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銃眼のレーナ  作者: シノシノ
塹壕戦
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第十六話

部隊捜索で歩いているととある建物…工場が見えてきた。機関車が通れるようにレールが通ってる。工場は稼働してる様子はなく人の気配がない。

その工場は部隊配属為に通り遠くからあるのは見ていた。

近寄っていると鉄の筒……大鍋並みの大きいのが地面に突き刺さり、筒の一部が内から弾けている。足で軽く触るとカラッと音が出る。


「ホーバス中隊長、これはなんですか?」

「ガスだよ。胸くそ悪い毒ガスさ」


毒ガスと聞いて青くなる。


「訓練場で軽く条約を学びましたけど……それって」


条約違反と言いたくなったが口を閉じてしまう。

各国で戦争などなった場合の条約を結んだが『ホドラス条約』。その中で民間人など殺傷する兵器は禁止でその代表として毒ガスの仕様禁止があった。

しかも僕ら前線から後方へと居たのに更に奥を狙える大砲があるのに驚愕する。


「たぶん列車砲だろう。あの国は新国家と言っている。だから前の国が結んだ条約など関係ないと……本当に胸くそ悪い」


険しい表情をするアルベルさんからディーグ連邦は条約を結ぶつもりはないし、バンバンと使えると言う事。それに対して僕らアルビオンは条約を結んでる為使えない。ディークが結んでないから使って良いとは成らない。


「でも前線では使って来ないですよね」

「それはな、シュトラ二等兵…ガスマスクもあるが毒ガスが漂う所に兵は行かせないだろ。占領するも毒ガスが落ち着くまで待つのはマスクのフィルターが持たん。お喋りもいいが中に入るぞ。アルベル、ミクーは裏に回れ」


ホーバス中隊長はライフルを肩に下げ、士官護身用のリボルバーを取り出し入って行く。それに続きライフルを構えながら工場に入る。

服を製造する工場なのか長い布が天井から何枚も吊って、戦争する前は多くの人がここで働いていたんだなと思える。

中は広いので敵兵もいないだろうとホーバス中隊長と離れて捜索する事になった。

どう使うか分からない機械の間を通ったり、小部屋を恐る恐る開けて確認して行くが何もなかったりしてホッしていく。捜索してる部隊はここにはいないだと思っている間に鉄の門の前に立ち止まる。人が入る用の扉もあり、開けながら中を確認する。元は保管庫だったのかは分からないが広く、簡易的はベットの上で横になったる兵士が沢山いた。


「ホーバス中隊長! アルベルさん! ミクーさん!来て下さい!」


大声を上げて皆を呼び込んだ。皆も集まるとミクーさんがベットで横になってる兵に行き2本の指で脈を確認して、僕たちを見ると横に首を振る。もう死んでしまってる。その兵士だけではなくここの兵士全員が死んでいる。原因はさっき見た砲弾の毒ガスで。

ペタンと腰を落としてしまう。


「新任士官様は不発だと思って放置して、深夜に遅延式の爆発で毒が漂い寝たまま殺られた訳だな」

「裏にはトラックが止まってる。ここで夜を明かそうしてか」

「トラックは移送用の荷物も積んで動かせますね」


何でもないかの用にホーバス中隊長やアルベルさん、ミクーさんがベットで死んでいる兵士たちのドックダクを取っていく。いくら死を見慣れた僕でもこれにはショックは出る。条約違反の兵器を使うディーグや眠ったまま死んだ兵士たちの気持ち。死んだ兵士の為戦うと決めたけど、これは違う。戦って死んだ訳ではない何も知らないまま死んだ。これは悲しい。目から溢れるのが分かる。泣いているんだ。国の為、故郷の為、家族の為戦うに来たのに戦う前に死んでしまった。


「レーナ、トラックの所で待ってろ」

「だ…大丈夫です……た…ただこの兵士たちの志しがどうしても」

「……確かに悔しいだろう。でも運がいい……家族が泣く前にもお前に泣いて貰える。俺たちは最早当たり前になった。当たり前だから感情が失くなる。ただの作業の一つとなった。今回はお前がいた」


それで充分だと言わないけど僕のヘルメットに手を置いてからドックダクの回収に戻った。

僕は部屋を出て5台のトラックが止まってる所まで行き再び座り込む。今は悲しいを通り越して心の何処かでディーグが憎いと思い始めた。

銃眼のレーナ裏話設定

レーナ「この話しでドックダクでたけど、みんな知ってるのかな?」

シノ「知ってる人は知ってる程度だから。ドックダクとは本人の名前、性別、血液型など彫られている」

レーナ「じゃあ、僕のドックダクも彫られてるんだ」

シノ「戦場では遺体回収は難しいから生まれた。本人の死亡確認したら現代では札が二つあるから一つを取る。だけど第1次世界大戦ではドイツは丸い鉄の札で真ん中横には一定間隔で穴がある。それを折って回収していたよ」

レーナ「じゃあ、僕が持ってるドックダクって」

シノ「ハハハ、気にしない」

チャンチャン

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