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232話 気になるあれこれ

 昼時になり、ニコラ達は宮殿の廊下を来客用のエントランスに向かって歩いていた。


 といってもニコラはソフィーとブリジット夫人を見送りに来ただけでまだ帰らないのだが・・・。



 そうなのだ、昨夜特権を行使した関係でやっておかなきゃいけないことが発生し、それがまだ片付いていないからソフィーと共に帰れないのだ。



(お祖母様にソフィーを紹介出来たのは良かったんだけど、今日はもうこれでお別れだ。

 あーあ、つまらない。せっかく久しぶりにソフィーに逢えたのに話もあんまり出来なかった。

 今だってソフィーは夫人と並んで歩いてるから距離が遠くて触れられないし)


 なんて、まだまだ一緒にいたくて溜息の一つもつきたい気分にもなってものだ。だけどいくらソフィーに惚れているからといっても宮殿の廊下を手を繋いで浮かれて歩くほどニコラの頭はイカれてはいない。節度はある、ただ空いた手がちょっと寂しいと思っただけだ。


(仕方がない。今のうちにこの後の予定でも立てとくか)とニコラは気持ちを切り替えた。



 やるべきことは山積みだ。



(まず一つは王太子殿下に昨夜の特権行使の経緯を報告すること!)


 ニコラが特権を行使した際はフィリップに報告する義務がある。ニコラが『俺の稲妻バッジ』と言っているバッジを出しているのはフィリップだ。『王太子の特別な専属護衛の特権行使に協力したことへの感謝の意』を表して授与されるもので、だからこそ価値がある。裏を返せばフィリップに知らせない限りバッジは出ないということだ。



(いや待て。それも大事だが先に騎士団に寄って届出された協力者の名前を確認しておいた方がいい)


 といっても騎士たちの不正を疑っている訳ではない、協力していないのに届け出るといった不埒な者は清廉をモットーとする王立騎士団の騎士にはいないはずだから・・・。


 大体バッジを受ける者の名は公表されるからその場に居なかった者の名があればすぐバレる。そうしたら信用が失くなるどころでは済まされないのだ。王太子を欺くのだから重罪だ、左遷、降任、免職、若しくはそれ以上の処分も有り得る。たかがバッジ欲しさにそんな危ない橋を渡るのかということだ。

 そもそも栄誉を尊ぶ騎士が一番嫌うことは不名誉で、ピアプレッシャーは不正防止に一番よく効く特効薬だ。


 ニコラが知りたいのはあの時計師のフロランタンとヤニックがちゃんと届けを出したか、そして受理されているかということだ。


(レーニエがバッジの他に寸志が出ることがあると言っていたが実際のところ彼らはそれを受けても良いくらいの働きをした。特にあの辺境出身の男は騎士達を上回る活躍をみせたのだから正当な評価を受けて欲しい。

 もちろんどうなさるのかは殿下のお決めになることだから俺からこうしてくださいとお願いすることはしないが、俺の伝え方で評価が変わるということは大いにある)


(それと被害者の時計師の容態も気になる。

 朝、リリアンのところに行く前に騎士団に行った時に救護室に寄ってみたい気持ちはあったのだがソフィーやサシャと一緒だったこともあって止めておいた。

 低体温症もあまり衰弱が激しいと後遺症が残ることがあると伯父さんが言っていたし、生命の危険もあるらしいから心配だ・・・)



(そういえば、サシャとエドモンはどこにいる?)


 従兄弟達のことも気に掛かる。彼らはヴィクトルの息子達でリリアンに挨拶に来ていたのだが、フィリップがリリアンを連れて庭に出ていったのに皆が気を取られている隙に行方を眩ませた。


(本当なら王太子殿下がいらっしゃる部屋から勝手に出て行くなんてこと自体、有り得ない)


 実を言うとニコラは彼らが無断で出て行っているのに気がついていた。でもトワレットに連れ立って行ったのだろうと思って見逃した。不敬だと思ったけど場の空気を読んだのだ。だけどそれっきり彼らは戻って来ない。


 一応部屋を出た時に廊下にいた見張に彼らのことを尋ねたが「帰るのだと思った」と行き先を尋ねもせず、誰も門までの道中も同行しなかったと言う。ニコラだって従兄弟達が悪事を働くとは思ってはいないが、それにしたって対応が雑だろう。いくらニコラとリリアンの従兄弟でも初めて訪れた者に対して信用し過ぎだと思う。


 それにしてもエドモンはあの常識のなさでリリアンの護衛をしたいなどと大きなことをよく言ったものだ。

 リリアンに対する態度もだが、勝手に出ていく以前の問題で彼らは王太子と面識がなく許可なく王太子の御前に出られるような立場にないのだから今回のようにたまたま居合わせた場合には頭を垂れてお声が掛かるまでジッと待っていなければならないのにそれさえも出来ていない。


 多分だが、例外として学園では学生同士ということで最上級の礼を尽くさなくても良いことになっているから、それらと混同して学生なら学園外でも同じように振る舞って良いと勘違いしているのだと思う。


(はあ、アイツらの兄貴はちゃんとしてたがな〜。

 教えられてないのか、知ってて出来ないのか、どちらにしても入学式までに再教育の必要があると伯父さんに言っておく必要がある)



 まあそれはそれとして、今日のところはニコラにも責任がある。


 今日はもともとヴィクトルが二人を連れてくる予定だったのだが急用が入ったということでニコラが代わりに連れて来ていたのだ。

 二人を連れて来たのはリリアンに同じ学年になる従兄弟のエドモンを紹介することともう一つあって、各地で騎士団に所属する者は王都にいる間は王立騎士団の施設を一部利用出来ることになっているからそれの申し込みをすることだ。どちらももう達成したが、宮殿を出たかどうか分からないままではいけない。


(まあ悪さをするようなヤツらじゃないからどうせ迷子になってるとかそんなことだろうけど、引率者として放置は出来ない。

 まず馬止めに馬がいるかどうか確認して、まだ帰ってないようなら騎士団に言って捜索してもらうか)





 そんな事をつらつらと考えながら歩いていたらいつもより注意力が低下していたらしい。いくらニコラといえど王太子や王太子の婚約者といった護衛対象がいない時は気が緩んでいることもある。


「あ」「あら?」と小さく声がして前を歩いていたソフィーとブリジットが急に立ち止まったので、ニコラは危うく二人にぶつかりそうになった。


「おおっと!」


 ニコラの巨体がぶつかったら体重の軽いソフィーなど吹っ飛んでしまう!ニコラは必死で踏みとどまった。


「あっ、ごめんなさい」とソフィーが振り向いた。


「いや、おわっ!」とソフィーに大丈夫と言おうとしたら今度は背中に衝撃を受けた。



「おい、大丈夫か!?」


 ニコラが振り向くと、コレットは腰を(かが)めて「おほ〜、痛たたた」と言いながら鼻を押さえていた。


 向かう方向が同じだったので一緒に移動していたのだが、コレットはコレットで考え事をしながら歩いていたので、前が止まったことに気が付かず思いっきりぶつかったのだ。


 私ごとですがいつもウォーキング中に話を考えているのですが、足底筋膜炎になりまして痛いのに我慢して歩いていたら本当にめちゃくちゃ痛くなって考えがまとまらなくなってしまいました。

 今回の話は考えがまとまらないままもう何日も書いては直し、書いては直しを繰り返しで一向に進まなくて埒が明かないのでいったんここで切ってアップします。次回はこの続きでコレットの話をしたいなぁと思っておりますがどうなることやらまだ分かりません。

_φ( ̄▽ ̄; )

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