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銃眼のレーナ  作者: シノシノ
塹壕戦
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第十四話

「あぁ~歌った歌ったな」


歌い終わった後もどこからかギターを持って来て弾く兵士が出てきて、ノリノリで皆な歌い出すので抜ける時を見失った。戻れたのは夕方になった頃にややお開き状態になった時コソッリと抜け出した。

テントに戻るがホーバス中隊長の姿はなかった。書いていた書類もないから提出しに行ったかも知れない。


「タイミング的によかった」


僕の腕にはお湯が入ったバケツを持っていた。炊事場の女性兵士から手招きされて行くとお湯の入ったバケツを渡された。この5日はお風呂には入れなくても体を拭きたかったし、僕の状態を察してくれたかも。帝国もお風呂の文化はなく温泉はあるのだが、一般的にはサウナだった。元日本人としては温泉は兎も角お風呂は欲しい。

戦場では体すら拭けないので、今はお湯で体を拭けるだけでラッキーだった。

コートを脱ぎシャツのボタンを取り開けると……匂うね。肌着も替えようと脱いで置いておく……ついでにスボンも脱ぐ。

下着だけとなり視線を下に向けると小ぶりながらある胸と下半身に白い下着。慣れたけど…慣れたけど……ため息を吐き、タオルをお湯に浸けて体を拭いていく。汚れや垢が落ちていくのは気持ちいい。

上半身を拭けてある意味サッパリとしたので両手組んで上げて背伸びするように上半身を反らしてしいた。


「中隊長、至急知ら…せ…が…」


テントの布を上げて入ろうとするアルベルさんと目が合った。

さて僕の状態は下のみ着用して胸を隠さず反っている。目を点にして視線をズラさず見ているアルベルさん、だけどハッと戻りながら冷静になってる。


「落ち着け、落ち着いて話しを聞いてくれ」


アルベルさんは自分を落ち着かせようとしてるが僕の頭は気持ちいいワアワアとなって冷静ではない。前世では男であったが今世では女として生まれ、そうゆう教育を受けている。つまり次起きる事は必然である。


「ミギャァァァァァァ!?」


左手で胸を隠しつつ右手でバケツを掴みお湯をアルベルさんにかけた。多少冷めてるかも知れないが、それでも温度は高いので受けたアルベルさんは入ろうと手を掛けていたテントの布を離して外で「熱っ!」と言う声が聞こえた。

だけど僕はそんな状況を意識している暇もなく顔を赤くして「見られた見られた」と呟く。

ホーバス中隊長が戻って来て両方から事情聴取された。ちゃんと服は着てる。お互いに悪いとなった。僕は迂闊にも拭いていたのとアルベルさんは声を掛けてから入るべきと注意を受けた。

夜となり僕は炊事場の所で体育座りで落ち込んでいた。その横で包丁で野菜を切っている女性兵士。僕にお湯の入ったバケツをくれた人。


「私も注意を言っておいたらよかったね」

「ミアさんが悪い訳じゃないです」


穏やかなお姉さんという感じで出る所は出て引っ込んでる所は引っ込んでるスタイル……とても羨ましい。ただよく男性兵士たちに見られてるのは視線でわかるので同情する。


「でも、どうせ。裸なんてすぐに見られるからよかったかもね」

「ど…どうゆう事ですか!?」


僕は心の底で驚いた。聞いた話しでは後方の女性兵士たちは小遣い稼ぎに街でその…あの…そうゆう事をするみたいだった。おいおい、奔放すぎじゃない?


「別に妊娠しても更に後方に転属となるし、なおの事将来性ある夫を捕まえられるからお得ね」


そこまで聞くと空いた口が塞がらない。近くの女性兵士もどこの上官がいいとか話しに加わった。偉い打算的で詳しくない?

こうゆう話は知りたくなかった。


「良かったら、レーナちゃんも参加する?」


おっとり微笑むミアさんに僕の答えは『ノー』と言うのだった。

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