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銃眼のレーナ  作者: シノシノ
塹壕戦
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第二十七話

アルベルさんが戻って来たと思ったら、ホーバス中隊長や中隊の皆を連れて来た。今度はここで守備に回る積もりなのかと思ってしまった。だが実際は違った。


「先任の大将が変わって新しい大将に変わり防御戦術から攻勢戦術と変わるぞ! つまり敵塹壕へと攻撃となる!」


この時はホーバス中隊長の言った言葉は理解出来てなかった。孤児院時代でもラジオの放送は国境線での一進一退と聞かされていたので驚きを感じた。


「あの~、ホーバス中隊長……ここ国境ではないのですか?」


アホらしい質問をしてしまうとホーバス中隊長や熟練の兵士に視線を受けてしまう。疑問に思ったホーバス中隊長は指を鳴らして理解してくれた。


「あの民間の放送を信用してしまったのか。まぁ言わなくても良いがいいだろう。我が国は国境線より想定内であるがここで戦闘をしている。ここは国境線ではない! それ初戦でかなりの攻撃を受け戦線が後退した。俺様が着任した時からはここ戦線はあった!」


つまり、ホーバス中隊長の言葉の裏をうらがえすと国境線で防御戦だったがそれが不可能になって押されてここで防御戦していると言う事なのね。


「そしてホーバス中隊長の言葉だと僕らに敵塹壕へと突撃しろと?」


それは冗談ではない! 守備を固めた塹壕がどんなに強固なのは僕らでも知っているのに……どうして逆なら容易だと思うのか。それが分からないホーバス中隊長ではないと思…う……の…だが。まさか逆に成功させれる策はあるの。それって陽が出てると見つかる可能性が高いがその逆なら話は別だ。


「ホーバス中隊長、まさかと思いますが夜間浸透…もしくは夜間の内に敵塹壕に突撃をするつもりですか?」


そう提言すると当たり前だろと笑顔するホーバス中隊長に確信した。

突撃は夜間には絶対やらない。敵味方の視認性が乏しく物の場所も把握出来ないのでWW1でもあまりなかった。出来るなら早朝などである。その事からホーバス中隊長は夜間の内に敵塹壕の近く突撃をするつもりなのかな?


「色々と博打すぎませんか?」

「任せてろ、博打は得意でな。カジノに行くと勝ちまくると常に監視が着くよ。まぁ俺様の予想が正しかったらそれも杞憂に終わるさ。なるせ俺様たちからは()()()()()()()()()()()な!」


それを言われて初めてホーバス中隊長の計画を理解出来た。夜間の間に敵塹壕へと赴き、可能なら敵兵を排除して新たな前線塹壕へとするつもりなんだ。

ホーバス中隊長の計画は攻撃的であるし今まである指揮にはない柔軟性もある。ここまでくるとユーティナイネンみたい。これでコーヒー好きなら完璧なんだけど、ホーバス中隊長は僕が入れたハーブティーが好きみたい。


「しかも、北部戦域のトップに俺様が進言した所に全戦域で同じ計画…作戦が実行される。つまり、敵攻勢を崩し国境線までの押し進める戦術となった!」


ある意味カウンターみたいな戦術だ。こっちは塹壕への攻撃はしてないので敵は油断している。その不意を付き塹壕を制圧し、新たな塹壕へと改造改築するんだ。大胆不敵で本当に博打な計画だ。でも敵塹壕からは照明弾は放たれた事はなかった。もしこの計画が成功出来たなら、戦線を上げる事が出来る。

満足そうに去ってゆくホーバス中隊長の姿や声が聞こえないと分かってから喜んだ。


「怪しい骨董物店長、ナイスな作戦だし!」


その言葉を近くで小耳に入ったカルフさんが眉根を寄せて鼻を鳴らした。


「誰が怪しい骨董店長だって?」

「ホーバス中隊長ですよ。だって見た目がそんな感じじゃないですか?」

「…………まぁ、言われたならな」

「ですよね!」


温かい視線で肩を叩いてくるカラフさんが印象的だった。何か変な事言ったかな?

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