろう。


「起きてるか、レーナ」

「アルベルさん」


心配そうな顔してるアルベルさんだった。さっきの戦場での顔を思い出すと同一人物なのかなと考えてしまう。

横から座るようにすると隣にアルベルさんも座ってくる。スッと差し出される金属製カップ。中は何か果汁のようなのか……香りからしてリンゴだ。


「兵站のヤツから借りがあって貰ったのを搾り出した。あの後何も口に入れてないだろう」

「あ…ありがとご…ざいます」


ポーカーで借りってヤツと言われて少し笑ってしまった。アルベルさんは戦場では怖く感じけど、こうやって話したら優しい。命のやり取りしてるのに優しさが消えないのは凄い。一口飲むと体に染み入り、顔を伏せてしまう。アルベルさんが次の言葉に顔を上げてしまう。


「レーナ、お前は除隊しろ」


頑張ればいいや大丈夫など励まされる言葉が言ってくると思っていた。それは意外の言葉。

目を開きアルベルさんを見てしまう。


「お前は若いし女の子だ。この先は色んな道がある。こんな戦場で死ぬのには早すぎる。好きな男と幸せになり子を生んで見守るそうゆう未来もあるんだ。それに親だって安心するだろ」


それは孤児院の為に入った僕と死の恐怖の僕がいたが、前世では死んでしまった僕だから今世では生の意識が薄い。いや、この世界だからこそ生の意識が薄いのかも知れない。どっちにしろ僕自身が選んだ道の否定しかならない。


「アル……アンダーソン軍曹、僕は両親はいません。帰る場所さえもう帰る事はできない」


思わずポロッと溢してしまう。それからは蓋をしようにも一度でも溢れ出てくる。

親の愛も知らず孤児院で育ち年齢から院を離れないといけない。孤児が増え院の財政を圧迫している事、軍に入れば恩給が出てる事。

最後には戦場がこんなにも地獄で、人が簡単に死んでいく現実。それを最後まで聞いてくれた。


「すまない。事情を知らなかったとは言え、いや言い訳か。除隊するべきなんだが、せめて衛生兵や後方の部隊に下がれ」


今はゆっくりしろと言い撫でてから離れていく。全部吐いたお陰でスッキリとした。

アルベルさんの言う通りに除隊したらいいのか、でも行く宛はない。なら後方の部隊へと転属を願うのか。再び横になり眠ろうとする。

少し寝ていたら、テントの入り口付近が騒がしい。気になって見に行くと衛生兵たちが、奥にあるテントをよく出入りしている。軽傷の兵士に聞くとあそこは重傷者用テントと教えてくれた。

ベットに戻るつもりが足が重傷者用テントに向かった。

中は治療が終えてるが微かに呻き声が聞こえる。その奥で二人の衛生兵が治療しようとしている。


「輸血パックあるのか!」「もう在庫がない! 応急品もすべて切れた!」「くそ、見送るしかないのか」


何もかもないと言われて悔しがってる。『見送る』とは治療を止めてそのまま息を引き取るのを見守るだけ。さらに近寄ると二人は退いてくれた。見送ると言われた兵士は若く20代もいってない高校生くらいで、顔は青く血が足りてないと分かる。


「か…母さん……母さん………」


弱々しく母親を呼ぶ兵士は僕に手を伸ばしてくる。それを拒まず手を握った。


「大丈夫……大丈夫……側にいるから」


両膝を着き兵士の頭を優しく撫でた。その兵士の息が引き取るまで手を握りながら、帝国なら誰でも知ってる子守唄を歌った。また負傷者で意識がある兵士たちも聞いていて涙を流していた事は僕は知らず、衛生兵たちも激務からひとときの休息となっていた。衛生兵にお礼を言われ、ベットに戻った。

彼だって死にたくなかった。でも母親を家族を守る為に戦った。僕はまだ生きている戦う理由はなかったが決めた。孤児院の為なら後方でいいだが、彼の為……家族の為、国の為、故郷の為に死んでしまった兵士の意志を継ごう。僕が戦い死んだ兵士の守りたかったのを守る。

そう思いながらベットで眠ると暗闇だが周りには沢山の兵士がいて、皆な僕に敬礼しながらお願いしてきた。『守ってくれ』と……だから僕は言う。


「忘れません、皆なが守る為に戦ったのを…僕が守ります」


銃眼のレーナ設定裏話

レーナ「細短い塹壕を使ってるけど、これしかないの?」

シノ「基本的な塹壕はそれで合ってるけど、と堡塁呼ばれる塹壕もあるよ」

レーナ「堡塁?」

「基本は2~3人が入れる塹壕みたいなモノで、複数作って砲撃から身を守るみたいな」

レーナ「それって大丈夫?」

シノ「この防衛陣地は第二次では当たり前だからね」

レーナ「時代先見すぎ!?」


チャンチャン♪

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