第九話
戦う理由を見つけて、今日も敵からの準備砲撃にさらされている。塹壕戦も四日目となり初日はパニックを起こしていたけど今は慣れたモノで。基本砲弾は運が悪くなければ当たらないのを学んだ。前世では精密な弾着観測、精度のいい大砲をして当てていたが、今世ではそれはなくある程度絞って砲撃をしているだけで塹壕の手前で落ちたりしてる。
「も~敵も馬鹿なんですかね!?」
「政治将校のせいなんだろ!」
退避壕の中でも大声を上げないと砲撃の爆発で聞こえない。アルベルさんもウンザリしている。僕も迷惑すに思っている。それにしてもなんや聞き慣れた単語が聞こえた。
「政治将校って、軍事の事も知らない人ですか!?」
「あぁ! 党の正しさを絶対と思っている!」
「その党は共産主義とか! 赤い国旗では!?」
「よく知ってるな!」
それってもう前アカと言われてたヤツだ! ゲンナリしていたが、砲撃も終わりホーバス中隊長が元気に配置に着くように命令してくる。どんな時でもホーバス中隊長は楽しそうだ。みんな担当の所に戻るが僕とアルベルさんは違った。
僕とアルベルさんは中隊が守る地域……塹壕を動き回って、偉そうなヤツを狙って撃つ。ホーバス中隊長での指示で二人一組の狙撃班を形成された。なんでも初陣での僕が政治将校を殺した時が周りの圧力が減ったみたい。それを見ていたホーバス中隊長が中隊内で作った。その狙撃班は四班ある。つまり八人で偉そうなヤツを殺す班。この中にはクラサさんも混じってる。
「アルベルさん、ここの場所で待機ですか?」
「ここは前に撃った。自己保身の政治将校様なら少し離れてるだろう」
ちょっと離れた塹壕へと足を動かす。アルベルさんはどこか人の心を読めてるじゃないかと思う。初日からの次の日では僕が撃った政治将校の場所から大きく離れた塹壕でいて、突撃してきた兵士中でお目当ての政治将校がいた。班の仕事として最初にアルベルさんが殺した後で僕が次に偉そうなヤツを殺す。そんな事をした。そうするとディーグ兵が突撃をやめ砲撃跡に込もって隙を見て後退して行く。ディーグ兵が負傷者抱き抱えて後退してゆく姿を見ても撃たない。なんというかそんな無能な政治将校の元で戦うディーグ兵に同情を抱いていた。
ホーバス中隊長は言った。「悪いのは政治将校のせいでディーグ兵のせいじゃない。ただ後退するまでは撃てばいい」と。
そう言われるとどこか心が楽になる。腕自慢の人からディーグ兵相手に急所を外して肩や太ももを狙っている。そうして後退して行く味方に拾ってもらえるようにしている。
「よし、ここならあの間抜けな政治将校様が現れるだろう」
そう言って到着したのは前日とは違い大きく離れて塹壕場所。周りの仲間も安心している。ホーバス中隊長の指示は末端まで届いている訳で安心があるんだろうね。
そこを守る兵士に場所を譲って貰い、アルベルさんの横でライフルを構えてる。
「レーナ、ここで的を撃ったら、更に移動するぞ」
「了解です、アルベルさん!」
黒く湿った地面を走るディーグ兵を見ながら訓練時良かった視力を駆使して政治将校や将校を確認していく。
「11時方向、拳銃を持った偉そうなヤツ。たぶん政治将校………同僚を撃った! 政治将校確認!」
「了解、14時方向、指示してる将校確認」
「そっちは僕が!」
目標を言い合った後僕はアルベルさんが見つけた本来ならの指揮官を狙い定める。どこかで見た事ありそうで迷ったが、撃とうした瞬間にその瞬間はアルベルさんが政治将校を殺したのを見て腕を前に降っている指揮官の肩を狙って撃った。肩を狙った筈なのに足を取られたのか前の砲撃跡に倒れ込むというラッキーが起きて外れてしまった。狙われたのを警戒してるのか顔を出さない。




