第三十一話
狙撃兵から隠れている穴の中でパットは自分のライフルにスコープを着けている。それは嫉妬ともあった。
「スコープ持ってる?」
「先任軍曹からの貰い物だよ…気に入られたからな。最初の1秒と2秒を忘れるな」
「羨ま……わかってるよ…うまくやるから」
外れないように固定してから頷いた…援護できると。
僕はライフルを掴み穴から勢いよく狙撃兵の向かって飛び出した。パンと音が聞こえるが無視して右側に走り出す。すぐに走る方向を左側に変える。そうこれがパットがさっき言っていた1秒と2秒の事だ。1秒以上立ち止まらない。それは止まっていると狙撃兵の良き的になるから。2秒以上同じ方向に向かわない。予測されて撃たれるから。そして自分の中でランダムている。途中からもう1秒や2秒ではなく、どランダムに変えている。
またパンと聞こえるが方向を何度も変えているので外れる。発砲間隔からして敵兵士は一人だ。なぜといわれるとボルトアクションならでは感覚だ。二人ならライフルからの射撃は二発になるけど今回は次弾までの射撃の間があるから一人の可能性が高い。まぁ、一人が撃ってない可能性はあるけど。
多分だけど敵兵士との距離が近付いている筈だ。射撃の精度が少しずつ上がっている。同時に走るが体力の限界を感じてる。
そして死体に足を取られて転んでしまうが同時に敵からの発砲が聞こえながら転がり混む。まるで撃たれたように敵兵士の死体に隠れるように転がりむが、右足首に痛みが走った。痛みを抱えながらそこらのディーグ兵の死体を土嚢変わりに腹這いながらライフルを構えた。たぶん挫いたなこれ。
構えた時には死んだ敵兵士の胴体からちょっと上ら辺で血飛沫が見えた。パットが殺したんだろう。
『この野郎!?』
僕を殺したと思って隠れていた一人の敵兵士見えた。膝立ちに構える敵兵士が見えるが、僕を狙うのではなくてパットを狙いを定めてしている。僕は死体を土嚢変わりにして、走った呼吸を制御する暇も無かったが当たると確信して引き金を引いた。
弾は正確に敵兵士に左横から入り心臓に当たる。同時に敵兵士も撃ったが明後日の方向に飛んでゆく。
そして、ここで敵兵士の全滅を確信したので、隠しれながらでも見えるように集合の合図を腕を伸ばし回した。
やがて警戒しながら味方が集まり、現状を報告する。敵兵士からの被害は僕が挫くくらいでみんな無事だった。
「レーナ、足は大丈夫なのか?」
「挫いた位だから…さすがに走るのは無理かな」
「担ぐか?」
「今は先攻部隊との合流が優先しないと……僕はゆっくりと行くから」
「残存兵がいたら危険だが…ボルト一等兵、レーナと共にいろ!」
悩むパットはボルトと一人を残して先攻部隊への合流を決めた。
残ったボルト一等兵は年齢は僕より年上だけど二十歳未満と感じた。他愛な話で年齢は19歳と聞けた。まぁパットより一歳年上か……。アドレナリンが出まくりなのか他愛ない考えが浮かんでしまう。
敵兵士の警戒もなく鉄条網の柱に背を預ける僕と周囲に警戒するボルトとしていたが、不意にさっきまでの敵兵士が気になり、ライフルを松葉杖変わりにストックを置きながら歩いた。ボルトも後ろを着いてくる。
死んでいるさっきまでの敵兵士は二人、二人ともライフルを持っているが、そのうち一人は政治将校だった。そして違和感を覚えた。最初に狙撃してきたのはどちらかであるがあそこまで正確に頭を撃てるまでの正確な狙いだった。二人の持つライフルはスコープが着いてない。正確な狙い撃つには相当な熟練無理だ。
もし三人目がいたとしたら僕とボルト一等兵を残しているのを見ている。
そして嫌な予感が当たるようにボルト一等兵の襟を掴みがらしゃがむように引っ張るとボルト一等兵の右肩に被弾した。




