149話 アルノー家のパーティー
あれはてんで当てずっぽうで言ったのでは無かったらしい、そろそろ出ようかという頃にはニコラの予言通りに雨がザーザー降っていた。
皆が雨は困るねと言っている中、ニコラだけは「ほらな」と自慢げだ。
結局、二人は宮殿の馬車を借りてレーニエの実家であるアルノー邸へ向かった。
宮殿では屋内から乗車できるようになっていたし、アルノー家の停車場も広い庇があったからドレスアップしたパメラは濡れずに済んで助かった、本当に殿下様様だ。
アルノー邸のエントランスでは王立騎士団総長の妻であり、レーニエの母親であるロランス・アルノーと妹のレティシアが屋敷の使用人達と共に出迎えに出てくれていた。
「こんばんはロランス夫人、レティシア、今日はお招き頂きどうもありがとうございます」
「あー、これはこれは・・・ようこそおいで下さいました?」
パメラがスカートを摘まんで挨拶をすると、ロランス夫人は笑顔だったものの何故か首を捻りながら語尾に疑問符をつけてるし、レティシアはパメラを見るなりあからさまに表情を強張らせ笑顔を消した。
えーっと、
昨日の今日で予定が決まったのが急だったからご迷惑だったかしら。
それとも久しぶりのドレス姿で久しぶりの淑女の挨拶を披露してみたのだが、久しぶり過ぎて何か重大なミスをしてしまったのだろうか。なんかこう、めっちゃ空気悪くていたたまれないんですけど!
パメラも作った笑顔が固まってしまいそうだ。
「ちょっと、お兄様!こちらの方はどちら様です?今夜はパメラを連れて来ると聞いてたから私たちこうして準備をして待っていたのですけどっ!」
レティシアはとうとう我慢出来ず腰に手をあてると兄にぷんすこと文句を言って頬を膨らませたが、何のことはない、彼女がご立腹なのは兄が別の女性を伴って帰って来たと勘違いしたからだった。
「へ?パメラだけど?」とレーニエ。
「えーっと、パメラ・バセットです。本日はお招き下さいましてどうもありがとうございます」ともう一度パメラが挨拶をすると、急に二人は態度を変え満面の笑みで揃って寄ってくるとパメラの手を両手で握ってきた。
「そうでしたの?本当に?
今日はなんて美しく装っておいで下さったのでしょう。とってもお似合いよパメラ、そのドレスもイヤリングも」とロレンス夫人はパメラを上から下まで眺めて賞賛した。
「お褒め頂きありがとうございます」
テレもあり、パメラはついニカッと笑った。
「まあ、本当にそうなのね?赤い髪はどうされたの?私ったら兄が心変わりして他のご令嬢を連れてくるのに私たちに先に言わずに父と共謀したのかと思いましたのよ。
オホホ、やだわ。よく見たらゴダール様と同じ瞳の色をしているもの、パメラだわ!」
パメラの飾らない笑顔を見て間違いなくパメラだと確信したレティシアはすっかり機嫌が良くなった。
パメラの兄のゴダールはレティシアにとって命の恩人だ。長い間ベッドに伏せがちだったレティシアの身体を気遣い、体力のつく薬を長い間届けてくれていた。そのお陰で今はこんなに普通の生活がおくれるようになったのだ。
レティシアは命の恩人の妹が兄の恋人であることをとても喜んでいた。
「オホホ、私も宮殿馬車から降りて来られたからどこの王族の方かと・・・。一瞬、レーニエがまさか王太子殿下の婚約者候補様によからぬ想いを寄せて強奪っ、いえ、連れて来てしまったのかと疑ってしまいましたのよ。オホホ、やだわ私ったら勘違いしてして!オホホホホ」
ロレンス夫人がなんかとんでもない事を言っている。
さっきの挨拶の時の疑問符は、パメラ以外を息子のパートナーとして認めるつもりは無いのだが、もし初めて見るこの女性が重要人物であった場合は追い返すなど軽はずみな対応は出来ない、どう対応しようかという夫人の心の迷いが現れたものだった。
短時間に頭の中で色々な想像を巡らせた結果、社交に長けたロレンス夫人が現在面識のない重要人物と言えば王太子婚約者候補リリアン様くらいしかいないので、とっさに王太子婚約者候補に横恋慕なんて結論を導きだしてしまったのだ。
「あら、やだわお母様。
リリアン様は銀の髪をお持ちの方だし、もっとお小さくてよ」
「オホホ、そうだったわね」
リリアン様と間違えるというのはどう考えても有り得ないが、冷静に考えると確かに夫人達がパメラだと分からなかったのも無理はない。
前に街でこの二人に偶然会ってこちらにお邪魔した時はまだ燃えるような赤いツンツンヘアーだったし、目つきがキツく見えるように化粧をしていた頃だったし、ファッションも馬に乗る時の服を着ていたんだった。
今更ながらよくそんな格好をした変わり者の娘との交際をレニの家族は認めてくれたものだと我ながら思ったが、これも全部ゴダ兄の善行(レティシアに片思いしていたから下心あっての事だが)のお陰だろう。
その上いきなり宮殿馬車で乗り付けるなんて常識外の事までしたのだから余計に驚かせた訳だ。
「宮殿馬車で来たのは、出る時に雨が降っていたので王太子殿下のご好意で馬車を出して下さったからなんです」とパメラは釈明した。
「まあ!殿下が宮殿馬車を?」と二人は目を見張った。
余程の客人、例えば外国からの貴人に対してとかなら分かるが臣下に対して馬車を用意するとはなんたる厚遇だろうか。それほどまでに可愛がられているのかと驚かざるを得ないのだが、パメラは涼しい顔をして続けた。
「はい、こちらに来る前にちょっと王宮に寄って来たものですから」
二人は驚き過ぎて口を開けて聞いていた。
「ハァ〜、さすがはリリアン様の専属騎士だわ!
王宮にチョット寄っちゃうし、仕事でもないのに王太子殿下に宮殿馬車を出して貰って来ちゃうんだもの!私にはとても考えられないことよ。
それにしても今日はとってもドレッシーで素敵よ、パメラ。
中でもそのイヤリングは素敵ね、とっても素晴らしいわ!その見事な細工!その輝き!なんて綺麗なのかしら!よく見せてちょうだい?」とレティシアは言い、パメラの耳から下がるイヤリングにウットリとした視線を向けた。
「ええ、本当に。それほどまでに美しい細工をされたアクセサリーはこれまで見たことも聞いたこともないわ。パメラこれはどういった物なのか教えて下さらないかしら?」とロレンス夫人も心から感心した様子だ。
キラーン!!
パメラは今ここぞと目を光らせ、レーニエの顔を見上げた。
レーニエは心得たとばかりに後ろに控えて立っていた宮殿馬車の御者補助係兼荷物運びから箱を2つ受け取り、パメラにまず大きい方を手渡す。
「それを説明する前に、まずこれを受け取って下さい。
ロレンス夫人とレティシアに王太子婚約者候補リリアン様からの贈り物です。
これは私がアルノー邸を訪れると耳にされたリリアン様が自ら選び、お土産にと持たせてくれた物です」とパメラはロレンス夫人に美しく包装されリボンがかけられた箱を差し出した。
「まあ!リリアン様が私たちに?」夫人は口に手を当ててとても驚いていたが、そろそろと大事そうに受け取った。
「こちらはレティシアに。リリアン様が一目見てレティシアに似合うとお思いになり、すぐにお決めになったのだと仰っておりました」
「リリアン様がわたくしに似合うとそう仰ったのですか?私を思って選んで下さったなんて、とっても嬉しいわ」とレティシアは薄平べったい箱を胸に抱いた。
レーニエが早く中身を見て貰いたくて催促する。
「母上、レティシア、そろそろパーティー会場へ入らせてくれない?
それで皆の前でその箱を開けてみるといいよ。きっと、いや絶対にビックリするから」
「ちょっとレニ、そんなにハードルを上げたらダメだよ」
「いいや、大丈夫でしょ」
レーニエはいたずらを仕掛けた子供のように楽しそうに言う。彼女達が絶対に喜ぶと確信しているのだ。
「いいわ、そうしましょう。さあ、パメラどうぞ入って」とようやくエントランスの右奥の大広間、本日の会場へ誘われた。
ロレンス夫人が案内しながら言うには、今夜のディナーは立食パーティー形式にしたのだそうだ。
家族4人とパメラで5人がお食事をするのに立食とはちょっと変わった事をするな〜と思ったが、前回は家族の食事のテーブルに同席させて貰ったら総長の正面に座ることになってしまってガチガチに緊張したものだから今回はそこのところを気遣ってくれたんだなと感じてパメラは嬉しかった。
早番や遅番でない場合この季節の騎士団の仕事の終業時間は17時だ。パメラ達はその17時にここへ訪れたのだから当然のことながら総長は帰宅していない、今はまだすっかり準備の整った大広間でパーティーの開始を待つ使用人達が立っているだけだった。
んん?どう見ても今夜は家族だけじゃないな?
「ねえ、お母様。皆がいつ来るか分からないのにもう待ちきれないわ、先に開けてしまいましょうよ」とレティシアが言い出した。なんなら一度見てまた箱に仕舞ってもいいじゃないと。そして燭台しか置かれていない広いテーブルの上で包装を解き、箱を開けた。
「・・・これは」レティシアは感嘆のため息を漏らした。
すかさずパメラが説明を入れる。
「ええ、それはリリアン様の為に生まれた新しい銀細工のブランド『クラウス・シュタイナー』の林檎の花のヘッドドレスです。
これを作れるのは宮殿銀細工師クラウス・シュタイナーのみ、しかも今日初めて世に出たのです。
リリアン様の『クラウス・シュタイナー』がお披露目されるのは今年の花祭、それに先立って王太子殿下が特別に私たちに持つのを許可されたのです、これを身につけられるのはまだ私たち三人しかおりません」
「まあ、なんてこと!」
暗に広告塔になれと言っているようなものだが、二人にしてみればそれは願ってもないことだ。
こういったものを誰よりも早く身につけられるということは、感度の良いアンテナや有効な人脈を持っているいうことだし、希少なものであればあるほど他家に対して格の違いを知らしめられる。
これは貴族にとって重要なステータスを示す格好のアイテムになる。
「いや〜ん、よく見たら綺麗なだけじゃないわ、なんて可愛いの!
ほら見て?可憐なお花とこのボンボンみたいな丸っとした可愛らしい蕾を、すっごく可愛い!私こういうのが大好きなの」
レティシアは大喜びだ。
リリアン様、大成功ですっ!!
「では、こちらもその、クラウス・シュタイナーですの?」と夫人が言い、恐る恐るといった風情で箱を開いた。
「・・・」もう声も出ない。
震える手で箱を持ち上げ蝶のネックレスのその複雑で細密な模様を念入りに細部まで堪能すると、首を左右に振り、ほぅと息を吐いた。
「こんなに素晴らしいものを・・・」
夫人も気に入ってくれたようだ。
パメラはここで初めて二人に贈られた銀細工のアクセサリーを見たのだが、確かに美しく背の高い夫人にはこういった豪華で大胆なネックレスが似合いそうだ。自分には到底無理なハイレベルの代物だ、これを選んだリリアン様はエライ!ちゃんと誰にどんな物が似合うかよく分かってらっしゃる。
「ねえ、もうちょっとしたらシリルが来るの、シリルにもこれを見せてあげたいわ。きっと凄いものをいただいたとビックリするわね、フフフ」と楽しげにレティシアが言った。
「さっそく付けてきたら?」とレーニエが言い、パメラも「それがいいですね、そうしたらどんなに似合っていたかリリアン様にお伝え出来ます」と言うとさっそく二人は「そうしましょう」と侍女を連れてウキウキと奥の方に入って行った。
大広間に残されたパメラとレーニエは自然に手を繋ぎ、ホッとした笑顔を見せた。
「パメラ、喜んで貰えて良かったね」
「うん、良かった!」
あんなに喜んで貰えたら、持って来たこちらとしてもすごく嬉しい。
しかし、二人の世界に入る間も無くエントランスの方で動きがあった。総長がお戻りになられたのかもしれないとパメラ達がエントランスに向かおうとしたところ案内も付けず慣れた様子で入って来たのはユルリッシュ・ボーソレイユ軍事相だった。
「あれ?」何故ここに?と、意外に思ったパメラは思わず声を上げ足を止めた。
「お疲れさま」とレーニエが言う。
「ああ、早いと思ったらお前達今日は休みだと言っていたな。パメラ嬢、よく来てくれたね」とユルリッシュはまるで我が家のような事を言って握手を求めて来た。
「えっと・・・はい」
「なんだ?狐につままれたような顔をして?
しかしここに客人を残して姉上はどこで何をしているんだ」
「母上は今、私たちが持ってきたお土産のネックレスをつけて来ると下がったところです」
「そうか」
「え?えーっと、姉って・・・ボーソレイユ軍事相とは親戚?なの?」
「うん、そうだよ。僕の叔父、母の弟だよ」とレーニエはいとも軽く言う。
「ってことは、ジローとレニは従兄弟?」
「ご名答!」とユルリッシュが楽しげに答えた。
「もうじき私の妻とジロー達一家もやってくるはずだよ」
そうして、副総長カジミール・アルノーが来て、彼は総長の従兄弟だと言うし、息子は夜勤で来られないというがやはり騎士だと言う。
ジローも母親と奥さんと小さな子供を伴い到着した。
なんなんだこの一族は!?
騎士団関係者の濃度が濃すぎるよ・・・騎士団皆兄弟か?
そうこうしているうちに、ロランス夫人とレティシアが『クラウス・シュタイナー』を身に付けて戻って来た。
質の良い濃紺のドレスに着替えて華やかなネックレスをこれでもかと引き立てる上級者の装いの夫人と、片側に髪をまとめてヘッドドレスを螺旋状に巻き彼女の儚げな見た目と相まって物語の中の女神様のようなレティシア、どちらもとっても素敵だ。
今晩は親戚が一同に会するらしい、さっそく『クラウス・シュタイナー』のお披露目が出来るのだから殿下もさぞ喜んで下さることだろう。
まだ帰宅していない総長の代わりにロランス夫人が乾杯の音頭を取り、食事を始めることになった。
パーティー会場では自然にいくつかの輪が出来て、レーニエとレティシアに伴われてパメラがその輪に入って行くと特権付き専属護衛となったことを祝う声を次々と掛けられると共に、女性陣を中心に『クラウス・シュタイナー』それから殿下とリリアン様の話を聞かせてと質問ぜめに合った。
この銀細工『クラウス・シュタイナー』がどんな物かの説明に誕生した経緯、その時の二人の様子などをパメラが話すと普段聞けない話だととても喜ばれた。
近くで見たいと順番にそばに寄ってきては惚れ惚れと見入るのだからみんなこのイヤリングにも興味津々といったところだ。
そしてワイワイとグラスを傾ける顔ぶれを見て立食形式だった訳が分かった。騎士の仕事は時間が不規則なので全員が集まってから食べ始めるなんてことが出来ないのだ。中にはちょっとレーニエの恋人の顔を見に来ただけだと言ってすぐに帰って行ったご老人もいた。
レーニエとレティシアの二人はそうやってずっとパメラに付きっ切りで皆を紹介をしてくれていたのだが、誰かからオルガンの連弾を聴かせてくれとお声が掛かり、了承した二人は久しぶりに合わすからちょっと先に指鳴らしをしてくると言って部屋を出て行った。
兄妹で連弾とな!?
さすがアルノー家のご子息は特技も高尚だ。
子供の頃、棒があれば拾って振り回していた私と大違い!
さっき時間調整でリリアン様の所でお喋りをしていたときに、今は伯爵位を名乗っているが爵位制度が改正されるまでは辺境伯と同じく建国の時に国王を多いに助けたその勲功によりアルノー家は侯爵位を賜っていたんだぞ、と師匠がアルノー家に行くなら知っとけと教えてくれた。
確かに初等部1年の歴史の授業で建国の時に国王を助け、特に功績の高かった2人に侯爵の位を与えたと習ったが、侯爵位を自ら辺境伯にしてくれと申し出て国王に変えさせた辺境伯のエピソードの印象が子供心には強烈過ぎてアルノー侯爵の事は記憶に薄かったんだよね。まさか自分がソコのご子息と懇意にするなんて未来は知らないし試験も辺境伯に関するその問題が出るのが定番中の定番だしで。
しかし元侯爵は伊達じゃない本物の高位貴族は違うわ〜と関心しつつ二人を見送ったパメラが向き直ると、ちょうど近くに一人で立っていた女性と目が合った。
パンで作ったカナッペを口に運びながらあまりにも幸せそうな顔をしているのでパメラが「美味しそうに召し上がりますね」と声を掛けると、口に運ぶ手を一旦止めて、困ったように眉を下げ「ようやくね」と小首を傾げてその女性は笑った。
このジローの妻アンジェルは夫と対照的な小柄でふっくらとした可愛らしい方で、よく喋って気取らない性格のようだ。さっき挨拶をした時は子供もいたしすぐ他の人を紹介されて離れたので会話らしい会話をするのはこれが始めてになる。
「私ね、ずっと悪阻がひどくて大変だったの。でもお腹の子の為に栄養をつけなきゃと思って何とか食べられる物を探しては頑張って食べていたわ。特に湯気が立つ物がダメでね・・・ぬるいのも胸がウッとなるというか、そんな時でもこんな風に外で食べると大丈夫でいくらでも食べられるものなのよ、不思議よね〜。
でもまあ、今は何でも食べられるようになったからそんな心配そうな顔をしなくても大丈夫よ!
美味しいわよ、このエビのカナッペ。タイムにレモンがちょっと乗ってるのがサッパリしてて良いの。さっき食べたゆで卵にキャビアがたっぷり乗ったカナッペも良かったわ、パメラ様もぜひ召し上がってみて?」
いそいそとパメラを連れてゆで卵とキャビアのカナッペの所を戻ろうとしたアンジェルの元へジローが来た。
「パメラ、食べてるか?
ほらアンジェ、向こうでお前の好きなクレームブリュレが出てたから取って来てあげたよ。このサンマルクも好きだろ?どうだ食べられそうか?」
「うふふ、ええジローありがとう。どちらも大丈夫よ、いただくわ」
客層からいっても消費量が高く、まだ料理がどんどんと追加されて出てきている最中だが向こうと言われた方を見ると女性や子供達の為に早くもデザートが並び出したようだ。と言っても大人の社交にすぐに飽きた子供達は子供部屋に移って遊んでいるそうで、ここにはいないが。
そしてジローは妊婦のアンジェルを気遣い「辛かったら遠慮せずに言うんだよ、腰が痛いのは大丈夫?椅子もあるから座って食べたらどうだ?」と甲斐甲斐しい様子を見せ、とうとう椅子を持って来ると言い出して恥ずかしいからやめてと止められていた。
「仲がとってもいいんだね」と言うと「いつもこうなの」とアンジェルは満ち足りた幸せそうな笑顔を夫に向ける。ジローも妻に目をやり「まあな」と笑った。
あのいつも落ち着き払って感情の起伏を見せないジローが妻を愛する夫の顔をして幸せそうに笑っている。
こんな風に当たり前に結婚して当たり前に子供が出来て、それでなおずっと仲睦まじくいられる夫婦なんて誰もが理想の夫婦だと思うだろう。
パメラだって二人を見て羨ましくないと言ったら嘘になる。
本音を言えば、パメラには二人の笑顔がとても眩しかった。
大歓迎の嵐じゃないですか?
そしてお土産の『クラウス・シュタイナー』も気に入っていただけたようです
リリちゃん良かったねっ!
_φ( ̄▽ ̄ )
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