第三十話
今だに身体中が痛い。砲弾によって吹き飛ばされて、被害がこれだけなのは運がいい。実際は塹壕では腕や足なとど吹き飛ばされている兵士もいる。その第二陣の隊長も手足がない。死体からベルトを抜き取り止血をしたが、助かる可能性を上げた程度に過ぎない。
「パット、予備塹壕の部隊を呼んで助けて貰って!」
「馬鹿言うな、ただの定期便だと思うか! 敵歩兵がくるぞ!」
「敵は来ない! 先攻部隊が攻撃してる……」
ホーバス中隊長なら奪った塹壕から攻撃している筈なのになんで砲撃された……敵部隊が後方に伝達せずそのまま応戦…報告されなく予定通り塹壕への砲撃? 後方に報告が出来てない……それは…敵歩兵部隊に政治将校がいたから後方に報告出来ない。なら陽が出て直ぐ正確な砲撃……まるで作戦の一つみたい。最初のたった十数発の砲撃ですまない。まるで基準砲撃されたみたい……嫌な予感が走った。
「パット、今すぐ僕たちの部隊に合流か後方の予備塹壕へ行かないと!」
「何言ってるだ! 先に仲間を助けるぞ」
「なんでここまで濃厚な砲撃が来ないと思う! 敵兵の突撃なら砲撃なら普段よりもっと撃つ筈なのに!」
負傷した隊長を担ごうとしてるパットの腕を掴み頭を振るう。助けたい気持ちは僕もあるけど、これは諦めるしかない。今は自分の命と先攻部隊に第二陣の被害を言わないと。
躊躇するパットだったけど僕の顔を見て覚悟を決めたのか隊長を置きライフルを掴んだ。周りの兵士たちに声を掛けてゆく。
「生き残ってるヤツがいたら着いてこい!」
飛び出す僕とパットの後を生き残った兵士たちが着いて行く。少し進んだ当たりで再び塹壕へとの濃密な砲撃が落ちていく。もう少し遅かったら巻き込まれた。
その様子を見て顔を引き吊った顔していた。救助を優先していたらあの砲撃に巻き込まれたのだから。それを見ながら鉄条網広げながら抜けていく。死体があるが触らないように気をつけた。気持ち悪いし、感染症が怖い。仲間の死体がないと分かっていても探してしまう。
「仲間を信じろレーナ。お前の部隊は優秀なんだろ」
「戦場では優秀でも死ぬ時は死ぬから」
兵士が足とライフルで鉄条網の幅を広げてくれてるのを抜けた。先攻部隊……僕の部隊が抜けたにしては誰も死んでない。それは誰も見つかってない事と思うと安心した時にヘルメット越しに左横から頭を叩かれる衝撃が襲った。思わずそのまま地面に倒れるように転がり砲弾が作った穴に身を隠す。ヘルメットを脱ぎ確認すると若干抉れて擦れた跡が残っていた…その意味は撃たれたと事。味方は僕が倒れた…転がったの同時に伏せたり隠れそうな場所に身を隠していた。
何が起こったのか周りの兵士に叫んだ。
「狙撃兵だ! 左側からの銃撃、隠れていろ!」
それだけ言ったら兵士は左側を警戒をする。一瞬の瞬間を掴んでパットも僕が隠れる穴に入ってくる。
「無事か」
「戦場のラッキーに感激してる……敵狙撃兵は腕がいい。狙撃兵は指揮官を探してる」
そう言えたのは僕の位置が物語っていた。パットは先頭からすぐ後ろにいて、僕はその後ろにいた。槍を想像して欲しい。先頭側に先攻がいてすぐにパットがいる。付け根に僕がいる。普段なら指揮官は先頭にはいなく僕のいる位置にいるから判断出来た。前世でも指揮官は先頭にはいない…真っ先に撃たれた所に指揮を取る人はいない……ホーバス中隊長以外では!
そして敵狙撃兵は着弾観測していたのが残っていたと思う。なら最低敵兵は二人…観測兼狙撃兵と通信兼観測兵としている。ならこちらから攻撃したら二発は撃たれる事だ。しかも敵位置を知らずに。
このまま膠着したら時間が長引く、その時間さえも持ったない。どうしたらいいのか考えるとある事に思い付く。パットは訓練でも射撃は優先だった……僕の次に…そしてFPS時代を過ごして来た僕だ。どうすればいいのか分かってくる。一緒に隠れているパットに囁く。
「僕がジグサグなどに動いて囮となる」
「なら俺が囮の方でレーナが狙撃を」
「僕の勘外れた事あった?」
「ないな」
諦めた顔で言うパットに笑ってしまった。さてやりましょう。ここで時間を取られたくないので。




