第十七話
長くお待たせしました!
今回はめっちゃ悩んだ回で長い期間空いてしまいました!
部隊を見つけた後は後方に戻り、報告するだけで終わってしまった。2日くらい経ったが眠れてない。いや眠れる…だけど1時間も経たないウチに目覚めてしまう。そんな状況が続き再び塹壕へと行く事になった。今回は前線塹壕ではなくその後ろに控える予備塹壕に配置となった。
前線塹壕とは違いこっちでは緊張感がなくのんびりとしている。中には寝ている兵士もいた…それは知ってる人だ。
「クラサさん、警戒しなくていいですか?」
「予備は前線が破られたりしない限りはのんびり構えておけばいいのさ」
それはフラグと思ったが口に出さないようにした。
案の定に朝から敵砲弾が前線塹壕にと降ってくる。
前線塹壕のと距離は100mくらい離れているので舞がる土煙など見れた。かつてあそこに僕もいたんだと考えるとよく生き残ったものだな~。因みに敵前線塹壕とこちら塹壕はライフルでは狙えないくらいは離れている。
ライフルの銃声が鳴り出すとホーバス中隊長は塹壕の横に掘った穴で有線無線機で状況確認してる。
いつもの定期便かと思って顔を下げようとしたら、塹壕に入って行くディーグ兵たちが見え、怒鳴り声や悲鳴が僅かに聞こえてくる。
「チクショ! 塹壕にディーグ兵が入ってるぞ!」「味方は全滅したのか!」「今回は大規模だ!」
味方でも困惑している声が聞こえる。顔を下げようとしていたけど塹壕に視線を戻し土嚢にライフルを置き構える。
塹壕から出て来た仲間の兵士たちが走ってこっちに来るのに対して、ディーグ兵は塹壕から出てそれを撃ちに掛かる。
僕は冷静に狙い撃つ。塹壕から上半身を乗り出していたディーグ兵が後ろに倒れる。次は頭だけを出してるのに狙いを定め撃つ。ヘルメットに弾かれたけど塹壕に隠れてしまう。三人目、四人目と撃っていると前線塹壕から逃げて来た仲間たちが入ってくる。
「全員入ってるな! 味方の砲撃が飛んでくるぞ! 総員着剣!」
ふざけた感じのないホーバス中隊長の声が響く。切り裂く音と同時にさっきまで予備塹壕と前線塹壕の間、前線塹壕に爆発が起こった。狙いは正確で僕たちのいる予備塹壕の近くには一切落ちてない。
次々と爆発する砲撃の光景を見て僕自身気付いてなかったけど、近くの兵士からはうっすらと笑みを浮かべていたらしい。
爆発もしなくなると大地に倒れるディーグ兵たちの姿。
「ディーグどもに奪われた前線を奪い返せ!」
ホーバス中隊長の命令でみんなが予備塹壕から出て雄叫びを上げながら前線塹壕に走る。それには僕も例外でなかった。砲撃で生き残ったディーグ兵の反撃もあるけど多くはない。即座に誰かが反撃して頭を抑える。
僕も走っていると右頬に僅かな痛みが走った……弾が擦ったんだろう。それでも走っていると前線塹壕の近くで足を取られて砲弾が作った跡に入った。その瞬間に連続して発砲音が鳴り出して、撃たれた仲間の遺体が一緒に入った。
僕たちの機関銃を使ってる。そう判断すると頭を上げたり反撃は危険だ。使えるモノはないかと見回すと倒れた兵士のベルトに柄付き手榴弾を見付けて手に取る。音の方向を確認してから柄の先端を抜いてから投げた。数秒で爆発したら機関銃の発砲音も聞こえないので穴から出て前線塹壕へと入って行く。
『足が! 足が!』
さっきの手榴弾で被弾したのか両足がないディーグ兵を見付けては躊躇なくその首に銃剣を刺す。口から血が溢れ出してくるのを確認すると傍の木の板が弾ける。発砲されたと確信し発砲先を見るとコッキングしてるディーグ兵を見てすぐに撃ち返した。目に当たったのか崩れるように倒れるのを見ていて何処か冷静だった。
味方も前線塹壕を制圧していって、ディーグ兵は塹壕から逃げるように出て戻っていく。それを前線塹壕の土嚢からライフルを構えて逃げて行くディーグ兵を殺していく。何処か冷めた気持ちでコッキングしては撃つ。コッキングしては撃つ。
この時も僕はうっすらと笑みを浮かべていたらしい。




