表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

拝啓。元の世界のお父様、お母様。お元気に過ごしているでしょうか。私がそっちの世界で行方をくらませてから数年。満足に親孝行もできず申し訳ありません。




ですが信じがたいことでありますが私は今異世界で生活しています。




えぇ、きっとお母様は「何言ってんだこいつ?んなこといいからとっとと帰ってこいや!」と思っていることでしょう。




お父様に至っては「いたずらにこんな手紙をよこしやがって!とっとと帰ってこい!さもなくば、ぶっ〇してやる!」とお思いでしょう。




とりあえず落ち着いてください。この手紙を最後まで読めばわかりますから。




私が今どこで何をしているのかと言いますと、異世界で勇者もどきをやっています。




ファンタジーで魔法が存在する世界で、です。




分かります分かります。妄言だって言いたいんですよね。早く帰れって思っているんですよね。もう少し待ってください。最後まで読めば納得してくれるはずです。




とにかく勇者認定されてしまったわけですよ。それも私のコンプレックスのせいで。




確かに生前、このコンプレックスのせいで親には多大なる迷惑を掛けましたよ?ええ、掛けましたとも。それは否定しませんよ。悪いのは全部私ですから。




けどね!?いくらなんでもひどいと思うんですよ。こんなことってないと思うんです。




実際?転生できるって聞いてひゃっほぉぉぉ!!もうこんな世界&こんな容姿からはオサラバできるッ!こんなコンプレックスからはオサラバだッ!ファンタジーな世界で冒険者にでもなって俺ツエェェしながら女の子たちとキャッキャウフフな生活が送れる!やったぜって。




でもいくら何でもひどくないですか?容姿が変わんないって。普通異世界行くなら赤子スタートかと思うじゃん!期待しちゃうじゃん!残念転生パターンでしたってか?ふざけやがって!ふざけやがてぇぇッ!!




しかも!しかもですよ?スキルに『脱毛症(頭)』って!ひどくない!?コンプレックスなのにひどくない!?いじめだよ!もはやいじめ!!なんなの?ほんともう何なの!?




とまあここまではいいよ。しょうがないから我慢するよ。今後カツラでもかぶればいいんだから。しかも勇者様って崇められるのも悪い気しないし。




けどさ、そもそもおかしいんだよね。だって神様は一般人として異世界に送るって言ってくれたんだよ?一般人って。




したら転移して初めて降り立った場所がちょうど王城の一室で、そこに駆けつけてきた王様たちが言ったんだよ。




「輝いている…まばゆくきらびやかに…ついに我が国に勇者が降臨した!」ってさ。




それも体の一部見ながら。意味わかんないんですが?




なにハゲが存在しない世界なのかねここは。普通分かるでしょただのハゲだって。




ハゲなだけで、国に縛られて学校にも行かせられるってどんな罰ゲームですかね?全く。まあ、もうあきらめているんでどうでもいいんだが、せめて手紙では愚痴らせてください。




最後になりますがお体に気を付けてお過ごしください。







PS この手紙は読み終わると自動的に燃えて消し炭と化します。




親はこれでどう思うのか…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ