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199話 いつもと違うフィル様

 初代アルトゥーラス国王の偉大な功績としてまず一番に挙げられるものに『プリュヴォ国法』の制定があるが、百年近く経過した現在も尚あらゆる事がこれに則って執り行われている。


 それは国を興した初代への敬意を示しているという側面もあるが、やはり法は国の礎となるもの尊守することが大切だ。

 いくら国王の一存で何でも決められると言っても気の向くままその場しのぎの対応ばかりしていれば次第に人心は離れていく、小さな不信感はやがて大きく育つだろうそれを甘く見てはいけないのだ。

 特に第三者から誰かを特別扱いしていると取られる恐れがあるような事柄に関しては尚更だ。



 グレース夫人の爵位も勿論これを踏まえて与えるのだが、いざプリュヴォ国法を開いて確認して見るとやはり今回のようなケースは全く想定されていない。その為どう解釈してどう当て嵌めるかを検討しなければならなかった。

 そこで国王であるリュシアンは重臣を集めて有識者会議を開催し意見を聞くなどしてみたのだが、思いの外喧々諤々(けんけんがくがく)でなかなか意見の一致がみられず結論を出すのに手こずった。


 最終的に『一代侯爵』という前例のない爵位を与えることに決めた経緯はフィリップが先程聞いた話では次のようなものであったらしい。




 まず前提として侯爵に関しての条文の要件には『侯爵は王族から除籍された者に新しい家名と共に与えられる爵位である。ただし婚姻により配偶者が当主となる場合にはその当主が侯爵を名乗ることとする』とある。

 そして『初代侯爵に限り、爵位は生前に子に譲位されることはない』となっているのは侯爵はあくまでも除籍された王族に与えられる爵位ですよという意味だ。

 もちろん二代目、三代目は任意のタイミングで爵位を子に譲ることができるが『子、孫の代まで侯爵の爵位を継げる。ただし家名を継ぐ者に限る』となっているから、子が複数人いても侯爵を継げるのはその内一人しかいない。ちなみに子には養子も含まれるが出身は貴族でなくてはならないことになっている。

 また、爵位と家名については『プリュヴォ国において一人が持つ爵位は一つまでとし同時に複数持つことはない。家名も同じ』とある。



 過去の例で言うと、これにより例えばアナベルの父であるアナトルがメルシ侯爵となったり、王女ララと結婚した三騎士のジルが当主としてアルノー侯爵になった。



 グレースの父であるアンリ殿下も本来なら兄ヴァレリアンが即位する時に臣籍降下して侯爵となるはずだった。しかしそれより前に失踪したので爵位を賜っていなかった。


 それゆえ当初リュシアンは苦肉の策としてアンリが王族籍のままアンナ(=グレース)が生まれていることからグレースは生まれて此の方ずっと王族であり、この度除籍されて侯爵位を賜ることになったという解釈にして、グレースを初代侯爵とした。

 本来であれば同時に新しい家名も与えられるところではあるが夫であるマルセルと姓が変わってしまうこと、そしてグレースは辺境ジラール領の領地経営に深く関わっており違う姓を名乗っては業務に支障が出る可能性があった為に特例としてジラールのままにした。



 次に問題となったのは誰を後継とするかだ。

 通常であれば当主が次の後継に相応しい子(もしくは養子)を指名し、国王がそれを了承すれば子が継ぐことになるのだが、今回は特殊な事例なので先に想定しておく事にしたのだ。


 初代侯爵となったグレースから三代は侯爵を名乗ることになるが、爵位を譲るのはグレースの死後で跡取りのヴィクトルということになる。しかしヴィクトルは辺境伯だ。


 辺境伯と侯爵は位の高さは同格とされているがその性質は異なっており、辺境伯は初代ルミヒュタレの血が続く限り辺境伯で有り続けると決まっているし防衛上重要な役目を担っているのでヴィクトルは辺境伯でなければならない。


 ならば代わりにグレースの産んだ最初の子であるクレマンが侯爵を継ぎ、そしてニコラと続くのが妥当ではないか、と皆も思ったようだ。


 実を言うとフィリップが考えていたのもこの案だ。

 ニコラが侯爵になるのはとても好ましい、そう思っていたからリュシアンが至宝殿の系図の前でグレースの爵位について言及した時にちゃっかりこの考えを披露していた。




 しかし全会一致で支持されるかと思いきや、モルガン宰相から反対意見が述べられた。


「皆さんお待ちください、王太子であるフィリップ殿下とリリアン様が御結婚なさったら、リリアン様は王族となり自動的に生家の爵位が伯爵から侯爵となりますよ。

 早ければ二年もすればその条件が達成されクレマン・ベルニエ伯爵はベルニエ侯爵になるのです。そしてニコラとニコラの子はグレース夫人の侯爵位を当てにせずともやはりベルニエ侯爵を譲り受けるのです。

 それに彼らの場合、名乗るならジラール侯爵よりベルニエ侯爵の方が良いでしょう。リリアン様の生家の家名なのですから」と。



 侯爵になる方法には先ほど紹介した王族からの除籍(臣籍降下または王女の降嫁)の他にもう一つ王妃(または王太子妃)を出した家に与えられる場合の二通りがあるのだが、ベルニエ家はそのどちらの条件も達成しそうなのだ。

 前者の条件はグレースから、後者の条件はリリアンからだ。


 同じ侯爵でもその二つは扱いが違っていて、王妃の生家の家名は元のまま爵位だけが変わることになっているからリリアンの方の条件で侯爵になればベルニエ姓のままでいられるということだ。


 皆が先に聞いていたフィリップの案に引きずられて見落としていた事によく気が付いたと言いたいところだが、モルガンの娘ソフィーはなにを隠そうニコラの婚約者だ。

 将来自分の娘と孫に関わってくる話なのだから気付かないはずがない。



 それなら「ではグレースの爵位はクレマンではなく弟のリアムに譲るか」という意見も出るには出たのだが、リュシアンは「それは無い」と却下した。

 フィリップもその場にいたら同じように即却下しただろう、だってリアムに侯爵を名乗らせる気なんて彼らには全くないのだから。


 侯爵家というものは必ず王族と縁続きになるから王位継承権が発生する。その血の濃さや年齢など幾つかの基準に従って順位が設定されはするが、うっかりリアムを侯爵にするとその子マルクにまで可能性は少ないながらも王位継承権が発生してしまうのだ。


 それを知ったマルクが「じゃあ自分が王様になってリリアンを王妃にする!」などと言い出して謀反を起こしたら面倒だ。

 侯爵という爵位は親子兄弟など強い血の繋がりがあるとか、よほど信頼の出来る相手でなければ与えられないものなのだ。


 そういう懸念もあり、意図しない者に侯爵位が渡る危険を回避する狙いもあってグレース夫人の爵位が誰にも渡らないよう『一代侯爵』とした次第だ。




 色々と考えた割にはこちらの都合で無理矢理辻褄を合わせた感もあるが、


 とどのつまり、


 全てはフィリップとリリアンの結婚を前提として考えられた最終結論なので、まだ気持ちを伝えていない今の段階でこれらの理由をリリアンに明かすなんて出来やしないのだ。




 でもどうやらリリアンは何も疑問に思わなかったようだ。


 フィリップの話がひと段落したらお次はリリアンがあの後あった事を話し始めた。これは二人の暗黙のルール。以前 "これからはお互い自分のことを話してお互いのことをもっと知っていこう" と約束してから自然と話す役と聞く役を交互に交代して話すようになったのだ。



「フィル様、あの後しばらくしてトマとアニエスが来たのですよ」


「そうなんだ」



「それがですね、もうビックリなんですよ。今日こそはトマが上手くお付き合いを申し込めるかしらって心配していたくらいですのに、なんともうトマのお母様とアニエスのご両親にご挨拶して結婚の許しを得て来たと言うのです」


「え、そうなの?この間アニエスはあんなに逃げ回っていたのに展開が早過ぎない?」


「フィル様もそうお思いになりますよね?トマに朝ここまで馬車で迎え来るように言ったのは私ですが、その馬車に乗り込んですぐプロポーズをしたのですって!

 アニエスはいきなり過ぎて勢いでハイと返してしまったそうです。それからその足で挨拶回りとなったそうですよ」


「トマはあの後観劇チケットを買いに行ったとニコラに聞いていたのに劇場には行かなかったんだな。それにしてもひどく急いだものだね」


「ええトマは卒業したらすぐ結婚して仕事に就くまでの二ヶ月ほどの間に新婚旅行に行ったり二人でゆっくりしたりして新婚時代を満喫したいのですって。それまでに住むところを探したり色々しなきゃいけないことがあるから早く準備に入りたいのだとか。

 プロポーズの言葉は内緒と言って教えて貰えませんでしたが、突発的行動に見せかけた先制攻撃は計画的犯行だった、作戦は大成功だと笑ってましたよ。

 アニエスももう気持ちが通じ合ったからか逃げたりせず隣に座って笑ってました」



「ふうん、仕事に就く前に、か」とフィリップは思案げに腕を組んだ。


(確かに通常卒業から就職までは学園の冬季休みと同じ期間あるのだが・・・う〜ん、そのタイミングは困るな。

 トマ達はすぐ現場投入出来るように卒業したら早めに騎士団入りさせようと思っていたんだよね。それに双子同士の結婚となると結婚も出産も何もかもが被る可能性があるな。

 アニエスとクラリスが同時に長期休みに入ると困るからズラして欲しいが結婚のタイミングはともかく出産となるとこればっかりはどうしようもないな・・・)



「ねえフィル様?それでですね、今日私の所に寄ってくれたのはヴィクトル伯父さんとお祖母様に報告する為だったんですって!

 でも二人とも話し合い中だったでしょう?会えなかったから今度私が王都にいる親戚を集めてお茶会をする話をしたんです。ならその時に皆んなにも紹介出来ると言って喜んで帰ったんですよ」


「ああ、そのお茶会の日程は早く決めなければいけないね、ゆっくりしていたら辺境の皆が帰ってしまうから」



「そうですね!私、カレンダー取って来ます!」



 そう言ってリリアンは立ち上がってオコタンをベッドに置くと隣の自分の部屋にカレンダーを取りに行った。


 フィリップはその後ろ姿を目で追う。


 小走りで去っていくその足取りは軽く優雅でダンスをしているかのようで、リリィの動きに合わせてなびく銀の髪は薄暗いこの部屋の中でも艶やかで美しい。


 あの髪に指を入れるととても心地がよいのだ・・・とその感触を思い出しているとリリアンが戻って来た。




 小さなテーブルにカレンダーを広げて二人で覗き込む。


「お茶会の招待状は小規模なものでも少なくとも十日前までに届けるのがマナーだが、ヴィクトル達はそんなに長く王都に留まるつもりはないだろう。まあ親戚で近しい間柄だからマナーには目を瞑ってもらって最短で集まれる日に決めよう」


「はい。ではえっと・・・明日、は急過ぎですよね?」


「うん。まだ招待客リストも作ってないくらいだから明日は無理だね。

 朝一番に召集をかければある程度人は集められるだろうけど、一応今回はサロンを開く練習がてら一通りの手順を踏んでやってみよう。

 最初はまず日程を決めて招待客リストを作り、規模や形式、場所を決める。それから招待状を書いて送るんだ」


「はい。ではまずは日程ですね。

 明日は無理で、明後日は入学式の前日でクラリス達が一日中色々な準備があると言っていたからやっぱりダメ、その次からは学園が始まるから・・・最短で出来そうなのは最初のお休みの土曜日でしょうか」


「うん、その日はヴィクトルの辺境伯位譲位式があるよ、でも午前中で終わるから午後からなら出来るかもしれない。もしくは翌日の日曜か、そのどちらかが適当だろうね。

 ちなみにお茶会は1時間から2時間、パーティー形式なら2時間から3時間が所要時間の目安だよ。大体の、だけどね」


「はい、では土曜日の午後にしましょう」


「では次は招待客のリスト作りだ。こっちにいる親戚の名はグレース夫人に聞けば分かるだろう」


「はい、では明日お祖母様と相談しながらリスト作りをします」


「うん、そうしよう」



 話がひと段落し、二人が顔を上げると視線が合いほんの数秒見つめ合う。


 リリアンはいつものように可愛らしく微笑んでくれた。揺れるランプの灯りがリリアンの顔に絶妙な陰影を作りとても綺麗だ。


(ああ、なんという可愛さだ!)



 フィリップは将来リリアンと結婚するつもりだが、まだリリアンにはその意思も好きだという気持ちも伝えていない。普段は本当の兄妹のようにただ仲良く過ごしているだけだ。

 リリアンはまだほんの7歳の小さな子供だからそれで良いと思っていたし、この年齢差があるからこそ自制心が働き一緒のベッドで寝ていられるのだ。


 しかし今日はちょっと変だ。

 妙に意識していつにないトキメキを感じてしまうのはさっきの会議のせいだろうか。


 オコタンを抱いていないせいでリリアンの全身が見えるのも目に毒だ。


 今夜のパトリシア王妃の命によって作られたネグリジェは濃い灰色で滑らかな光沢があり否が応でも身体の線が強調される。透けない素材ではあるもののリリアンの動きに合わせて陰影が艶かしく動くのだ。


 改めて感じた。


(リリィはもう幼い少女ではない)


 今までは一緒にいたり触れるのはワクワクに近い喜びだったのに・・・今までと同じ気持ちでいられるだろうか。




 もともと王太子とその婚約者候補が婚前に毎夜同じ部屋、同じベッドで寝ているなどあってはならないことだ。

 それを父がこの部屋を用意していたこと、リリィがまた幼くて親元を離れて一人ぼっちで寝るのは寂しいだろうから・・・などと理由をつけてこっそり一緒に寝ていたがもうやめるべきだろう。


 頭では分かっていたが、このひと時の幸せな時間をなかなか手放す気になれずズルズルと今日まで来てしまった。学園に入学する時までにはやめようと思いつつも、まだもうちょっとギリギリ閨教育の授業が始まるまでは・・・なんて思っていたくらいだから、いつやめるのかさえ決めていない。


 でもいつまでもこうしている訳にはいかないし、今日この時をいい機会だと思ってハッキリとリリィに言って終わりにしよう・・・勿体ないし、残念だけど。

 一緒に寝られるのは今夜を含めてあと3回、入学式の朝までだ。


 お兄様と呼ぶなと言っただけで泣かれたくらいだから今回も泣かしてしまうかもしれない、ギリギリに言って泣き腫らした目で入学式を迎えることになると可哀想だから、もう決めたのならなるべく早く教えて心の準備をさせてやった方が良いだろう。


 フィリップは決心した。



「リリィ」


「はい」


 リリアンの話がひと段落したから次はフィリップの喋る番だったが、急に神妙な顔で名を呼ばれたので何事かとリリアンは居住まいを正した。



「入学式の朝は一緒に登校するつもりだけど、その後僕は寮生活に戻る。週末はこっちに帰ってくるけど、もうこの『間の部屋』には来ない。

 リリィも学園生になるし、今後はこの部屋に来ず自分の部屋で一人で寝てもらう。この部屋は鍵を掛けて出入り出来なくするからそのつもりでいて欲しい」


 なんだか申し訳ない気持ちになりながら言ったらちょっと固い口調になってしまった。



「え・・・」リリアンは驚いて目を見張った。けど、突然過ぎて何か言おうにも続く言葉が出てこない。



 タイミングが良くというか、悪くというか、ちょうどその時コンコン、とフィリップの私室側のドアをノックする音がした。



「殿下、エミールです。

 お寛ぎ中のところ失礼致します。もう21時になっております、お約束の時間はとっくに過ぎてます」


「あっ、しまったもうそんな時間か!エミール、すぐ行く!」


 エミールだけは従者という役割柄いつでも自由にフィリップの私室に出入り出来る。

 時間になっても戻って来なかったら呼びに来てくれと言ってあったのだがリリアンといるところを邪魔すると悪いと思ったのかすぐに来なかったようだ。30分の休憩のつもりがもう1時間以上経っていた。

 リリアンとの時間はこうもアッと言う間に過ぎてしまうのか、時の流れの早さに驚いてしまう。

 過去に時計を携帯してなくて困ったと思ったことは無かったが、流石に今回は(こんな時に懐中時計があったら便利なのにな)と思わずにはいられなかった。



「遅かったら呼びに来るように言ってあったんだ、じゃあリリィ僕は仕事に戻るから」


「は、はい」



 フィリップはリリアンに申し訳なさそうに微笑んでバイバイと手を振り、慌ただしげに出て行った。




 座ったまま呆然とフィリップを見送ったリリアンは心の拠り所を求め、ふらふらと立ち上がってオコタンを抱きしめた。


(どうして?)


(なんで急に?)



 やはりリリアンはショックを受けていた。



 いつもリリアンのことを第一に優しく接してきたフィリップなのに、この日はちょっと様子が違っていた。



 いつもと違ってお喋りをしているのに時々遠い目をなさってよそ事を考えていらっしゃるようだった。

 いつもと違って固い言葉遣いでよそよそしかったような気がする。

 それに、

 いつもと違って私に一切触れて下さらなかった。


 なんだか今夜は最初からいつもと違っていた。


 いつもと違う、いつもと違う・・・リリアンお得意の "オンナの勘" が騒ぐ。

 何かが変わろうとしていると。



 まっさきに思いつくのはこの関係が終わること。

 偽の兄と妹の関係が終わること。



(もう一緒にいられないってこと?)


 それはリリアンが一番恐れていること。



 とうとう終わる時が来たのかもしれない。


 卒業まであと2年、本格的にフィル様の結婚するお相手を探すことになったのかもしれない。私が邪魔な存在になって距離をおかれる事になったのかも・・・。



 そう思うとじわっと涙が浮かんできた。


 上を向いて深呼吸をしてなんとか治めた。


(泣いちゃダメ、フィル様が帰って来られたら泣きながら寝たのがバレてしまう。そんなことしたらまだまだ子供だと思われてしまう)


 でも、フィル様はもうここへは来ないと言った。



 寝ようと思えば寝れるけど、全然寝る気分になれなかった。だけど自分の部屋に戻って独りであれこれ考えて過ごすのは辛過ぎる。


 そんな時は誰かに話を聞いて貰ったり、アドバイスをして欲しくなるものだ。



(フィル様、どうして今夜急にあんなことを言ったの?

 そのお心の内を教えて欲しいけど、知るのが怖い。誰か、誰か・・・フィル様のお心をこっそり教えて・・・)



(あっ!そうだわ!)



(お兄様がいた!お兄様なら私の気持ちを分かって下さるし、きっとフィル様のことも教えてくれる、お兄様ならなんでも知ってるもの、それにいつでも頼って来いと言って下さったわ。

 まだ起きてるはず、お兄様のところへ行きましょう!)




 リリアンは思い立ったが吉日とばかりに迷いもなく私室に戻って厚手のガウンを羽織った。そしてオコタンを腕に抱えたまま体重をかけて廊下に通じるドアを押し開けた。


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