第十八話
前線塹壕を奪い返した後はその場で生き残り共に塹壕で守る事になった。頬のかすり傷も化膿しないようにガーゼを貼っている。
僕は砲弾によって入った土をスコップで袋に入れてゆく。満杯になったら近くの仲間に伝え土嚢として組んでゆく。力的に弱いから頼んでる。他には遺体を後方に搬送してる兵士もいる。
「なんで味方の後始末をしないといけないのかな」
ぼやきながらきちんと作業してるせいか温かい視線を感じる。ザグザグと塹壕の頭まで積もった土を掬っては外へ捨てたり、袋に積めていく、。その作業だけでも重労働になっている。腰や腕が痛くなってきたと思っていたら近くの兵士が声を掛けてきた。
「新兵…戦場経験したから失礼か。二等兵」
最初の戦場を味わったので仲間からは新兵と呼んでくるのは少なくなった。それは嬉しい。
「これも俺たち兵士の仕事でもあるんだ。砲兵だって俺たちが突撃する前に準備砲撃のおかげで被害少なく突撃出来ただからさ」
「道理で突撃してくる兵士への砲撃がない訳で、ここらをキルゾーンとしてるですね」
「砲は基本当たらない…なら当てやすい所に狙っておくんだ。敵としては悪夢だろう」
「僕たち兵士からしたら戦場の女神って事ですか」
「戦場の女神か……いいなそれ! 今度からはそう呼ぼう」
ウンウンと頷いている兵士後から聞いたら、今までは砲兵の事を「宅急便」と呼んでいたそうだ。砲弾を敵に届けているからって…なんとも言えない。
他愛ない雑談しながら作業を進めていたら、切り裂く音がしたと思ったら突如爆発が起こった。そして次々と爆発していく。ただ爆発は10発くらいだった。
最初の爆発で僕は屈んでしまっている。理由としては爆風で色々なモノが飛んでくるから……それは僕らが使っていたスコップも例外ではない。
横で話していた兵士が倒れていて背中にはスコップが深々と刺さっている。目を開いて呼吸は止まっている…それは運がいいかと知れない。
「ライフルを持って!」「ディーグのクソ野郎が来るぞ!」「負傷者だ! 早く運びだせ!」
積もった土を利用して斜めになるように寝そべりライフルを構えた。兵士たちもライフルを構えている。
フフフ、何時でも殺せるから来てもいいよ。唇を軽く湿らすように舌で舐めた。
「レーナ、無事か?」
「アナベルさん。はい、僕は大丈夫ですよ」
深く集中していたみたいで、アナベルさんが声を掛けるまで気が付かなかった。ホッとした表情をしてから僕の横でライフルを構えた。そしてスッとアナベルさんの空気が変わる。最初で見たのと一緒だ。
待っているんだが、土煙が漂うが中々敵が姿を現せない。もしかしたら敵兵士は来てはないんではと戸惑いが塹壕に流れた。
しかし、それが現れた。横に長い鉄の板がゆっくりと現れる。二人くらいが隠れる幅でゆっくりと前進している。一人の兵士が撃つが鉄壁には弾かれる。
「機銃撃ち方始め!」
機関銃が発射するが何事もないかの用に前進を続ける。ライフルからも発射を撃ち始めた。僕とアナベルさんは撃たずに観察する。アナベルさんはどう考えているかは知らないが僕は知識があった。
鉄壁…裏には敵兵が隠れてる。どこかに覗き口がある、そこなら敵兵を殺せる。あとは機動力を奪えばただの障害物になる。足元を見たらタイヤで動いている。
僕はこの距離だと覗き口を撃ち抜くのはまだ距離があって難しい。アルベルさんなら出来る。なら僕はタイヤを撃っていけばいい。
その事を伝えると了承を得た。先にアルベルさんが構えて狙いを定めている。引き金を絞り弾が真っ直ぐに覗き口に入っていく。殺しされたのに驚いたのか出てくるが仲間がそいつを撃った。
今度は僕がタイヤに狙いを定めて撃つと車輪の回る所に当たったのか、反対側だけが動き斜めになった状態で止まった。
「腕に自信がある奴だけタイヤを狙え!」
アルベルさんの指示で自信がある人から積極的にタイヤを撃ちに掛かった。




