151話 寝ていたから
ジロー達は一緒に来た母親が先に帰ってしまったので馬車が戻って来るのを待っているという。
小さな子供がいるのに遅くなって大変だろうと思ってパメラが娘はどうしているのかと聞いたら、他の子供達と一緒に楽しく遊んでいたが急に寝落ちしてしまったので今は奥の客間のベッドを使わせて貰っているのだとアンジェルが教えてくれた。
パメラがこっちでそんな風にジローとアンジェルの話をフンフンと聞いている隣でレーニエは忘れてはならないあの事を母であるロレンス夫人にお願いしていた。
「そういえば母上、使用人はいらないって言いましたがやっぱりいります。出来ればベテランですぐ来て貰えるような人はいませんか、あと侍女も一人いると助かります」
「オホホ、やっぱりそうでしょう?
あなた達がなかなか家に帰れないかもしれないから使用人はいらないって言ってると聞いて、いったいどうやって生活するつもりなのかしらって思っていたのよ。それなら今まであのお屋敷に住み込みで入っていたバヤールとドロテという夫婦がいるの、その二人を使ってくれたらいいわ」
「住み込みって?使用人の部屋はあの屋敷に無かったけど、通いの間違いじゃない?」
「外にある小屋がそれだ」とジロー。
「ええ、あの二人ならあの家のことを何でも分かってるから任せて安心よ。
離れに住んでいると言っても家の中から呼び出し鈴の紐を引っ張ったらすぐに来てくれるからわざわざ呼びに行かなくていいし、鳴らす回数でルールを決めておけばそれだけで話が済むわ。あのお屋敷はよく考えられてて色々と便利になっているのよ」とアンジェル。
「へえ〜そうなんだ」
「あなたは知らなかったかしらね、親を亡くして行き場の無かった少年をお祖父様が助けて自分の家の使用人にしたのを」
「お祖父様が行き倒れの庶民の子供を助けたという話なら小さい頃に聞いたことがありますが」
「その子がバヤールよ、お祖父様は真面目で誠実な彼をとても気に入ってかわいがっていたの。
バヤールはあそこで使用人として働きながら大人になり、結婚もして子供を育てたのよ。もうその子も大きくなって今は私の友達の家の使用人になっているのよ」
「そうだったの、僕はそんな昔から奉公してくれていた二人を解雇してしまったのか。しかしバヤールは住む場所を追われて今どこにいるんだろう、声を掛けたとして戻って来てくれるだろうか」
「大丈夫よ。そうなるだろうと思って実は2、3日様子を見ましょうとバヤールには言ってあるし荷物も引き上げさせてないの。今はここにいて本邸の仕事を手伝わせているわ」
「そうだったんだ、ありがとう。ではさっそく彼らに直接会って続けて居てくれと言った方がいいね、パメラそれで良いよね?」
レーニエが隣に座るパメラに同意を求めようと顔を向けると、ソファの背にもたれすぅすぅと寝息をたてていた。
「大人しいと思ったら寝てたのか。
そっか17時に来てもう21時過ぎだ。きっと座ったらどっと疲れが出たんだろうね、今日は慣れないアルコールも口にしていたし」とレーニエはパメラを起こさないよう声を落として言った。パメラに向ける彼の視線はいつものように優しく慈愛に満ちている。
「うふふ、さっきから頑張って睡魔と戦ってたんだけど遂に敗れちゃったわね。
今日は慣れない場で主役だったんだもの、ずっと気を張ってたでしょうから疲れたのよ。少しそのまま寝かせておいてあげてその間にバヤールと話をして来ましょう、私も一緒に行くわ」
ロレンス夫人は微笑んでそう言うと、レーニエを促して部屋を出て行った。それと同時にジローも子供の様子が気になるからちょっと見て来ると言って席を立った。
この部屋に残ったのは眠るパメラとレティシアにアンジェルで二人はすぐにお喋りを始めた。この二人は歳も近く気も合って仲が良かった。
「今日のパメラ様の顔見せパーティーは大成功だったわね、レティシア」
「ええ、本当に!皆が喜んで早くお嫁に来て欲しい、待ちきれないって口を揃えて言ってたわ!大成功よ」
「アルノー家待望のお嫁さんだものね」
「そうなのよ!我が一族は代々近親婚が続いていたせいか兄やジローのように特別身体能力の優れた子が生まれる一方で、圧倒的に身体の弱い子が生まれやすいのよ。他家と比べて流産や早産も多いし早逝する子が多いの。だからお祖父様は孫達に血の混じったことのない遠い家系の人と婚姻するようにと強く望まれたのに、私は従兄弟のシリルじゃないとダメじゃない?
ジローはアンジェルだったからボーソレイユ家の方は良いとして、アルノー家直系跡取りのお兄様がどんな女性と結婚するのか、もしくはしないのかと皆んな長い間気を揉んでいたのよね。
お兄様ったらモテるのに宝の持ち腐れで今は仕事を覚えるのが忙しいとか言ってお見合いの話を持って来られても全然会おうとしないし、ピンとこないとか言って誰とも付き合おうとしないのよ。
それがようやく見つけたと思ったらお相手はなんと天下の名門バセット家の御令嬢よ!?いきなりそう来る?私、流石お兄様だと感心したわ。
しかも家柄だけじゃないの、パメラはあらゆる面で武系の家、いいえ、歴代騎士団総長を輩出する我が家にとってこんなに条件の良い令嬢は他にいないっていう程ピッタリの素晴らしい女性だから本当の本当に最高なのよ。
健康で体力があって明るくて若くて頭が良くて、この国初の女性騎士で、王太子婚約者候補リリアン様の専属護衛でしかも特権付き!!王太子殿下からもリリアン様からもとても可愛がられているのよ。
なんたって、休日なのにここに来る前に王宮にいらっしゃるリリアン様のお部屋に寄って来たり、宮殿馬車で送って貰っているのだからよっぽどなのよ。
王太子殿下がリリアン様の為に呼び寄せた銀細工師の作ったアクセサリーを、リリアン様より早く私たちが身につけることを許していただけるなんて栄誉もパメラがいればこそ。
この3つの『クラウス・シュタイナー』が嘘偽りなくパメラの素晴らしさを語っているわ。
今日はパメラの事を皆んなに紹介出来て、実際にどれほど凄いのかを証明出来て本当に鼻が高かった!
パメラはこれから私たち一族の一員となり、私たちの自慢であり続けるのよ。
お父様は強い子供を産んでもらい、その後も騎士を続けて後進の指導に当たって女性騎士の長になって欲しいと考えているのですって!これはパメラにしか出来ない事だって今からすっごく期待しているのよ。
女性が騎士になるなんてこれまで誰も考えもしなかったことをパメラは小さい頃から夢に見て日々努力し、あの若さで夢を現実に変えてしまうという奇跡を起こした女傑よ。
彼女に不可能なんて言葉は似合わない、私にはとても想像もつかないけれど彼女ならやり遂げられるんだわ!
パメラはいずれ創設される女性騎士団の総長となり、その祖となり、歴史に名を刻むのよ!パメラ・アルノーとして!!」
パメラ大好きっ子のレティシアは一気に捲し立てた。
今日はずっとこの調子であっちこっちの輪に入ってはパメラを褒め称え続けていたから油もよく馴染んで舌もよく回る。絶好調だ。
「聞けば聞くほど本当に何もかも素晴らしい女性よね。レーニエは見る目があるわ、パメラが女主人となってくれる我が一族の未来は輝かしいものになるに違いないわね。
パメラの輝かしい未来は私たちの未来。正にパメラはアルノー家と傍系ボーソレイユ家の期待の星、希望の星だわ」
「ええ、その通りよ!アンジェル!!」
レティシアが満足げに頷いた所でエントランスに使用人達が集まって行くのが見えた。
「どうやらお父様がお戻りになられたようだわ」
「ただいま帰ったよ」
「お父様お帰りなさいませ」
帰宅したこの家の主人、王立騎士団総長アンブロワーズ・アルノーはまだパメラがいると聞いてまっすぐこちらの部屋に入って来た。
そしてパメラに目を落とすと笑って言った。
「おやおや、ウチのお嫁さんは沈没か。ようやく来てくれたのに今晩遅くなってしまったのは本当に残念だったな」
「あなた、お帰りなさいませ」と、そこへロレンス夫人がレーニエと一緒に戻って来た。
「ああ、ただいま」
「父上、お帰りなさいませ」
「ああ、レーニエ。今夜は急に対応が必要な案件が入って帰るのが遅くなった。せっかくパメラが来て皆と一緒に祝える機会だったのに残念だったよ。
本来なら泊りがけになりそうな話だったのだが国王陛下や宰相等と対応を協議した結果、対応を先送りする事にして戻って来られたのだ。
しかしお前達を遅くまで待たせることになるなら先に一報入れておけば良かったな」
「いいえ、私もまだ馬場屋敷に来てもらう使用人と話をしていましたから構いませんよ」
「そうかバヤールと話をしたか。
レーニエよ、やっぱり使用人は要るだろう?」
「要りました。彼らがいないと私たちは顔も洗えません」
それを聞いてアンブロワーズ・アルノーはハハハと快活に笑った。
「じゃあそろそろあなた達はもう新居にお帰りなさい、パメラを早く休ませてあげてね」と一緒に微笑んでいたロレンス夫人が言った。
「そうするよ。パメラ、パメラ、起きて」
「お兄様、パメラはぐっすり眠っているのですからこのまま連れて帰ってあげてはどうですか」
「そうだねそうしよう。バヤールとドロテは今夜から来てくれると言ってるから一緒に行くよ。バヤールは御者も出来るってことだから任せて僕はパメラを抱いて馬車に乗ろう」
「それがいい、では馬車を回して来さそう」
馬車が玄関の前に着いた。レーニエがパメラを抱いて乗り込むとバヤールの妻ドロテがドアを閉め、きちんと閉まったか確認した上で御者席のバヤールの横に座った。アルノー家の人達と一緒に娘を抱いたジロー達に見送られ馬車は馬場屋敷に向けてゆっくりと動き出した。
ちょうど入れ違いにジローの家の馬車が入って来るのが見えたから彼らもこれで帰途につけるだろう。
雨は上がっているが外は真っ暗で人通りは皆無だ。アルノー家から譲り受けることになった立派な馬車だけがカンテラの灯りを頼りにゆっくりゆっくり進む。
小さく揺れる馬車、レーニエの肩にもたれて眠るパメラ。
悲しい夢でも見ているのだろうか、パメラの眦から涙が一筋頬をつたって落ちた。
実を言うとパメラは初めてレーニエの家族に紹介された時、帰り際に父親であるアンブロワーズ・アルノーがレーニエに掛けた言葉を誤解して受け取っていて、それこそがパメラの苦悩の始まりだった。
アンブロワーズ・アルノーは突然髪を真っ赤に染め上げた息子が同じく真っ赤な髪の恋人を家に連れて来た時、それが娘の命の恩人ゴダールの妹であったことも大きいが、とにかく愛する人を見つけられたことを喜び歓迎した。
その恋人はこれから騎士として重要な任務につくことが決まっていることを騎士団総長である彼は誰よりよく知っている、
未来の国母であるリリアン様の学園警護は騎士団としても最上級の重要な任務であるが、いくら大勢の護衛を投入したとしても片時も離れずお側にいられるのはパメラをおいて他にいないのだ。
パメラはこれから忙しくなる。入学式までにも準備しておかなければならない事が沢山あるだろうし、学園が始まったらいよいよ任務開始だ。
だから二人が「結婚はすぐには考えられないけど」と言った時「それは尤もだ」と返したのだ。
通常だとアルノー家のような高位貴族の家だと1年婚約期間を置き、その間に花嫁修行と称して嫁入り先で女主人としてのあれこれを学ぶのだが、パメラは外で仕事を持っているからその暇がない。
だが、何ヶ月か先・・・遅くとも一年も経てば慣れてきて少しは時間的にも精神的にも余裕が生まれるのではないだろうか。
それに学園には長期休暇がある。リリアン様の夏休暇中や冬休暇中にもそのような準備を少しずつ進めていけばいい、そうやって少し経てば結婚の時期についても見通しが立ってくるに違いない。
しかし何も考えず日々の仕事をこなしているだけではダメだ。上手くタイミングを見極めなければ結婚はかなり遠い先の話になってしまう・・・。
リリアン様をあまりに優先させて学園をご卒業してからと言ってるとそこでもう7年後、それからご結婚にご懐妊にご出産と、こっちがボヤボヤしている内に10年20年はすぐに経ってしまうものなのだ。
そういう意味で席を立った二人に最後にこう声を掛けた。
「あまり遅くならない内に、ほどほどに身を固めるのだぞ」と。
レーニエは「はい、分かっています」と答えた。
絶賛二人を応援して発した父からの言葉にも関わらず、パメラはこの時てっきり「ならば他の女性との結婚を、遅くならない内に考えろ」とレーニエに苦言を呈したと捉えてしまったのだ。
あの状況でそんな誤解をする方が無理があると思うが、とにかくパメラはそう思ってしまった。
パメラは今までどれほど自分の評判が悪かったかをよく知っていた。特に『嫁』という視点から見たときにどう他人から思われているのか分かっていたし、自己評価は他人からのそれよりもっと低かった。そのせいだ。
喧嘩令嬢の一人として名を馳せ、敬遠されてきた過去のせいでやっぱりご家族からは結婚することは望まれてないのだという発想になったと思われる。思い返してみれば見合い話の一つも来たことがないような自分が喜ばれるはずがないと。
ただ、レティシアの命の恩人の妹としてとても歓迎されたのだ、ゴダ兄のお陰でアルノー家の人達はとても優しくしてくれる。
いつも自信満々に振舞っている癖に、変な所で自信のないパメラ、他人には色々と言えるのに、自分のこととなると周囲が見えなくなるパメラ。
女性騎士となりパメラの悪い評価は払拭されつつあるということに、まだ気づいてない。
レーニエの一族に迷惑をかけないようになるべく早く別れなければレーニエの人生とアルノー家の未来を台無しにしてしまうと思い込んでしまった。
そして今現在は別れるまでの期間を自分の中で勝手に一年と決め、レーニエにはそうとは言わないままこの一年を精一杯、全力で幸せに過ごそうと思っているのだ。
そして今日もまたパメラは盛大に誤解の上塗りをしていた。
パーティー会場でレーニエを呼び止めて早く結婚を云々と言っていたのはシリルの母親だ。
一人息子のシリルとレティシアは従兄妹同士の婚約者、身体がとても弱かったレティシアは力なくベッドに横たわっているばかりで長く生きるとは思われていなかった。なのに幼いシリルは歳の差もなんのその、初めて会った赤ちゃんの頃からレティシアのことが大好きで、物心ついた頃にはもう想い合い、将来結婚すると言うようになった。
子供の戯言というにはあまりにも真剣に、そして強く望むので大人達は二人を不憫に思い婚約させたのだ。
今更それを破棄しようなどとは勿論思ってない、レティシアとの付き合いも長く娘のようにも思っている。だけど、身体の弱い彼女に子宝は望めないだろう・・・。
養子をとるという手もあるのだが、それも結構難しいところがあるらしく知人から手塩にかけて育てたつもりでも意に沿うように育つとは限らず苦労しているのだと聞くと、それもなかなかの覚悟と努力にプラスして賭けのような部分もあるのだと思わざるを得ない。
ある程度大きくなった子を養子にした家では生みの親の家に財産を横流しされていたとか・・・。
悪い話ばかり取り立ててもいけないのだが、実際のところそんなに簡単な話ではないのだ。
だから多分、マルモッタン家はシリルの代で終焉を迎えると思われ、シリルの両親はもうその覚悟をしていた。
だからこそ、シリルの母親はレーニエ達のことを心配していた。
わざわざ跡取り問題で苦労しなくて良いだろうと。先々後悔しないよう早く結婚して早く子供を授かった方がいいに決まってる。
何よりその方がお嫁さんが辛い思いをしなくて良いし、恋人を長く待たせたあげく周りに子供をせっつかれ、なかなか出来ないと悩み、苦労や辛い思いをさせることになると可哀想だ。
それに特にアルノー家の跡取りであるならば、王立騎士団と切ってもきれぬ関係だ。この巨大な家を切り盛りする為の十分な教育が必要なのに子供が小さい内に親が死んでしまったらどうする?家が大きいだけに途方に暮れることになるだろう。子供を授かるのは若い内が絶対にいいに決まってる。
このようにどんなに考えても彼女の人生で得た知識では結婚は遅くなっても良いという理由は思い当たらないのだ。
結局のところ叔母さんのさっきの言葉の真相はこうだ。
『(せっかくパメラというこれ以上ないほど素晴らしいお嬢さんを捕まえたのに)同棲だとか言っていつまでも相手を待たせておくものじゃないわよ、早く結婚し(て幸せにしてあげ)なさい』
ちょっと言葉をあちらこちら端折っていたが、とどのつまりパメラの側に立って応援してくれていたのだ。
レーニエはレーニエで叔母さんの言いたい事の意味も気持ちもよく分かっている。
ただ、そんなに簡単な話じゃないだけで・・・。
所在なく膝に落ちるパメラの手に自分の手を重ね起こさないように優しく指を絡める。
レーニエは元気で明るくて飾らない、いつだって一生懸命なパメラが愛しくて可愛くて仕方がない。周囲に恋人同士だと主張するのにちょうど良かったお揃いの赤い髪をパメラがやめた時、レーニエはすぐにお揃いの指輪を買いに走った。誰にもパメラに手を出させたくない、見えない敵に隙をみせたくなかったから。騎士がアクセサリーを付けることは良しとはされてないが絶対にダメな訳じゃない。
あれからパメラの指にはいつもレーニエの贈った指輪がはめられている・・・なのに。
(何を言っても、何をしていても可愛らしい僕の恋人パメラ・・・。
いつも全身で愛情を示してくれてその挙動、表情からも疑いなく僕を心から愛してくれていると思うのに、どうして急に結婚は出来ないなんて言い出したの?)
レーニエは最初は乗り気だったはずのパメラが急に結婚は出来ないと言い出した時は困惑したが、これから始まる学園護衛のパメラにかかる責任の重圧からいっぱいいっぱいになって出た言葉だと思っていて、今はプレッシャーをかけないようにこの件に関してはそっとしておいてあげようと思っている。まさか父親の言葉を誤解して尻込みしているのだとはこれっぽっち気付いていない。
(でも今日は親族にそれがバレなくて良かった)
不要なトラブルを避ける為に家族にはパメラが結婚しないと言い出したとは伝えていない。
これは一時的な気の迷いでちょっと仕事に慣れて落ち着いてきたらきっとまた前向きに考えてくれる、そう信じて待つ覚悟だからだ。
今夜、
もしパメラが寝てしまわなければ、
レティシアとアンジェルのお喋りを聞いていれば、
もしくは総長と話をしていたら、
すっかり誤解が解けて
こんなにも皆からお嫁に来ることを待ち望まれ歓迎されているのだと知ることが出来たかもしれないのに。
残念ながら
パメラは寝てた。
揺れる馬車、パメラの寝顔に目を遣ると涙で頬が濡れていた。
繋いでない方の指で頬に残る涙の跡をぬぐってやると、レーニエもやがて目を閉じた。
いつかきっとパメラの誤解が解ける日が来るはず
それが今日でなかっただけ!
_φ( ̄^ ̄゜)グスン
<おまけの二人のあれこれまとめ>
レーニエがパメラを口説く回 87話&94話
二人の休日初デート回 97話
パメラが結婚についての考えを語る回 98話
レーニエが熱い想いを壁に書きなぐる回 103話
なんとかしたいと作戦を練るレーニエ回 106話&108話
当て馬(?)がいい仕事をする回 115話&116話
パメラが焦燥感にかられる回 119話
パメラが酷い顔になってイメチェンする回 120話〜122話
パメラが一緒に住むことを決心する回 123話
香水を買った回 139話
同棲を始めた回 145話&146話
アルノー家へ行く準備回 147話&148話
アルノー家パーティー回 149話〜151話
こうやって並べてみると97話と98話でパメラの態度が変わっているような気がします。
どうやらこの間でアルノー家を訪れていたようですね。
推理しますと壺探しの後で食事をしようと街に立ち寄ったところ、ロレンス夫人とレティシアにバッタリと会い、アルノー家へ誘われて夕食をご馳走になった。その時に総長に掛けられた言葉を誤解して受け取ってしまったというところでしょうね。
<次回予告>
そろそろパメラとレーニエの話は置いといて王宮に話を戻しましょう。
次回はニコラ、国王リュシアン辺りがメインで勿論フィリップとリリアンも出ます!
ここまで読んでくださいまして、どうもありがとうございます!
面白い!と少しでも思ってくださる方がいらっしゃいましたら
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もはやそれを楽しみに書いてます。