第五十七話
ヒューと音を聞こえてきた。それがなんの音が理解する前に塹壕へと爆発の衝撃と爆発音が響いた。どっちからの砲撃かは分からない。それは続いて爆発がしてゆくが、こちらの塹壕だけではなく前進している敵兵たちにも砲弾が降り注いでいる。その一部は予備塹壕前にも落ちたりしていた。
命令は砲撃音によって消されて各々の判断で射撃をしているが、少なくともパニックを起こして下がろうする人たちはいなかった。もしくはそれがパニックになっていて、撤退という考えがないかも知れない。
背中の傷がピリッと痛むが、アドレナリンのせいか…お蔭かで戦闘に戻る事が出来た。機関銃に手を取ろうとしたが……砲弾が機関銃の近くで爆発して機関銃が吹き飛ばされた。
パッと見てみるが水を貯めて置くウォータージャケットの部分が壊れて漏れている。もしかしたら中の銃身にも損傷があるかも知れない。
「レーナちゃん、機関銃の弾を別の機関銃へ持って行って!」
いつの間にかクラサさんがライフルで撃っていた。僕はそれを見ながら弾薬ベルトを掴み首に掛けた。近くにあってライフルを掴むが銃身が曲がっていて撃てそうになかった。時間が惜しいのでライフルを捨てて走り出した。
塹壕の通路は泥水が跳ねていく。近くで爆発すると泥水が僕にぶつかる。まるで鉄板にぶつかったみたいで痛い…砲弾の直撃でなくても十分に死んでしまうね。
近くの板を見ると小石が埋まっている。そして近くに背中から無数の血を流す兵士が倒れている。ショットガンで撃たれたみたい見えるが、兵士を殺したのは弾ではなく小石だ。
また爆発すると塹壕から撃っていた兵士が倒れ込んだ。それを見ると吐きそうになった。見るのも辛いが顔がついてない。近くにあった袋で顔に覆うように置いた。それは隠す為ではなく、そのままにしておけなかったからだ。その死者が持っていたライフルを掴み再び走り出したが、敵兵士たちが砲撃に晒される中で塹壕に入って来ていた。それは僕の目の前に銃剣を装着した敵兵士がいた。持っているライフルはコッキングしないと撃てるか分からないので、銃口を前にして突進を掛けると相手はライフルを縦にして前に出して防御姿勢に入った。それが僕の狙いだった。
接触する一歩前にライフルのストックを右側から横に振って相手のライフルを払った。ライフルは横に一直線になり、さらに一歩進んで右肩から相手のお腹にタックルを喰らわせた。反動で後ろに倒れる兵士の上をそのまま一回転するように転がり、足がパッシャと水音鳴るとそのまま走った。
心臓はバクバクしていた。出来るか分からなったけど一か八かで出来た。体格差では格闘戦は僕には圧倒的不利だから予想外の奇襲しかなかった。
「フ…フフ…フフ…アッハッハッハッ!」
銃弾と砲弾が飛び交う中で笑ってしまう。それは思わず出来てしまった高揚感、そしてFPSで正面から格上を相手に知恵と経験で戦った戦闘…そして大人数でのチーム戦での裏取りや戦略など戦闘。
走って行く中で下士官にライフルを置き動いてない。死んでるか確認しようとしたが、胸が動いて傷もなく唖然てしている。機関銃のベルトを近くの兵士に託して下士官の頬を叩いて僕を見た。
「何してるんですか! 今すぐ応戦して下さい!」
「もう嫌だ、なんだこの戦争は…俺の知ってる戦争じゃない」
「何弱気になってるですか! 塹壕戦は短期決着は不可能なんです! 貴方の仕事は一人でも多く生かして敵を殺す事なんです!」
「何させようとするんだ!」
この人は塹壕戦へと恐怖が耐えれなかった…あの人の戦場の理解が及ぶ世界でなくなった。
そして好きな漫画での言葉を思い出した。顧問として派遣されて軍人の主人公での漫画だが、主人公との敵と同じ言葉を出てしまう。今の塹壕へと籠って防御を固めていたこちらだが、どちらか分からない砲撃よって敵兵士の前進の手助けとなっている。敵からの砲撃だろうけど。
敵も知恵を絞って描いている(政治将校の元)……一歩一歩と戦争の形を変えようとしている。漫画ではこんな一言があった。
「こんなに美しいのに…?」
それが分かってしまう。戦争とは文明を下げると同時な文明を上げてしまう。矛盾の言葉だが、真理でもある。前世でのインターネットも元は軍事から発展したからだ。
そう思うと戦争とはなんと愚かでなんと綺麗だ。殺し殺される世界が文明を上げるなんて皮肉だ。
だからそこ僕は叫ぶ。
「無駄死にする部下を見たい! 何も守れずただ分からないまま死ぬ部下を見たい!」
「………」
「死ぬなら何を守って、何の為に死ぬ意味を上げるのはあなたの指揮だ!」
その言葉を聞いた下士官の瞳に無力感から光が戻ってくるのを感じた。
これで大丈夫だと思うが、ここで一言入れておく。
「今闘うのは後方の味方ではなく、更に後方にいる武器も持たない人たちを守る為に時間を作るです!」
「あぁ…あぁ……そうだな、やってやる! 事前命令あった通り射撃優秀手は優先目標を狙い撃て! 機関銃手などは敵の進撃の妨害しろ!」
ようやく命令を出す姿を見て安心した。
でも心の奥ではまるで主人公になった気分もあった。




